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 それから数日間、祖母のマルグリット公爵夫人はすっかり舞踏会の準備に夢中になっていた。特にアデルのドレス選びには余念がなく、彼女のために最新のデザインのドレスを注文し、何種類ものアクセサリーを並べていた。

「これも素敵だし、こっちの色もアデルに似合うわね!」

「アデル、これも試してみてちょうだい。」

 そう言いながら、祖母は次々と豪華なドレスを広げる。その目はまるで少女のように輝いていた。

「お祖母様、そんなにたくさん……。」

 アデルは少し困惑しつつも、祖母の楽しげな様子を見て微笑んだ。久しぶりの華やかな場に出ることに対して不安もあったが、祖母の嬉しそうな姿を見ると、それを口にするのは躊躇われた。

「あなたには、どのドレスでも似合うけれど……この青のドレスなんてどうかしら?」

 マルグリット公爵夫人が選んだのは、上品なロイヤルブルーのドレスだった。胸元には繊細な銀糸の刺繍が施されており、気品と優雅さを兼ね備えていた。

「とても綺麗……。」

 アデルはそっとドレスに触れ、静かに息をのんだ。鏡に映る自分の姿を想像しながら、次第に心が落ち着いていくのを感じた。

「ええ、とても似合うわ。これにしましょう。」

 祖母は満足げに頷いた。

 

 しかし、準備が整う中で、アデルはふとあることに気がついた。

「……エスコート役どうしましょう・・・。」

 舞踏会では基本的にエスコート役と共に入場するのが慣例だった。しかし、アデルには頼れる相手がいなかった。

「お祖父様は一緒にと言って下さったけれど……。」

 アデルが一人考え込んでいると、すぐそばで静かに話を聞いていたルカが口を開いた。

「もしよろしければ、私がエスコートを務めましょうか?」

 その言葉に、アデルは驚いてルカを見つめた。

「ルカ様が……?」

「はい。公爵家の管理を任されている私が同行すれば、不自然ではないでしょう。」

 彼は淡々とした口調だったが、そこには確かな誠意があった。アデルは一瞬戸惑ったものの、彼の真剣な眼差しを見て、安心したように頷いた。

「……それなら、お願いしようかしら。」

 ルカは微笑み、静かに頭を下げた。

「お任せください、お嬢様。」

 こうして、アデルの王宮舞踏会への準備は順調に進んでいった。


 一方、ヴァルデス侯爵家の嫡男であるルシウスは、最近の違和感に悩まされていた。

「……アリシア、最近様子が変わったな。」

 ルシウスはふと呟いた。かつては愛らしく思えた婚約者アリシアの態度が、次第にわがままなものへと変わってきていることに気がついたのだ。

「ルシウス、私は王宮の舞踏会には最高のドレスを着ていきたいの!」

 アリシアはルシウスに向かって、贅沢なドレスをねだっていた。

「この前仕立てたドレスがあるだろう?」

「でも、最新の流行じゃないわ! こんなものを着ていったら、みんなに笑われてしまうわ!」

 彼女はお気に入りの布地や装飾品を次々と召使いに持ってこさせ、どれも気に入らないと文句を言い続けた。

「そんなに何着も作らせる必要があるのか?」とルシウスが問いかけると、アリシアは不機嫌そうに腕を組んだ。

「あなたには分からないでしょうけど、貴族の女性にとって衣装はとても大事なの。完璧な姿で舞踏会に臨まなくちゃいけないのよ!」

 ルシウスは困惑しつつも、結局はアリシアの要求を聞き入れてしまうのだった。

 さらに、社交界では最近ヴァルデス侯爵家に対する微妙な噂も流れ始めていた。詳細までは分からないが、どうやらラモンテ公爵家と関係があるらしい。

「まさか……。」

 ルシウスはその胸騒ぎを拭えぬまま、舞踏会の日を迎えようとしていた。

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