表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スノードロップ  作者: 白城縁
高校三年生 秋
100/372

屋上から保健室にて ~僕の覚悟~

//////////


 寒空の中僕は屋上で一人考え事をしていた。既に始業の時間は過ぎており、グラウンドでは体育の授業をしているのだろう。体操服に身を包んだ生徒たちがサッカーやソフトボールをしていた。

「あーどれだけ考えても分かんないや……藍さんはあの日から普段通りに見せているつもりみたいだけど、何処か冷たい気がするし……」

 藍さんに看護師になると告げてから一週間近く経ったが、この話題はずっと避けられていて、僕はどうすれば良いか分からなくなっていた。

「……僕は変わったんだ。誰かに言われて決めるのはもう嫌なんだ。自分の意思でやる事を決める。藍さんがどんな事を言ったって、例え嫌われてでも僕は……」

 僕の心は看護師を目指すと決めたその時から、本当は決まっていたんだろう。言葉にして見るとどうしてか全く違和感が無かった。

「……あははっ……何だ。僕ちゃんと自分の意思で決めてんじゃん。うん、そうだね、早く勉強や手続きをしないと……流石の僕でもこの時間が少ない中で合格するのは厳しいだろうから。合格が決まるまで藍さんとは逢わないで頑張ろう……それが僕の覚悟」

 僕はそう呟くと、首を長くして待っているであろう担任に報告する為に職員室へと向かった。


――――――


「失礼します。三年の小鳥遊です。芦田穣(あしだみのる)先生に用事があって来ました」

 授業中という事も全く気にせず僕は堂々と職員室の扉を開いた後、職員室へ入る時のお決まりの台詞を言った。

 思い返してみると、三年も一緒に居たというのに担任を名前で呼んだのは初めてだったかも知れない。

 芦田先生も他の先生たちも僕が授業中に職員室へ来たということよりも芦田先生の名前を呼んだ事に驚いている様子だった。

「芦田先生? 鳩が豆鉄砲食らったような顔をしてどうしたんですか?」

 芦田先生の元に向かいながら僕はそう言ったが、あまりにも僕が名前を呼んだのが衝撃的だったのか、口を大きく開けたまま固まっていた。

「あ、あぁ、すまない小鳥遊。授業中というのはお前の事だからこの際気にしないが、何の用だ?」

 ようやく現実世界に戻ってきたようで、少しどもりながら芦田先生はそう言ってきた。

「何って……嫌だなぁ先生。この前言ったじゃないですか……進路が決まったって、遅くなりましたけど相談に来たんですよ」

 芦田先生はあまり頭が回っていないのか、それとも忙しい時期だからなのか、そんな事を訊いてきたので僕は呆れたようにそう答えた。

「そう言えばそうだったな……よし、分かった。進路相談室が空いてるだろうからそこで聞こうか」

 僕がそう言った事でようやく思い出してくれたようで、少し上機嫌で椅子から立ち上がると進路相談室の鍵を持った。僕はそれを確認すると、芦田先生を待ち進路相談室へと向かい歩き始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