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04

GROグランド・ライズ・オンラインの四つの世界の一つ『聖騎士界』に一人のプレイヤー影山竜二ことユージ・レイロックがGROにログインして三年の月日が経っていた。彼は三年の間、騎士養成学校で通い暮らしをしていたが、彼にはある騎士により、異常とも呼べる修業にされていて、弱者の世界を守る教会の聖堂騎士団より実力は遙かに上の領域にいた。しかも、彼には精霊が宿っている。それも二体以上も存在している。『聖騎士界』では『神威』という源を使うのだが、その量も尋常ではない。人ならざるもので神の領域でしかないと思われる・・・・・・


 とにかく、ユージ・レイロックは騎士養成学校では負けなしであった。聖術の腕も非常に良いし剣の腕もいいという素晴らしさだ。三年の間は騎士養成学校で通い暮らしをしていたが、彼にはこんな所で現を抜かしていられないのだ。実力を遙かなる高みへと精進したいためにこんなぬるま湯の所を出て行きたかった。だが、数日の後、騎士養成学校の卒業式に参加して出ていた。ユージ・レイロックが騎士養成学校を出ると後ろから人がぞろぞろと来るので鬱陶しいと思った。だから


「何でついてくるんだ?」


 と言うとぞろぞろ来る奴らの二人が


「ユージ・・・だってよ・・・お前みたいな奴が・・・聖堂騎士団に入らないなんて・・・おかしいぜ・・・・・・絶対!!」


「だから・・・もう一度・・・・・・考え直してくれないか?・・・・・・その方がお前にとっても一番のいい人生だと思うし!!」


 二人は考え直すように言うとユージは


「嫌だね!!・・・あんな聖堂騎士団の奴らの下につくくらいなら旅に出る方がいいと思ってね・・・・・・それに・・・俺はこんな所で遊んでいる暇はじゃないんだ・・・・・・俺はさらなる高みを目指すだけだ!!・・・・・・だから・・・もう来ないでくれないか?・・・鬱陶しいから」


