教室にて ~袋のネズミ~
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「おー聞いたぜ、創ー橘先生にプロポーズしたってな」
屋上で藍さんにプロポーズをしたその日の休み時間、僕がいつも通り机に突っ伏して溶けていると急に上から声を掛けられた。
僕はナマケモノのようにのっそりと起き上がるとハウの方に視線を向けた。
一応は周りにあまり人がいない事を確認してから僕に声を掛けてきたようで、あまり大騒ぎにはなっていないようだったがそれでも一部のクラスメイトには聞こえていたようで辺りが少しだけざわついていた。
「えへへー良いでしょー」
僕は周りの事など気にせずだらしのない表情をしながらハウにそう言った。
「あらら、完全にいっちゃってるわ……こいつ」
僕の表情を見ながらハウは呆れた表情をしていた。
「ハウも早く藤林さんにプロポーズした方が良いんじゃない?」
プロポーズをした事によって幸せを感じていた僕は当たり前のようにハウにそう言った。
「いや……確かに結婚したいとは考えてはいるが、流石にまだ学生だしな……」
僕の言葉にハウは本音をポロリ口にした後、しまったといった表情をした。
「藤林さんも幸せ者だね。ハウにそこまで想って貰えるなんて……」
バツの悪そうな表情をしたハウに僕は満面の笑みを向けた。
ハウは満更でもないようで、僕から視線を逸らしてぶつぶつと何やら呟いていた。
「ちゃんと結婚式には呼んでね? 盛大に祝ってあげるからさ」
僕がそう言うと丁度休み時間の終わりを告げるチャイムが鳴った。
「……それをいうなら創の結婚式の方が先だろうに……」
ハウは少し呆れながらそう言うと僕に向かって手を挙げ、自分のクラスへと戻っていった。
それから先生が来るまでが大変だった。僕たちの会話が聞こえていた一部のクラスメイトから別のクラスメイトへと噂は広がっていき、あっという間に僕の周りには人だかりが出来上がっていた。
「ねぇねぇ小鳥遊君。何て言ってプロポーズしたの?」
「生徒と先生の恋愛……しかも保健医何て……あーちくしょー想像するだけでドキドキするぜ……」
僕は初めての状況にどうしたらいいかどぎまぎしていたら、タイミングよく担当の先生が入ってきた。
「こらこらチャイムはとうの昔に鳴っているぞ? お前ら席に着け」
次の担当は丁度良いのか悪いのか担任の芦田先生だった為、芦田先生の言葉も聞かずクラスメイトたちは僕に質問を続けていた。
その様子を見て芦田先生は諦めたような表情を浮かべ、そのまま何も言うこと無く椅子に座ってしまった。
僕はそんなクラスに対する芦田先生の気遣いを初めて鬱陶しく思ってしまった。




