表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/22

 ルシウスは屋敷での違和感に気づき始めていた。

「アデルが去ってから、領地の運営も家の雰囲気も明らかに悪くなっている……。」

 そして義母やアリシアの言葉に疑問を抱くことが増えてきたのだ。アデルが本当にわがままで身勝手な娘だったのか? それとも、自分は何か誤解をしていたのか……。

 彼は次第に過去の出来事を振り返り、違和感の正体を探ろうとし始めていた。


 ラモンテ家では、エドモンと妻のマルグリットが社交界の友人たちにそれとなくモンテヴィダ家の話を広め始めていた。

「最近、孫娘のアデルが我が家に戻ってきたのだが……聞くに堪えない話だったよ。」

「まあ、どういうことなの?」

「モンテヴィダ家での扱いがひどかった。使用人のように働かされ、領地の管理も一人でさせられていたらしい。それに、衣装も新調してもらえず、粗末な食事、さらに幼い頃からの婚約者にさえ邪険に扱われ、一方的に婚約を破棄して義妹に乗り換えたらしい……」

「そんな……まさか。」

「信じたくないが、証拠も多い。いずれ真実が明るみに出るだろう。」

 彼の言葉に、周囲の貴族夫人たちは興味を示した。噂は静かに、しかし確実に社交界に広がることだろう。

 こうして、少しずつモンテヴィダ家の仕打ちは上流社会の間で囁かれるようになっていった。


 アデルは祖父母の屋敷での生活に慣れ、新たな人生を歩み始めていた。

「アデル様、今日も視察に行かれますか?」

 ルカが笑顔で尋ねると、アデルは微笑みながら頷いた。

「ええ。領地の皆さんのことをもっと知りたいの。」

「素晴らしい。では、参りましょう。」

 彼の手を取り、新たな世界へと踏み出すアデル。彼女の心は、かつての悲しみを乗り越え、新たな希望に満ちていた。

 そして、モンテヴィダ家の崩壊が本格的に世間に知れ渡る日は、すぐそこまで迫っていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