 ユージはそう言ってこの場を去ると人だかりも学校の方に戻っていた。




 ユージがある森を歩いていた。だが、突如止まり、周りを見回しながら


「出てこい!!!!・・・こそこそとついてきて・・・俺に用でもあるのか?」


 そう言うと物陰から現れたのは二人の男子と女子が出てきた。


「何だ・・・レーゼ、ロコ・・・・・・ライ、エモール・・・・・・か・・・何のようだ?」


 ユージは何故か荷物を持っているレーゼ、ロコ、ライ、エモールに聞くと、ロコが


「先輩・・・そんな言い方は・・・ないでしょう・・・」


 いきなり涙がポロポロと泣き始めたのだ。それを見ていたライとエモールが「うわっ・・・泣かしやがった」といった顔をしていた。レーゼはそんなロコの頭を撫でていると


「ユージ・・・そんな言い方はないでしょう!!・・・この娘はね・・・あんたについて行きたいって言っているのよ・・・いいでしょう」


 笑っていない笑顔で言うと、ユージは顔を引き攣った状態で


「わ、分かったよ・・・・・・もう・・・一緒に行きたいだろう・・・だったら、ついてこい・・・大変な日々になるけど」


 最後の部分は小声で言ったけど、ロコたちには聞こえていないが


「はい・・・先輩!!」


 ロコが言うとユージはほっとした顔をしたが、何かを感じたのか急に目を鋭くした。そして、剣を抜くと、それを見ていたロコたちは驚き始めた。


「どうしたんですか?・・・先輩?」


 だが、ユージは誰もいない方向に向かって


「へぇ-・・・聖堂騎士団って・・・こんな卑怯な手を使ってまで・・・俺が欲しいのかな?」


 そう言うと、周りの物陰から騎士らしき人が現れた。


「ほう・・・我々の気配に気づくとは・・・さすが・・・騎士養成学校の首席君。」


 騎士らしき人の1人が言うと


「お褒めに頂きに感謝はしますが・・・騎士団の人たちが力ずくで俺を手に入れようとしているんですね。」


 ユージが奴らに言うと、ロコが


「え・・・え・・・どういうことですか?・・・聖堂騎士団って・・・忠実な騎士たちだって父上が・・・」


 ユージは仕方ないと言った表情をして、今持っている剣を納め、別の剣を抜いた。その剣は蒼き剣だった。そして、その剣を地に向け、


「『アーマメント』」


 と唱えて地に突き刺すと蒼き剣は光り始めた。そしたら、剣の中心から蒼い蔦が出てきたのだ。それに巻き込まれた騎士たちは徐々に凍り始めた。光が収まると、ロコたちが見た光景は、一面真っ白な氷の世界だった。そして、ユージは地面に突き刺した剣を抜くと


「(『アーマメント』を使うだけで・・・これだけの規模を・・・ということは二つ目の『リコレクション』を使うと・・・)」


 ユージは二つ目の使ったときのことを想像するとぞっとしていた。だが、ロコたちは


「先輩!!・・・今のは・・・いったい何のですか?」


 ロコはユージにさっきのあれはいったい何のかを聞くと


「それよりも・・・まずは・・・この場を引こう・・・寒いし・・・」


 ユージはそう言ってこの場を去った。それを見ていた。レーゼ、ライ、エモール、そして、ロコは現在の状況を見てすぐに気づいた。このままでは、全員凍え死ぬことに気づき、すぐにユージの後を急いで追った。




 ユージとレーゼたちは森の近くにある町の宿で休んでいた。数時間後、ユージの前にレーゼたちが来た。


「何のよう?・・・・・・と言わなくても分かってるつもりだ・・・分かった。席につきたまえ。」


 ユージにそう言われて四人は席に着くと


「では、話すとしようか・・・さっきのことを全てね。さっきのは・・・俺自身に宿る精霊たちの一つ『ユミヘル』の能力。全てを凍らせ命を吸い取る能力。それだけだ。」


 それを聞いてレーゼたちは驚きの余りに声を出せなかった。


「もちろん。『ユミヘル』は制御されている、ある二つを唱えればね。」


 レーゼはユージが言った事に


「ある二つ?」


 疑問を感じた。ユージもレーゼが聞きたいことには気づいていた。


「一つ目は『アーマメント』能力を武装として解放する記号。もう一つは『リコレクション』それは『ユミヘル』そのもの記憶の解放する記号。」


レーゼたちはまたもや驚愕をした。だが、ユージはもう一つのことを話した。


「実は俺には十二の精霊が宿っている。」


 ライはユージの言った事に


「あり得ない!!」


 と否定した。


「人に宿る精霊は一体のみ。複数の精霊を持つ人は超極稀のはずだ。」


 エモールもライに同意した。だが、ユージは


「二人の言うことは正解だ。だが、俺のような人は四人いてね。といってもそれはGROの四つの世界で一人ずつ存在する。その四人はGROの世界上では第一級特異危険視と言われている。本来人にはない未知数の何かを持っている。そして、二人が言うとおり第一級特異危険視には複数の精霊を宿っている。これは事実だ。」


 それを聞いてレーゼはユージの言った事に酷く驚いていた。ライやエモールも同じように驚いていた。だが、ロコはユージの言った事に疑問が生じた。


「ねえねえユージ?・・・ユージはその未知数の何かを持っているのでしょう。それって何?」


 ユージに尋ねると


「俺が持つ未知数の何かは叡智。未知数の叡智。それが・・・俺の持つの力。だが・・・もう一つあるんだ。でも、それは他の三人も持っている力だ。」


 それを聞いていたロコは目をキラキラしながら


「じゃあ・・・他の三人の力は?」


 ユージはロコの質問攻めに少々顔を引き攣っていた。


「『剣霊界』の人は未知数の戦闘力・・・『魔霊界』の人は未知数の『闘気/魔力/妖力/神威』の総量。・・・・・・そして、『妖怪界』の人は未知数の権謀術数。さらには俺を含めた四人が持つ未知数の潜在能力・・・以上が・・・第一級特異危険視が持つ力だ。(だが・・・第一級特異危険視には・・・もう一つある・・・それは・・・・・・GROの最強生物たちの能力が使えるということを・・・・・・俺は体感という時間間隔を支配できる力と・・・・・・全てを吸い込む力・・・・・・これが一番恐ろしいことなんだ。GROの最強生物たちの実力はレベル8500超え・・・・・・第一級特異危険視でしか倒せない化け物たちだ。)」


