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短編集

半額シールに心躍る

作者: 逢坂巡
掲載日:2025/11/09

フルタイム、正社員、事務職員。

旦那さんは法律家。子供はいない。


そんな私の楽しみは、スーパーの値引きシールが貼られた商品を探して買うことである。

とはいっても子供はいないし、夫婦揃って働いているので、お金に困っているわけでもない。


だか、なぜだろう。

半額シールを見ると心躍らずにはいられない。

ハミングしながらつい手に取ってしまう。

特にお肉。

牛肉や鶏肉、豚肉に羊肉。

お肉が安くなっていたら、もうそれは素早く手に取る。

消費期限が近くてもそのまま冷凍しておけるのだ。買わない手はない。

逆にフルーツや野菜なども値引きシールが張られていることもあるが、傷んでいたりする部分が多少ある。

そうすると、その部分は削って捨てなければいけない。

ちょっと損した気持ちになる。

前に買った20 %引きの梨などは、下の方が売れすぎて黒くなっていた。

グズグズになっていて食べられる場所が減ってしまっていた。

反面、お肉であれば傷んでいないのだ。

だから、お肉のほうが好き。


私の通っているスーパーだと、一定のポイントが貯まると、チケットに引き換えてくれる。

これを2枚提示するだけで、500円引きになるのだから、とても助かる。

すでに手元には3枚あるから、次回の買い物は500円引きから始まる。

これだから、スーパーはたまらない。


さらに7日17日27日は特売日で商品が安く手に入る。

3個入りの豆腐が90円ぐらいで売っているから、とてもお得なことがわかる。

平日だと仕事があるのであまり狙って行けないが、休日に当たっていると混んでいても迷わず行く。

物価高の中で安くしてもらえることはとてもありがたいのだ。

なんたって、通常だとサバ缶3個パックで700円以上するのだから、そんなもの白目を剥くに決まっているのだ。

何を買うにしても高い。

普段スーパーを見て回っているとあまりの物価の高さに悲鳴を上げて人生やってられなくなるが、その中でもまだ安いと思えるものに出会えた時のあの快感⋯。


もはやこれは趣味である。

生活にある程度ゆとりがあるからこそ、健全に楽しめるのだろう。

お金がなくて困っていたら、切実に安いものを買い求めなければならない。

そういった義務感とは離れた場所に節約、という趣味が存在しているのかもしれない。

楽しめる、とはゆとりがあるということ。

すなわち余地があることである。


小説はどうだろうか?

私は最近、小説を書き始めたが、義務になっていないだろうか?

最初は楽しいから書き始めたはず。

なのに、最初の投稿から1週間経過した今は読者の反応や評価ポイントが気になって仕方がない。

これはとても不自由である。


小説家になろうと思って、書き始めたのだろうか。

小説家になって一発当てるよりも、サラリーマンとして大人しく働いたほうが確実に金にはなる。

ではなぜだろう?

私はなぜ文章を書き続けるのだろう?

⋯それでも諦められない思いがきっとあるのだろう。

書かずにはいられないなにかが。

書くことで初めて昇華できる思いがある。


そんな私は間違いなく、半額シールを追いかける小説家の一人だった。


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最後までお読みいただき、ありがとうございます。

作品の感想を、★〜★★★★★で評価していただけると嬉しいです。

今後の創作の励みにさせていただきます。

どうぞよろしくお願いいたします。

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