早数年
そう叫んで早数年……お嬢様の覗……もとい鑑賞癖は治る気配もなく磨きがかかるのみ。
アリシア様は見目も良く決して努力を惜しまない勤勉な方、社交界にデビューしたらすぐに社交界の華と目されているのに、目されているのに。
もったいない、そのお姿を見せては殿方のお嬢様への恋心を消滅させますと再三申し上げていますが!!
「そんなので評価が変わるような方は、わたくしから願い下げですわ」
そのお気持ちはわかりますが、私はお嬢様の花嫁姿を見たいですよ、と繰り替えのはもう日常の事。
言っても全く気にしないお嬢様に何度目かのため息をこぼしながら、用意しておいたロープでミノ虫の様に縛りあげ、自分達の世界に居る恋人達の邪魔にならないように静かにお嬢様を回収しました。
普通に考えて、メイドが主人に行う行動ではないのですが、日々お嬢様の趣味と言う名のデバガメを止めるうちにお嬢様のお父様で在らせられる、伯爵様に懇願されてしまったのです。
これからも娘を止めて欲しいと!
多少の事は目をつぶるから、全力でやって欲しいとまで言われてしまい、さすがに同情を禁じえませんでした。
ちなみに、その時の旦那様の涙目だったのは、見なかった事にしたいです。
ですが、旦那様、正直に申しますと、お嬢様のデバガメ趣味の発端は絶対に旦那様秘蔵の恋愛小説ライブラリーだと思います!!!
本棚五個分(全ての高さが2メートル級)にぎっちりと詰まっている恋愛小説に良いしれぬ悲しみを覚えました。
何度燃やそうと思った事か……
今では、お嬢様との攻防戦も慣れたものです。
そんな中、お嬢様に婚約のお話が持ち上がりました。
お相手はこれまたゲームと同じ攻略キャラの一人アルフレッド様(ゲームの中でも婚約者)
ゲームの世界では優しく穏やかな性格で伯爵家を継ぐために努力を重ねる方です。
ですが現実では顔はまあ同じ性格は、まあ……真反対と思うしますか、人を見下すのは当たり前、女性は自分を好きになって当たり前の伯爵家の跡取りバカムス……コホン、失礼したしました。
伯爵家の時期跡取りでごさいます。
ゲームはゲーム、現実は現実と思いますが、ここまで性格が違うのには驚かされました。
もちろんそんな方に大事な大事な(デバガメ趣味はともかく)娘を嫁には出したくないと、旦那様はお考えで、今はお見合いの様な状態で互いに婚約者候補の候補で止めています。
そんなアルフレッド様は、私達メイドにまで手を出そうとしてきましたので、しっかりと全力で私がお相手しておきました。
最後には涙目で喜んでおられて、良かったです。
ですが、それであきらめない神経だけは凄いと思います。
いい加減手を出そうとするのやめてください。相手するのが面倒ですので。