 ユージはそう言うが内心では苦しんでいるようだった。ロコは気づいたようだが、気づかないふりをしてレーゼ、ライ、エモールたちを部屋へと連れていた。その間にユージはアイテム欄を開き、『覇者の笛』を探した。そして、『覇者の笛』の項目を見つけると使おうか迷っていた。そしたら、ロコが入ってきて


「何か隠し事しているでしょう?」


 ユージの的を射るように言うと、ユージは降参という構えを取った。


「何で分かるの?」


 いちおう確認のために聞くと


「先輩ことなら何でも知っています!!」


「参ったな・・・ロコが一番恐いかも知れない。・・・だが・・・仕方ない・・・・・・話すよ。・・・さっきの続きをね!!」


 ユージはロコにさっきの続きを話すとロコはレーゼたちと同じように驚いていた。だが


「それがどうしたのです?・・・確かに・・・さっきの話はとても人間に許された力ではありません・・・・・・ですが・・・貴方は・・・ユージ・レイロックです・・・・・・そして・・・あたしの先輩なんですから・・・・・・一人で抱え込むことはしないください!!」


 ロコは泣きながら言うとユージは深く息を吐き


「分かった・・・君は・・・いや君だけは・・・どんなことがあっても俺についてくる気だね・・・」


 ユージが言ったことにロコは深く頷くとユージは仕方なく、時間間隔を狂わせた。それによりユージがロコの横を通り過ぎてもロコはそれに気づいていない。そして、ドアの前に立つとドアを開け、そこにいたのはレーゼ、ライ、エモールたちだった。レーゼたちはユージのことに気づいていなかった。ユージは大きな息を吐くと時間間隔の狂いを解いた。解いた瞬間、レーゼたちがあたふたと慌てていた。ロコもレーゼたちと同じように慌てていた。ユージは今のことを説明した。


「今のは、『鹿王スカイ・ディウス』の能力である時間の間隔を狂わす力『裏時間』・・・対象全ての体感時間を急速的に早くしたり遅くしたりすることが出来る能力・・・・・・」


 皆に説明するとユージは


「さてと・・・そろそろ部屋に戻って休んでくれないか?・・・・・・眠くってね。」


 ユージがそう言うと四人は部屋を出ていた。ユージはベッドの上で横になると


「(ちっ・・・『裏時間』を使うと・・・・・・神威の消耗が速いが・・・『鯨王サーン』の『超吸引力』は吸い込んだ対象の神威だろうと変換し自分の神威に出来るという利点があるが・・・・・・その効果範囲が広すぎるという欠点がある・・・・・・だが・・・神威の消耗は少ないので助かる。)」


