カラオケボックスにて ~二人の十八番~
「~~~♪ ~~~♪」
「~~~♪ ~~~♪」
曲が終わり二人同時に椅子に座った。
「本当に歌えるとは思わなかったぞ……創君」
歌っている途中もかなり驚いた様子だったが、歌い終わった後、歌っている途中よりも驚いた表情で僕にそう声を掛けてきた。
「だから何でそんなに驚いているんですか? さっきも言ったじゃないですか……」
僕は呆れたように藍さんにそう言うと、飲み物を口にした。
「いや……いくら何でも創君の歳でこんな曲知ってる方がおかしいだろう……」
藍さんは僕の方を見ながら煙草に火を付けた。
「僕昔の曲の方が好きで特に藍さんの世代の曲とかが結構好きで……昔からよく聞いているんですよ……」
今時の曲の派手な曲調よりも一世代前の曲の落ち着いた曲調の方が好きだった。
「なるほどな……確かに今時の曲は何だか難しそうな曲しか無いからな……とはいえ今時の曲も普通に歌うんだろう?」
藍さんは納得したような表情をした後、僕にそう言ってきた。
「まぁ、正直な話どんな曲でも歌いますけど……でも昔の曲で演歌とかはちょっと苦手ですけどね」
何でも好き嫌い無く色んな曲を歌ってきたけど、演歌だけはどうしても慣れなかかった。
「ふーん……私は逆に演歌とかの方が歌いやすいが……そんなもんなのか」
藍さんはあまり納得している様子ではあったが、特に気にしていないのか僕から視線を逸らして端末を操作していた。
「あれっ? 何だか乗り気じゃ無いですかー僕にも次それ貸して下さいね」
いつの間にか歌う気満々になっている藍さんを見て、僕も対抗心を燃やして次に何を歌うか考えながら藍さんが曲を選び終わるのを待っていた。
「よしっ、この歌にしよう……この歌は学生時代響華と莱霧に評判良かったんだ。創君にも聞かせてやろう」
藍さんは割と早く曲が決まったようで、藍さんは曲を予約しながら僕にそう言ってきた。
「おっ、それなら僕も一番自信のある曲を歌わないといけませんね……でも、何曲もあるからどうしようかな……」
僕は藍さんの十八番が聞けるという事だったので、僕の十八番も聞いてもらおうと思ったが、僕の十八番って一体何だろうかと考えてしまい端末と睨めっこをしていた。
「まぁ、創君程の歌唱力があればどんな曲を歌っても十八番だろう? 創君の歌なら何時間聞いていても飽きないだろうから創君の好きな曲すると良いさ……」
その後立ち上がって藍さんは歌い始めたが、やっぱり上手いなと僕は思って、しばらくの間藍さんの歌に聞き惚れていた。




