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ELS(仮)  作者: ハトムギ
第一章
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言葉は通じますか?

 あれからどんなに引き離そうとしてもまったく振り切れる気配がなかった為に諦めている。ただあのこれじゃない感の走りでちらちらとこちらを見てくる姿だけは若干イラッとしてしまっているのは仕方ないだろう。


 白饅頭との不毛な競争?をしているうちに樹林を抜けてしまった。探索した記憶がない…。あとはガルゴ山を越えるのみ。



 ~霊峰ガルゴ山~

  木々は裾程にしかなく、山肌はほぼ剝き出し状態であるが、とある鉱石の採掘場として有名。標高は三千mと富士山より少し低いくらい。ガルゴ山の北側は人が住む地となり、南は界渡が走破してきた樹林や崖等、人が住むことが出来ないとされる地が広がっている。



 ここからは遠慮無しに空中を駆けるつもりでいた為、白饅頭をみてニヤリとする。


「貴様の快進撃もここまでだ、さらば」


 外套をさっと翻して今にも駆け出そうとした瞬間、肩に重みを感じる。重みを感じた方の肩を見ると、真ん丸形態の白饅頭がさも当然のように乗っている。


 しかも手のような突起をぐっと伸ばして「さぁ飛びたて~」といった感じで躍動感さえ感じさせてくる。


 

 パシッ



 白饅頭をはたいて肩から落とし、無言で駆け……



 グワシッ



 る前に外套に噛み付かれた。意外に力が強い。


 どうしてくれようこの非常食。


「白饅頭よ、そんなに着いてきたいのか?」


 ウンウンッっと頷いている。


 言葉わかんのかよ。


「はぁ、よくわからんのに懐かれた。ほれ、肩に乗れ」


 嬉しそうに肩に乗った白饅頭は頬にすりすりしてくる。愛嬌ある分許すか。目指すはガルド山越え!

 

 当初の一人旅から珍妙なこれじゃないうさぎを交えて旅は進む。

  


              ◇

              ◇

              ◇


 ガルド山の頂上にたどりついて見渡すと街はすぐに見つかった。思ったよりも離れておらず、麓から一kmといったところか。


 高さ五m程の高さの塀で囲まれており、山側の入り口は鉱石搬入側となっていた為に北側にある入り口へと回り込む。


 さっそく街へ入ろうとすると門番と思われる兵士に止められた。


「失礼、こちらの街へはどのようなご用件で?」

「はぐれた知人を探しています。情報を集めるとしたら何処がよいか教えてほしいのですが」

「ふむ、情報収集といえばやはり酒場だろうね。この街には大きいのだと二つあるから行ってみるといいよ」


 酒場の場所も聞いておく。


「では、鉱山都市ペドレイアへようこそ、知人さん見つかるといいですね」


 見た目三十歳程に見える門番の人が優しく微笑んで門を通してくれた。


 ゼム爺達を抜かしてこの世界の人とのファーストコンタクト。少しだけ緊張していたようだ。


 緊張していた理由の一つに言葉がある。ゼム爺曰く、この世界の名は【ラクナ】、当然公用語は独自の言語となる。グラミン語というその言語は、ラクナの九割にものぼる地域にて使用されているとのことでゼム爺に教えてもらっていた。 


 門番の人に教えてもらった手近な方の酒場を見つけて両開きの扉を開けると昼間だというのに顔を朱に染めている人がちらほらみかけられる。繁盛しているようだ。


 お腹も減っていたのでカルーの肉野菜炒めを注文しようとすると白饅頭が肩から降りてメニュー表を見ている。


「おまえも何か食べるのか?」


 ウンウンと頷きながら手っぽいものを伸ばして指し示している。どれどれと見てみると・・・



 ・エール酒

 ・つまみ盛り合わせセット



 何処の飲兵衛だこいつは。白饅頭を両手で挟んで締め上げる。何かよくない音が聞こえているが、無視しているとぐったりとして動かなくなった。これぐらいで許してやるか。


 白饅頭はおいといて情報収集。


 食事をしている最中、周りの会話に耳を(そばだ)てると気になることを話しているメンツがいた。内容をまとめてみるとこうだ。



 ・変な格好をしたやつが最近街に現われた。

 ・よくわからない言葉をぶつぶつしゃべっている。

 ・金属の棒のようなものをいつも抱えている。

 ・街の北西でよく蹲っている。



 三つ目はよくわからないけど一つ目は特に気になる。この世界に来た当初の格好のままならありえるからだ。でも一年以上もその格好をしていることは考えにくいので修治である確立は低い。四つ目はちょっとだけ心配。とりあえずは探してみることにしよう。手がかりは今は何もないのだ。


 他に目ぼしい情報は聞けなかった為にさっそく街の北西に行ってみる。時間帯は不明なので長期戦も考えていたがすぐに家と家の隙間の路地で蹲ってる人を見つけた。


 逸る気持ちを抑えて遠めに観察して驚いた、迷彩服だ。オシャレ着のではなく自衛隊が着ているような迷彩服を着ている。しかも黒髪。これは接触しないといけない。


 体育座りに膝に顔を埋めている状態でピクリとも動かない。死んでたらどうしようと思いつつも確かめる為に近づいていく。


 よかった、呼吸の上下動は確認できた。


 生きてることを確認できたのはいいけどどうやって話しかけようか迷ったが、この世界の住人なのか日本の人なのかを見分けるにはいいやり方があるじゃないかと思いつく。



『こんにちは、いい天気ですね』


 額に手をかざして眩しそうにしながら日本語で語りかけてみる。


 すると(うず)めていた顔をゆっくりとあげてくれた。顔中泥だらけだがどうやら女の人のようだ。


『言葉は通じますか?』


 ものすごい勢いで首を縦に何度も振って、今にも泣き出しそうな顔で縋りつかれた。


自衛隊?のような人が出てきますが現代武器を使って無双とかそういう物語にはなりません。


今後も出てきますが、『』の中は日本語での会話内容となります。

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