 フンッとユージはそのまま眠りについた。




 明日の朝、ユージは荷物をまとめて宿を出ようとしたが、宿の入り口にはロコたちがいたのだ。それを見てユージは


「そこまで読んでいたの・・・ロコ」


 ロコに向かって言うと


「当たり前です・・・先輩の考えは分かっていましたから。」


 ユージはロコが言ったことに内心ビクビクしていた。


「(恐いわ・・・騎士養成学校の時から俺の行動・・・全て読んでいたし・・・・・・ヤバイ後輩を選んでしまった気がする・・・)」


 ユージはロコたちの、いや、ロコの行動力に観念したのか


「分かった・・・ついてきたいんだね・・・・・・嫌でも!!」


 ロコは頷くとレーゼが


「しょうがない・・・ロコ一人だと危なかっかしいし・・・心配だから・・・あたしもついて行くわ・・・ロコの世話役としてね。」


「もう・・・あたしは危なかっかしくないよ・・・!」


 レーゼが言ったことにロコが否定するもユージを含めた四人は内心同じことを考えていた。


「「「「(嘘つけ!!!!!!)」」」」


 だが、ユージはライとエモールに向き


「お前らはどうするんだ?」


 二人の真意を聞くと


「しょうがない・・・女二人にお前じゃ心配だしな・・・」


「それに一人は心配性で・・・もう一人は我が強い娘だしね・・・ユージ一人だとパンクすると思うからついて行くことにするよ。・・・俺たち!!」


 ライとエモールはそう言うとユージは


「ありがとう・・・助かるよ・・・・・・そうしないと俺が死にそうだ・・・・・・別の意味で・・・」


 ユージは二人が言ったことに感謝しながら同情した。二人も同じく同情していた。だが、ロコとレーゼは三人に疑惑の目を向けていた。三人はそれを無視すると、ユージが今後の方針を伝えた。


「今後の方針だけど、俺たちに必要なのは仲間と力だ。これからの先『聖騎士界』いや世界を相手にするには力と仲間が必要だ!!・・・なあ・・・・・・ここら辺でなかなかの強い騎士いるの知っているか・・・聖堂騎士団以外に!!」


 そう言うと四人はう~んと考えるとレーゼが


「ここから北の町にあんた言う強い騎士なら五人いるよ・・・しかもギルドという組織を作って・・・」


 レーゼが言ったことにライとエモールは


「おいおい・・・レーゼが言っている奴らって聖堂騎士団と互角以上の実力者がいる町じゃないか・・・」


「しかも・・・そいつらって50人ぐらいのギルドを組織している奴らじゃ・・・マジかよ・・・」


ユージはライとエモールが驚いているので訳を聞くと


「そんなに凄いのか?・・・その5人って?」


 ユージが言うとライとエモールから


「何だ・・・知らないのか!?」


「あの5人は聖堂騎士団の区域外で根城にしている奴らだよ。」


 二人がそう言うと五人のギルドを教えた。


「一人目は『聖煌の騎士団』 総勢56名 を率いる リン・・・・・・」


「二人目は『孤高の騎士団』 総勢64名 のリーダー ホウ・・・」


「三人目は『清流の騎士団』 総勢70名 のボス シャルル・・・」


「四人目は『雷鳴の騎士団』 総勢86名 頭 ララ・・・」


「五人目は『混沌の騎士団』 総勢74名 親玉 ナルカ・・・」


 五人のギルドの紹介をしたライとエモールはユージに


「ユージ・・・こんな奴らじゃ・・・俺たち・・・死んじゃうよ・・・」


「ああ・・・そうだ・・・・・・仲間は僕たちだけで十分だって!」


 ライが言ったことにエモールも同意して、ユージにそう言うけど、ユージは二人が言ったことを無視して


「とりあえず・・・その五人にあってからにしようか?・・・その時に仲間にするか・・・考えよう。レーゼとロコはそれでいいか?」


 男子の二人を無視して女性陣に聞くと


「いいんじゃない・・・どうせ・・・行ってみないと分からないし・・・・・・」


 レーゼが言ったことにロコも


「そうだよ・・・ユージがあたしたちのボスなんだから・・・・・・ボスの言うことに従わないと!!」


 同意していた。


「それじゃ・・・その五人がいる北の町に向けて出発しようじゃないか」


 ユージの指示で四人もそれに賛同し、北の町に向けて出発したのだ。




 北の町に向かって二日の時が経った。三日目の昼前に例の五人が町に着いた。ユージたちは町について早々、宿へ行き、食事を取った。食事を取っていると宿に入って来る人たちに周りがざわめき始めたのだ。


