【プロットタイプ】凭れ、駄目になるくらいなら
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
こんな恋愛もどっかにあって欲しい。切実に。
「別れよう」
其れは三年間付き合った。彼からの一言だった。
別に彼との恋愛が上手くって無かった訳では無い。寧ろ良好だったと思う。よく連絡を取り合って、好きな場所の写真を送り合って、何も無い日には二人一緒に居た。前髪が擦れ合うまで顔を近付ける遊びを頻繁にした。
傍から見れば、絵に書いたような円満だった。けれども彼が別れを切り出すのも、何となく分かって居たのだ。
彼は何でもしてあげたい側の人間だった。頼って欲しい側の人間だった。悩みがあったら言って欲しいし、悩みが無くても今日あった事を聞きたがる。傍に寄り添って甲斐甲斐しく面倒を見る。それこそが彼の生き甲斐だと言う様に。
けれども私はそうじゃ無かった。『何かあったの?』と聞かれても『何でもない』と答えたし、『手伝うよ』と言われても『一人で大丈夫』と返した。その度に、彼は何処か寂しげな顔で『分かったよ……』と返した。
多分、それが限界を迎えたのだと思う。自分に相応しくないと、そう思ったのだと思う。
甘えて、欲しかったのだ。頼られて、何かしてあげて、誰かを愛する事で、愛を感じる側の人間だったから。
そんなに走馬灯のフィルムを脳内で再生した後、ぎこちなく口角を上げて、彼の手を握った。
「幸せだったよ。沢山、沢山、気を使ってくれて……」
駄目になりそうな程、私に沢山のものをくれて。でもそれじゃあ、私じゃなかったの。凭れて駄目になるのは、私じゃ無かったの。
「別れても、元気でね。また会った時、笑顔で居てね」
それが最後の別れの言葉になった。
「解析度が低ぃって、諭羅から言われたから。……助言者がボロ泣きすんなよ」
ついこの間、『恋愛感情を知らない故に、描写が浅い』と旧友に指摘をされた為、鏡花に助言を貰った。すると『無理に恋愛に移行する必要はなく、身近にあった少し寂しいことを浮かべて書け』と言われて書いた小説がこれである。
「これ……彼氏側……麗衣ちゃまじゃん……! ぶっちゃけ想像出来るから……マジでつれぇのよ……!!!」
「よく分かったな」
彼奴も大概、世話焼いて甘える側だかんな。
鏡花がボロ泣きしたのは、現実でありそうなのと、感情移入しているから。
そうやって駒を作るから。出すから。
とあるボカロの曲とか、花の楽曲名とかを浮かべて書いた話。
別に泣いてないし、そこまで憂いもない。未練もそこまで。って感じですが、曲調を想像して。
円満で、幸せで、それでも別れなくてはならない時ってこんな時かなぁと。
何処までも面倒見たがる彼と、あんまり甘えたくない彼女の組み合わせ。
だから彼が『何かしてあげるっ!!』って言う度に、傷ついて来たんだろうと思います。
迷惑とか、愚痴とか、沢山聞きたかったし、抱き締めてあげたかったし、寄り添いたかった。
でも、彼女の性格が許さなかった。
好きな人にだからこそ、迷惑かけたくない、言いたくないって感情、あると思うんですよ。
誰も悪くなくて、だからこそ綺麗で苦しい別れ話。
何となく、瑠衣と麗衣の関係に当てて考えて見た話。
二人の決別はもっと苦しかっけど。
平手でも打つように、瑠衣から来たけど。