橘先生の家にて 〜危うく食べられそうになる〜
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「だからここをこうして、こうやれば……」
食後のデザートのプリンを美味しく食べ終えた後、僕は橘先生の隣に移動してメールの使い方を一つずつ丁寧に教えていた。
「うーむ。やはり面倒だ。電話ではダメなのか?」
やはりと言うべきか、橘先生は僕が丁寧に教えていたのにも関わらず、全くと言って良い程理解していないようだった。
「ダメです。苦手な事は克服しないと。仮にも教員でしょう?」
僕は間髪入れずに橘先生にきっぱりとそう言った。
「確かにそうなのだが……あー憂鬱だ……」
橘先生は本当に嫌なようで頭を抱えている。
「やっぱり話せば話す程イメージとはかけ離れた人だなと思います」
頭を抱えて唸っている橘先生を見て僕は不意にそんな事を口にしていた。
「うん? 私にどんなイメージを持っていたんだ、小鳥遊君は?」
橘先生は頭を抱える仕草をやめて、僕の方に視線を向けながらそう言った。
「何でも完璧にこなせそうな人って感じですね」
僕は素直に橘先生のイメージを答えた。
「なるほどな……幻滅したかい?」
橘先生はそう言われ慣れているのか、さして驚きもせず僕にそう言ってきた。
「いえ、逆に親近感が湧きました。何だか可愛いですし……」
僕はそのギャップが何故か可愛く思えてしまった。
「なっ……その言葉と笑顔は無意識にしているのか? ならさぞモテるだろう」
何故か橘先生は少し顔を赤らめているのか。
「うん? 何の事ですか?」
僕はさっぱり何の事だか分からず首を傾げた。
「なるほど……やはり小鳥遊君、キミは食えない奴だな……」
橘先生は普段の表情に戻り少し呆れたようにそう言って来た。
「えー僕を食べても美味しくないですよー? だって僕食べ物じゃ無いですもん……どうしてみんな僕の事、食べようとするかなー」
僕は橘先生が僕を食べようとしていると思い少し後ずさった。
「……何で私が小鳥遊君を食べる話になっているんだ?」
橘先生は少し沈黙した後、呆れたようにそう言って来た。
「だってそう言ったの橘先生じゃ無いですか?」
僕は不思議に思い首を傾げながらそう言った。
「はぁ……小鳥遊君は天然だったな、そう言えば。これも計算でやっているのなら大したものだが……そんな事は無さそうだな」
橘先生は呆れ果てているようで溜息を吐きながらそう言って来た。
僕はさっぱり何の事か分からず、終始首を傾げながらメールの使い方を教えた。