「何だ?・・・何かあったのか?」


 ユージが言うと


「ほっとけ・・・今は・・・とにかく・・・飯を食おうぜ!!」


 ライが飯に集中すると


「それもそうだな!」


 ユージもそれには同意して飯を食い始めた。そしたら、ユージたちの方に誰か近づいてきた。


「ちょっといいかしら?」


 ユージたちは急に声をかけられて振り向くと、それを見てレーゼたちは


「げぇ・・・厄介な人たちがきた・・・・・・帰れ・・・帰れ・・・」


 レーゼは今来た人たちに呪語を連発すると、そいつらは


「貴方が騎士養成学校の首席であるユージ・レイロックですね。」


「そうだけど・・・何のよう?」


 ユージはいきなりの話に少々苛立って尋ねると


「率直に言います。この私の『孤高の騎士団』に入ってくれないだろうか?」


 いきなりの言われようにロコたちはえっといった顔をしていたが、ユージは


「断る!!・・・言うならよそでやってくれないか?」


 言い返すと『孤高の騎士団』のリーダーのホウはうぬぬっと苛立つと


「では、あたしの『混沌の騎士団』に・・・・・・」


 『混沌の騎士団』のリーダーのナルカが加入を言いかけた所をユージが


「それも断る・・・他の人たちも加入だったら・・・断るよ!!・・・帰ってくれ!!」


 そう言うと四人がうぬぬっと苛立ち始めた。だが、ユージはこうも言った。


「お前らが俺の仲間になるならいいけど・・・」


 そう言うと五人はさらに苛立ってきた。ふと、ユージは何か強い気配がこちらに近づくのを感じた。それもここにいる全員が気づかない程の強者だった。そうしていると宿の入り口の方から


「ふーん・・・君がユージ・レイロックっか?なかなか良い面してるじゃない。」


 いきなりの声に全員、入り口の方を見るとユージが顔を引き攣り始めた。ユージの様子が変わったことにロコが気づいた。


「どうしたんですか先輩?・・・あの人知っているんですか?」


 ユージはロコが言った疑問を答えた。


「あいつは・・・聖霊軍本部の大将グレンだ。」


「凄い人なんですか?」


 ロコはそれを聞いて首を傾げながら言うと、ユージから拳骨が来た。


「あほか・・・あいつの実力は聖堂騎士団より遙か上の実力者だぞ。」


 それを聞いてロコだけでなくこの場にいる全員、驚愕していた。ユージは皆の前に立つとあることに気づいた。大将グレンに手傷を負っているので聞いてみると


「その傷・・・何なんですか?」


「ああ・・・これか」


 大将は傷口を触りながら


「ちょっと『剣霊界』で重い一太刀を受けてしまってね。」


「そうですか。(『剣霊界』にいる第一級特異危険視が大将グレンに手傷を負わせたんだ・・・やるなぁ・・・そいつ!!・・・・・・といってもそれは向こうの事情だ・・・こいつを退かせるには戦うしかない・・・)」


 ユージはこの場をどうするか考えているとホウたちが大将グレンに立ち向かおうとしていた。大将グレンは


「『アイス・ランス』」


氷の槍を作り、それをホウたちに目掛けて投げたのだ。それを見たユージは咄嗟に身体が動いてしまい、その氷の槍を蒼き剣で受け止めた。それを見たホウたちは驚いていた。実はさっきの攻撃が見えてなかったのだ。それを止めたユージ。今ので、分かったのだ。ユージと大将グレンの実力はホウたちと天と地の差だということに・・・。だが、ロコたちも同じように感じていたが、ユージの加勢に加わるようだ。そして


「ユージ!・・・どうすればいい?」


 ライがユージに指示を聞くと


「とりあえず・・・今の攻撃で奴の能力が分かったなら上出来だけど・・・」


 ユージは大将グレンの能力をレーゼたちに聞くと


「おそらく・・・だけど・・・あの人の能力は『氷』じゃ・・・・・・ないかしら?」


 レーゼがそう言うと


「レーゼも・・・先輩・・・あたしもそう思ったんですけど・・・」


 ロコもレーゼの言ったことに賛成した。


「レーゼの言うとおりだと思うけど・・・ついでに言うと・・・あいつの身体の一部に触れたら凍傷になる可能性があると言ってもいい・・・・・・最悪の場合・・・奴に全身を凍らせると・・・凍死するかもな・・・」


