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スノードロップ  作者: 白城縁
高校三年生 冬
109/372

駅前広場からカラオケボックスにて ~気兼ねない場所~

「それ付けてくれていたんだ……ハウの趣味には合わないと思っていたから、まさか一番良く使う携帯に付けてくれていたなんて知らなかった」

 僕はハウの携帯に付いた『彦星と織姫』のストラップを見て驚きながらそう言った。

「まぁ、確かに趣味では無いけどな……創たちとお揃いのストラップをお土産として買って来たって知ったらこれに付けるしかないだろう?」

 ハウは少し照れ笑いをしながら、おどけたように僕にそう言ってきた。

「……ハウこそ僕に気を遣い過ぎでしょ……ははっ、お互い様って事か……」

 僕は少し自嘲気味にハウにそう言って、ハウから視線を逸らした。

「……はははっ、何か変な感じだな。でも、これが本当の親友って感じなのかも知れないな」

 ハウも僕と同じように軽く笑いながら、僕とは逆の方に視線を向けた。

 その後しばらくの間無言の時間が続いていたが、やはりあの時と同じように何故だか嫌な感じは全くしなかった。


――――――


「さて、がっつり歌ったな……結構遅い時間だし明日は学校もあるし、そろそろ帰るか創?」

 あの後しばらくしてから僕たちはカラオケボックスに行き、結構遅くまでいつものように歌い続けていた。

「ん……確かにそろそろ帰らないとまずいかもね。今度こそ補導されちゃうね……でも、最後に一つだけ聞いて貰っても良いかな?」

 僕はハウには先に報告しようと思っていた事を、今日半日の間に言うタイミングはいくらでもあったというのに今の今まで、恥ずかしさからかずっと口に出来ないでいた。

「ん? 何だ?」

 もう完全にお開きモードだったのだろう。ハウはドリンクバーから汲んできていたコーヒーを飲みながら、僕の方に視線を向けた。

「じ、実は……あの、う、そのー」

 僕はこの期に及んでまだ恥ずかしさが勝ってしまって、中々言い出す事が出来なかった。そんな僕の様子を見て察したのか、ハウは少しだけ呆れたように、でも何処か見守るように僕の言葉を静かに待っていてくれた。

「……ふぅ……ごめん。よしっ、僕藍さんにプロポーズしようと思うんだ」

 僕はまだ恥ずかしさと緊張から抜け出せずにいたが、僕の言葉を静かに待ってくれているハウを見てようやく決心することが出来てそう口にした。

「……はははっ、やっぱりそうか。創頑張れよ」

 ハウは予想していた通りの言葉だったのだろう。軽く笑うと一言だけそう言うと帰り支度を始めてしまった。

「へっ? それだけ?」

 僕は何だか冷たい素気の無い態度を取られて拍子抜けしていた。

「それだけって……別に驚く事でもないだろ? だって俺がどうこう言おうが創の気持ちは変わらない。なら俺に言える事はただ頑張れってしか言えないだろ?」

 ハウはにっこりと笑いながら僕にそう言ってきた。

「なるほど……確かに僕もハウに同じ事を言われたらそれしか言えないかも……でもありがとう、お陰で少し気持ちが楽になったよこれで明日緊張せずに藍さんに逢えるよ」

 僕はハウと同じようににっこりと笑いながらハウにそう言うと、支払いをする為にハウより先に部屋から出て行った。

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