自室にて ~あっという間の三ヵ月~
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それから試験までの間僕は、今までした事が無いくらい本気で勉強をしていた。
藍さんともハウとも遊ぶ事無く、試験勉強だけであっという間に三ヵ月が経過した。
「ふぅ……明日はもう試験の日か……あっという間だったな」
僕は自室で椅子に座った状態で大きく伸びをしながら、壁に貼られたカレンダーを見てそう呟いた。
「本当にこんなに勉強したのは初めてだったな……今の僕なら全く落ちる気がしない……こんなことならクリスマスくらい藍さんとデートでもするんだったかな……」
合格が決まるまでは絶対に逢わない、そんな覚悟をした僕だったが正直な話ここまで勉強しなくても良かった気がしていてついそんな事を口にしてしまった。
息抜きがてらクリスマス前に出掛けた時に、藍さんに渡すつもりでプレゼントを買ってしまっているんだから、本当はずっと逢いたかったんだと思う。
それも明日の試験を乗り越えて数日すれば嫌でも結果は出るだろう。万に一つもあり得ないと思うが、不合格だったら逢わせる顔が無い。
そうならない為にも、最後の最後まで気を抜かずに机に向かおうと再度集中し直した。
――――――
「はぁー流石に疲れた……こんなもんかな」
僕はそう呟き時計を見ると、あれから数時間が経ち既に日付が変わっていた。
「やばい、やばい流石に寝ないと寝坊したら笑えないや……うーん大丈夫だと思うけど心配だな……」
僕がそんな事を思っていると夜中なのにも関わらず、携帯の着信音が鳴った。ここ三ヵ月の間、両親から掛かって来た以外は音沙汰も無かったので、ついつい僕は驚いてしまった。
「あわわ……何だ、携帯か……吃驚した。誰だよこんな時間に非常識にも程があるでしょ」
僕は無造作に放り投げられていた携帯を充電器の線を引っ張り手繰り寄せると、画面も見ずに電話に出た。
「……もしもし」
僕はこんな時間だったこともあり、少し不機嫌な声でそう言った。
『……久しぶり、創。元気にしてたか? こんな時間にしかも明日が、いや日付が変わっているから今日か、試験だっていうのにすまないな』
電話してきたのはハウだったみたいだ。流石はハウといった所だろう。どこの看護学校を受けるとか試験日が何時だとか一切周りには話していなかったのに、当たり前のように知っていたようだった。
「確かに物凄い久しぶりな気がするね。それでどうかしたの?」
三ヵ月振りに聞いた親友の声に何処か安心して、僕はそう訊いた。
『いや、何だ……えーっとだな。ただ試験頑張れよって伝えたくてな……あそこまで本気になった創を初めて見て、俺は恥ずかしいが声を掛ける事が出来なかったんだ。それで今の今まで悩んだ挙句こんな時間に電話しちまった』
ハウは物凄くいい辛そうに、でもはっきりと口にしてきてくれた。まさかハウがそんな事を思っていたなんて全く知らなかった僕は、驚きを隠せなかった。
「……ありがとう。合格発表の日真っ先にハウに伝えるよと言いたい所だけど、藍さんが一番ね? その後ちゃんと伝えるから、ハウにも。だからおやすみ」
『あぁ、おやすみ』
少し笑いながらハウがそう言ったのを確認した僕は通話終了ボタンを押した。先程までも特に慌てたり不安になっていた訳では無かったが、ハウの声を久しぶりに聞いて、話してより落ち着く事が出来た。
「これなら、何の心配も無いね……今日はゆっくり休めそうだ……」
僕はそう呟くと、布団に潜り込みそのまままどろみに身を委ねた。