 ライがもう少し的確に説明すると、エモールもコクッと頷いて同意した。それを見ていた大将グレンは


「あらら・・・ここまで能力を分かるとなると君たちはこの場で消さなきゃいけないな・・・」


 そう言うとロコたちは剣を抜き始める。すぐにユージは蒼き剣を地面に突き立て


「『アーマメント』」


 と唱えると、剣が光り始め、蒼い蔦が出てきた。それは宿の外まで出て、それに巻き込まれた動物や植物などが凍らされ、少しずつ神威を吸収していた。徐々に回復している神威を感じたユージはすぐに


「『リコレクション』」


 さらに光り始め、蒼い蔦が大きくなり、範囲が拡大していった。先ほど巻き込まれた動物、植物など、さらに巻き込まれた人たちも含め、凍死していた。凍死した方から、神威を根こそぎ吸収していた。光がやむとロコたちが見た光景は前に見た光景とは天地の差だった。この宿の中心にありとあらゆるものが全て凍っていた。大将グレンも凍っていた。そしたら、ロコたちの背中に蒼い蔦が触れた途端、神威が流れ込んできた。レーゼは確認のためにユージに聞くと


「ねえ・・・『ユミヘル』の能力って確か・・・命を吸い取る能力だよね・・・それって他人にも影響あるの・・・神威が回復したんだけど・・・」


 そう言うとユージは


「さっきのは・・・俺がしたんだよ・・・仲間を安全に守れるか分からないから・・・」


 そう言うとレーゼは仕方ないという顔をしていた。その時、大将グレンが凍っていた氷が砕けてしまった。だが、大将グレンはゼェハァゼェハァと息が荒かった。荒い呼吸のまま


「さすがは・・・第一級特異危険視・・・・・・ここまでやるとはな・・・だが、俺もこんな所で引くわけにも行かないな。」


 といい大将グレンは


「『アイス・パルチザン』」


 アイス・パルチザンを四つ作りロコたちに目掛けて投げて、本人はユージに立ち向かった。ロコたちに目掛けて投げたアイス・パルチザン。その窮地に晒されたロコたち、だが、アイス・パルチザンの速度が遅く見えたので、それを躱し、ユージの加勢に向かった。その間のホウたちは、大将グレンの攻撃を受け止めたユージ、躱したロコ、レーゼ、ライ、エモールを見て、嫉妬などに燃えていた。そんな思いがあり、ホウたちも大将グレンに挑みにいった。




 大将グレンとの攻防をしているユージ、そこに加勢してきたロコたちにホウたちの攻撃を躱しいなして大将グレンだが、内心では


「(くっそ・・・こいつら気づいていないだろうが動きと攻撃のキレが良くなっていやがる・・・『剣霊界』の時と同じだ・・・こいつら成長速度は異常・・・・・・いったいどういうことだ?)」


 大将グレンが解せない顔をしていると、ユージが


「解せないって気分かい?・・・そりゃそうだ・・・・・・俺たちの動きと攻撃のキレが増してきていることに・・・・・・その様子じゃ・・・・・・『剣霊界』の奴らも・・・同じことがあったとお見受けられる・・・・・・それじゃあ・・・・・・教えてやるよ・・・お前ら・・・中央の奴らが恐れている・・・第一級特異危険視のことを・・・・・・第一級特異危険視・・・それはかつて・・・GROで・・・・・・頂点に立ったプレイヤーたちにつけられた・・・・・・忌名・・・そして・・・・・・いずれ・・・四つの世界を統べる・・・覇王のこと・・・・・・それと・・・もう一つ・・・・・・四つの世界それぞれの王に・・・・・・になる存在だ。・・・だが・・・中央は・・・そのプレイヤーたちを・・・・・・消そうとした。・・・・・・でも・・・かつての王たちは・・・それを察知して・・・あるシステムを作った・・・それは王の力を次世代の王たちに継承させるシステム・・・それが・・・何百年・・・何千年分の・・・歴史に・・・・・・終止符をつけるという・・・思いを込めて・・・俺たちのような・・・存在が・・・・・・生まれる時を・・・夢見て作った・・・システムな・・・んだ。・・・・・・第一級特異危険視は・・・中央が・・・・・・揉み消した名がある・・・『神殺しの魔神または神』と・・・呼ばれていた。・・・中央のような・・・神ではなく・・・本当の神を・・・恐れている・・・これは事実であり・・・・・・未知数の叡智の中に・・・記されていた・・・事実だ!!!!!!」


