ラム ウィ ダオラ "サムス"
木の上に居る女の子と目が合うとじっと見つめ返され続けた。見た目は中学生くらいだろうか。服装は和装にも見えるが敢えていうならくノ一のような印象を受ける。見つめ合っていても始まらないので質問してみた。
「えっと、枯れない桜を探してるのですがこの木でいいですか?」
何かしらの返答を期待していたのだが女の子は無言で眉間にしわを寄せ、先ほどよりも明らかに警戒されているのがわかった。腰に差している刀?っぽい武器に手をかけたことから友好的ではないかもしれない・・・ならばここが枯れない桜であることに賭けて発してみる。
「ラム ウィ ダオラ "サムス"」
女の子の表情が驚いたような顔になる。自分で言っておいてなんだけど意味のわからない言葉が通じたかもしれないと思ってちょっとだけ安心したが、すぐに何処かへと消えてしまった。
「ちょ、ちょっとまってよ」
追いかけようと女の子が消えた先である木の裏手を見るも影も形もなかった。そこで気付いたのだが、舞い散ったはずに桜が何処にも見当たらない。見上げると満開の桜が咲き誇っている。"枯れない桜"だと確信した。
「"枯れない桜"を見つけてそこに現われた人にさっきの言葉を言うことはできたけど、この後どうすればいいんだろう」
再度頭を抱えているとさっきの女の子が戻ってきて手招きをしていた。今の自分に選択肢があるわけもなく、促されるまま桜の木の根元に行く。
じりじりとにじみよられる為にこちらもじりじりと下がると背中に何かが当たった。桜の木のようだ。獲物を追い詰めたかのように女の子は逃げ道を塞ぎ、ただ界渡をじ~と見ている。居心地が悪くて頬をぽりぽりとかいていたらにこっと微笑えまれて両手でドンっと突き飛ばされた。
「っ!」
突然のことで対処できずたたらを踏んで堪えようとしたが思えば背には木があったはずと考えた時には、堪えきれずに尻餅をついていた。ハっとなり辺りを見回すと一人の爺さんが居る。爺さんはこちらをじっと見つめていると満足したのか語りかけてきた。
「御主、名をなんという」
「く、倉橋 界渡」
再度じっと見つめられた。
わけがわからなすぎて心の中でじぃちゃ~んと叫んだのは仕方無いことだと思う。最初こそ全体的に見られていたが少しして胸を注視されているのに気付いた。
「胸を見せてもらってもよいかの」
「なぜ、でしょうか」
「御主のことを知るためじゃよ、まぁ好奇心でもあるがのう」
ホッホッホッとでもいいそうな笑みを浮かべている爺さんを見て懐かしい気持ちになる。そして思う、この人は信用してもいいのではないかと。なぜこんな風に感じるのかと思案に耽っていたらふと思い立つ。この爺さんはじぃちゃんに雰囲気が似てるんだ。
そう感じたらなんとなく心が軽くなり、余裕も生まれ、言うとおりにしてもいいかなと思い始め、制服のワイシャツのボタンをはずして胸を見せる。
「どうぞ」
肌蹴させ見せた胸元にはとある文字のようなものが刻まれている。例の石が胸に吸い込まれた際に刻まれた文字だ。それを見て得心がいったのか、爺さんが鷹揚に頷く。
「わしの名はゼム、"サムス"の孫、界渡とやらよ、歓迎しよう」
その言葉を聴けてようやっと安堵の吐息を吐けた。
こうして俺は知らない世界へと来ることになり、ゼム爺の元で一年以上もの間修行をすることになった。もちろん最初は抵抗した。すぐにでも修治を探しに行きたかったからだ。でも、知ってしまった。この世界のこと、自分達の力のことを。今のままでは自分自身ですら守りきれないということを、だから従った。修が生きていることを信じて。
やっと・・・旅がはじめられそうです。ちょっと展開がくどくなりすぎた感がある。どうしてくれようか。




