保健室にて ~非力な僕~
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「どーん! 頼もー藍さんは僕のもの何ですから、いじめちゃめ、です!」
僕は毎度の如く道場破りの如く保健室の扉を開き、そんな掛け声と共に保健室にいた人たちに向かってそう言った。
「きゃー小鳥遊先輩よー相変わらず可愛いですねー」
「ちょうど良いわ、小鳥遊君。橘先生と普段どんな事をしているの? 何度聞いても橘先生ったら知らんの一点張りで……困っていた所だったのよ」
僕が勢いよく保健室に入るとあっという間に僕の周りに人だかりが出来上がった。
「……へ?」
僕は一瞬何が起こっているか分からなくて、そんな素っ頓狂な声を上げた。
「はぁーったく仕方の無い奴らだ……創君……いや、小鳥遊君も来た事だし、元気なら帰ってくれ」
藍さんの周りにいた人たち全員が僕の周りにたかっていたので、藍さんは解放された安心感からか、それとも呆れからか大きな溜息を吐いてそう言った。
「橘せんせ。今更言い直さなくてもどうせこの学校中の噂になっているんですから、もう堂々としていて大丈夫ですよ?」
「さぁ、そろそろ授業が始まる時間だし……貴女たち? 早く教室に戻りますよ? 後はごゆっくりー」
何処かで見た事があった気がするが、直接僕の受けている教科の担当になった事は無かったので、名前までは分からなかったが、先生である事は間違い無いと思う。流石は先生の言葉といった所だろう。その一言で生徒たちは口々に「はーい」とか「しょうがないなー」と言ってあれだけ騒がしかった保健室はあっという間に静まり返った。
「……」
「……」
急に解放された僕らはしばらくの間、空いた口が塞がらなかった。
「はははっ……」
「ふふふっ……」
僕たちはしばらく無言の時間が続いた後、ほとんど同じタイミングで笑い出した。
「困りましたね……でもこれで、こそこそいちゃいちゃする必要が無くなりましたね? 藍さん」
僕はひとしきり笑った後、にっこりと笑顔を浮かべながら藍さんにそう言った。
「……確かにそうは思うが……流石に学校でとなるとな……」
僕の笑顔を見て恥ずかしがっているのか、目を逸らしながらそう言ってきた。
「うー? 藍さん……んっ……」
僕は視線を逸らした一瞬の隙を見逃さず、すかさず藍さんにキスをした。そのままいつもよりも深くキスをしようと藍さんの方に体重を掛けた。
「んっ!?」
僕がキスをすると一瞬身体を震わせたが次第に緊張もほぐれたのか、逆に体重を僕に預けて来た。
「あわわわ……」
僕の力では支えきれずそのまま床に倒れるような形になった。