 それを聞いていた全員は皆、疑問が生じた。


「でも、どうして僕たちの動きが良くなるんだい?」


 それはこの場にいる全員が思った疑問だ。だが、ユージは


「答えは・・・簡単だよ・・・・・・第一級特異危険視には・・・・・・心から信頼における仲間には・・・その恩恵・・・つまり・・・・・・急速的に強くなるという・・・恩恵がね・・・」


 それを聞いてロコたちは内心、自分たちはもうユージの仲間になったと嬉しがる人、納得する人などがいた。だが、大将グレンは上空に飛び、攻撃を仕掛けてきた。


「『アイス・ランス』」


 氷の槍を多数出現させ、それを雨のように降らせた。


「『アイス・レイン』」


 ユージたちは空から降ってくる氷の槍の雨に驚くも、ユージは蒼き剣を納め、無窮から新たな剣を出し抜くと『へファイス』という精霊を


「『アーマメント』」


 と唱えた途端、周囲の温度が上がっていた。ロコたちは急な気温の上昇に何が起こったのか。ユージを見ると、ユージの周囲に炎の槍がたくさん出現していたが、さらには


「さらに暑くなるけど・・・我慢してよ・・・『リコレクション』」


 途端に火山の近くにいるような温度を感じた。そして、ユージの周りにある炎の槍が溶岩の槍になり、大将グレンに向けて放った。氷の槍の雨とたくさんの溶岩の槍が衝突し水蒸気を上げるが溶岩の槍は水蒸気の中からどんどん出てきて大将グレンに当たると、軽傷の状態の大将グレンがいたが、大将の背後にユージがいた。神威を剣に込めて重い一撃を放った。それを受けた大将グレンは地に落ちていたが、すぐに立ち上がってきた。だが、さっきの一撃は効いていたらしく、前回に受けたダメージにより退却をすることしかなかった。


「ちっ・・・この場は・・・引くしかないようですね・・・」


 そう言って大将グレンはこの場を去った。それを上空で見ていたユージが地に下り始め、それを見ていたロコたちはその場に座り込んだ。そして、ユージが地面に降り立つとロコたちを見たが、すぐに視線をそらした。それと同じくしてライとエモールも視線をそらした。その時、頭上が暗くなり、全員、空を見上げると、そこにあったのは超巨大な戦闘艦空挺だった。それを見てユージは


「これは・・・超巨大戦闘艦空挺『ゼラウス』・・・・・・かつてのGROの世界・・・空を支配していた四つの戦闘艦空挺の一つ『ゼラウス』・・・第一級特異危険視とその仲間だけにしか使えない超巨大戦闘艦空挺。」


 ユージは深い息を吐き


「仕方ない・・・この船を使うしかないようだね。・・・それにロコやレーゼ、五騎士団のリーダーとその仲間たちをあいつに乗せるしかないな。」


 そう言うと戦闘艦空挺はそれに反応したのかユージたちと五騎士団の仲間たちを転送した。戦闘艦空挺の中に入ると、ロコたちには今まで見たことない設備などがあった。すぐにユージはこの設備のシステムを使い、この超巨大戦艦空挺の姿、形を隠し、空挺の反応を消した。それを見ていたロコは


