保健室にて 〜僕の天職?〜
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橘先生にメールの使い方を教えてから、殆ど毎日の様に練習がてらやり取りをするようになった。
『きようのゆーはんはいつも異常においしかったぞ』
とか
『そろそろ手の状態も大分増しになったのではないか?』
とか送られてくる内容は至って普通なのに所々誤字があるのを見て微笑ましかった。その度僕は橘先生をからかうように間違いを修正していった。
『しかたないではないかわたしはめーるがにがてだといっているだろう』
といった文面が全て平仮名で送られて来ていた。そう送られてくる度に僕は、
『橘先生、ダメじゃないですか。それでは意味がありません。何の為、僕がこんな時間まで付き合っているんですか?』
と、ほんの数秒で入力して送り返していた。
『へんじはやい』
僕が送った返事に対して帰って来たのはこのたった六文字だったが返って来たのは一時間以上後の事だった。
そんなやり取りをしていく内に少しはましになって来た。ましになって来たといっても相変わらず誤字は多かったのだが。
「だいぶましになったんじゃないですか?」
メールのやり取りをするようになってからしばらく経ってから僕は、保健室で包帯を替えてもらっている時に橘先生にそう言った。
「私を馬鹿にしているのか? 小鳥遊君は。あれだけ毎日のように送られて来たら流石に良くなると思うぞ?」
橘先生は少し皺を寄せながらそう言って来た。
「まぁ、そうなってもらわないと困ります。だって僕が直々に教えているんですからね」
僕は座ったまま胸を張ってそう答えた。
「どうしてそんなに偉そうなんだ? 小鳥遊君は……一応私の方が年も上だし立場的には教師なのだが……」
橘先生は呆れながらそう言って来た。
「だーからー前も言ったじゃないですかー歳なんて関係無いって……っと言われてみれば一応、橘先生って教師みたいなものでしたね」
僕は橘先生に言われて初めて教師だった事に気が付いた。
「まぁ、小鳥遊君なら私よりもよっぽど教師に向いていると思うがな……」
橘先生は呆れた表情から一変、少し遠い目をしながらそう言って来た
「んっ、そうですか? やっぱ僕って天才って事ですねーそうですよねー仕方ないですよねー」
僕は気分が良くなっていつも以上にはしゃいだ様にそう言った。
「……相変わらずだな、小鳥遊君は」
橘先生は何も言えないような表情をしていたが、僕はそれに対し終始、首を傾げていた。