「先輩・・・今何をしたのですか?」


 ユージに尋ねると


「この戦闘艦空挺のシステム『光学迷彩』と『ステルス』を使用した。・・・どうして知っているのかというと・・・おっと、その前に一先ずは風呂場に行って、疲れを癒やそうその方が楽に話せそうだし。」


 そう言ってユージはライとエモールを連れて風呂場に向かった。風呂場に向かっている途中。ライとエモールがユージに


「ユージ。助かった。女性陣のあれは俺たちの目のやり場に困っていたから。」


「ああ。助かったよ。」


 とても感謝していた。男性陣が浴槽で疲れを癒やしていると女性陣も脱衣所で服を脱ごうとした時、お互いを見るとハッとなって気づいて顔を真っ赤に染めていた。そして、浴槽で疲れを癒やしていると、その間にホウたちが考えていることは・・・。




 男性陣も女性陣も疲れを癒やした後、転送された場所に戻りホウたちがユージに


「ユージいやユージ・レイロック。我々五つの騎士団を代表して言う・・・・・・我々を其方の仲間にしてくれないか?」


 と言うとユージは


「いいよ。俺には仲間が欲しい。俺個人として・・・君たちに迷惑をかけたのには深くお詫びを申し上げる。本当にすまない。」


 ユージが皆に頭を下げると、リンが


「顔を上げてください。私たちは、貴方のおかげで世界の広さに痛感しました。これからの私たちは貴方を団長として仕えたいと思っています。」


 リンがそう言うと他の四人もそれに同意したのだ。それを見てユージは


「分かった。君たちは俺のいや我が『真・整合騎士団』の一員として精進したまえ。以上だ!!」


 そう言うと五騎士団のリーダーとその仲間たちが共に頭を下げた。




 少しの時間をおき、ユージが皆にあることを伝えた。


「さて、皆、我々はこの『ゼラウス』にいるが、そもそも『ゼラウス』とは、いったい何なのか?と疑問に思う人がいるだろう。・・・実はこの『ゼラウス』には各種いろんな設備が搭載されている。もちろん、戦闘の面でも、この艦空挺には格納庫に何十に及ぶ小型戦闘艦空挺や小型船があり、この艦空挺に転送されてすぐに起動させた『光学迷彩』『ステルス機能』などの武器が搭載されている。だが、これは当時のことを良く表していると言ってもいい。当時はGROと他のVR世界を巻き込んだ戦争があった。結果は今の中央政府の奴らが勝ったけど・・・この艦空挺たちには傷一つつかなかったといわれている。定かではないがこの超巨大戦艦空挺のことに俺もよく分かっていないんだ。すまない。」


 ユージが説明を終えると、レーゼが


「ユージがそれを知っているのは叡智によるものなの?」


 確認のために聞くと


「そうだ!」


 エモールがユージに質問した。


「お前はあの時、(四つの内の一つの『ゼラウス』)だって言った。その四つというのは、このGROの四つの世界のことなのか?」


 尋ねると


「その通りだ。『剣霊界』、『魔霊界』、『妖怪界』そして、『聖騎士界』にはかつて、この超巨大戦艦空挺があった。そして今、その四つが復活しようとしている。その四機には『ゼラウス』、『ウラシル』、『クロウ』、『曳船』という名が刻まれている。この船は中央の奴らには操れない構造しているから安心してくれ。話を変えるが、これからのことだけど、まずは仲間が欲しいため。中間の世界、強者と弱者が入り交じる世界に向かおうと思うがどうだろうか?」


 皆に問うと


「貴方が行くところが我々の行くところなのです。ですので、ご指示を!」


 ユージは皆の顔と目を見て判断した。


「よし・・・全員は位置につけ!!・・・・・・ゆくぞ・・・我が同志よ・・・次の場所は強者と弱者の入り交じる世界に向けて・・・出航だ!!!」


 ユージたちは『超巨大戦艦空挺ゼラウス』に乗り、強者と弱者が入り交じる世界に向けて出航した。

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