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俺、ヒーローなんだけど   作者: くま太郎


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獅子身中のコカトリス

楽しい時間は、直ぐ過ぎてしまう。気付けば皆との待ち合わせ時間となっていた。


「今日のイベントは、お台場だっけ?」

 大規模なイベントらしく、人手も多いと思う。知り合いがいそうで怖いんですけど。


「うん。色んなアイドルやアーティストさんが出るんだって。吾郎は中秋小夜ちゃんって知っている?あの子が歌う幼馴染みの君って、歌好きなんだ」

 知っている。ヒーローの時に応援してもらったし、実際に会った事ある。そしてその歌も聞いた。作詞は中秋さん本人らしい。


「聞いた事あるよ。俺達と同い年なのに、凄いよね」

(いつも笑顔で優しい貴方。コンビニアルバイトで買ってくれたネックレスは、どんなブランドよりも宝物……思いっ切り月山の事だよな)

 俺が聞くと盛大な惚気でしかない。何より芸名の中秋小夜は中秋の名月……つまり満月、月山満を意識しているよね。

 激重感情なんですが。頑張れ、月山。お前の恋、バレてもバレなくても大変だと思うぞ。


「吾郎と鷹空は一緒に来たのか。それじゃ行くぞ」

 健也達と合流し会場へ……まあ、いるよね。


「月山、来てたのか」

 会場で偶然月山と遭遇。会えた理由は単純で鷹空さんが中秋小夜のグッズを買うって言ったのだ。そこに月山もいたのです。

(応援しても怪しまれない為にグッズを買っているのか……一途というか、なんというか)

 今なら月山が王餅さんに夢中にならなかった理由が分かる。王餅さんは美少女で、月山に分不相応な相手だった。普通ならころりと騙されて夢中になっいた筈。

でも、王餅さんが、美少女なのは、あくまで一般人としての話。

 アイドルの中秋さんに勝てる訳がない。しかも、中秋さんは月山に激重感情を持っていっる訳で。

 月山は月山で幼馴染みの夢を応援する為にバイトをしている。そして自分の思いを断ち切る為に合コンに参加。無理してはしゃいでみせていたと……ヒーローが二人の恋を応援してやろうじゃないか。


「小夜ちゃんの出番までまだ時間あるね。僕達、一回お手洗いに行ってくるね」

 鷹空さん達はトイレに行き、会場には、いつもの三人が残された。


「俺も便所行ってくるわ」

 そして健也もトイレに。残るは俺と月山……なんか学校とお馴染みの風景なんですけど!


「吾郎、大晦日は大変だったみたいだな」

 月山は俺がコカトイエローだという事を知っている。そしてまめにヒーローサイトをチェックしてくれているらしい。


「年末年始も休みなしだよ……皆遅くないか?」

 皆がトイレに行って三十分は経った筈。トイレが、混んでいるにしても遅すぎる。

 そんな時、一人の男が近づいてきた。アイドルのイベント会場に似合わない全身黒スーツの男だ。


「大酉吾郎さんと月山満さんですね。貴方達はイベントの企画、中秋小夜トークショーの質問ゲストに当選しました。打ち合わせをしたいので、一緒に来てくれますか?お連れの方は、先に向かっております」

 作り笑顔を浮かべる黒スーツの男。そしていぶかし気な表情の月山。


「トークショー?小夜をどうするつもりだ?」

 月山は中秋さんから、イベント内容を聞いている筈。だから、訝しんだのか。


「それは貴方達次第。私についてくれば何もしませよ」

 今度はにやりと嫌な笑みを浮かべる黒スーツの男。

(これが川本さんが言っていた罠か……なら食い破ってやる)

 降りかかる火の粉は人間でも容赦しない。ましてや大事な人達を巻き込もうっていうなら、痛い目に合わせてやろう。


 男についていくと、駐車場に停められているバスに案内された。窓がなく怪しさ満点のバス……何よりハザーズの気配がプンプンする。


「乗れ……騒ぐと、友達が怪我するぞ」

 乗れか……多分、こいつ等は俺の正体を知らない。俺の正体を知っていたら、こんな不用心な誘い方はしない筈。

 バズは座席が取り外されており、パイプ椅子だけが置かれていた。その椅子には健也が座っている。

(ヨワムレゴブリン?ポーチャーの仕業か)

 ヨワムレゴブリンの手にはナイフが握られていた。その切っ先は健也に向けられていた。


「悪い。捕まっちまった」

 ナイフで脅された涙目の健也。もう心の鶏冠が立ちまくりです。コカトイエロー、本気だしちゃうよ。


「鷹空さん達はどこだ?」

 まだだ。まだ変身するのは早い。罠にきちんと掛かって、ポーチャーの狙いを掴んでからだ。


「今、会わせてやるよ。俺達、ポーチャーのアジトでな」

 黒スーツの男が不敵に笑う……え?良いの?アジト壊滅しちゃうよ。


 転移魔法を使って、ポーチャーのアジトに到着。石造りの頑丈な建物。そして、この違和感は。

 多分、ここは異空間だ。部屋にあるのは、ドアと壁に設置されたディスプレイのみ。部屋にいるのは俺達三人と黒服の男。


「悪い。俺が捕まったばっかりに……」

 涙目で頭を下げてくる健也。まあ、いきなり捕まったら、そうなるよね。


「何へこんでるんだよ。大丈夫だから心配するな……月山、中秋さんの出番まで、時間はどれくらいある?」

 建物の大きさとポーチャーの戦力はどれ位なんだろう?アジトだから、規模大きいんだろうな。


「三時間後だ。吾郎、大丈夫か?」

 月山は健也より落ち着ている。俺に関しては平常運転だ。今気になるのは、中秋さんの出番に間に合せる事が出来るかどうかだ。


「誰に物を言っている。まずは説明を聞いてからだ」

 俺の声に呼応するかの様に、壁に設置されたディスプレイに電源が入った。


「ようこそ、私達のアジトへ。私の名前はマッドフォックス。君達には、これからデスゲームに参加してもらいます。無事にクリア出来たら、女の子に会えますよ。詳しい事をそこにいるエロ半魚人に聞いて下さい。さあ、スタートです」

 狐顔の男は語り終えると、再びディスプレイの電源が落ちた。

 エロ半魚人か。これはラッキーだ。


「まずは小手調べ。お前等にはヨワムレゴブリン五体と戦ってもらう。特別サービスで、五分持てばクリアだ」

 黒スーツの男が、エロ半魚人に変身。そしてエロ半魚人が手を叩くと、五体のヨワムレゴブリンが部屋の入ってきた。


「俺が捕まったのが原因だ。最初は俺が行く」

 覚悟を決めた顔で宣言する健也。格好いいけど、邪魔です。


「無理するなって。月山、説明を頼む。それと健也の縄を解いてもらえるか?縄は使いたいから、切るなよ……幻着」

 コカトイエローに変身してヨワムレゴブリンに襲い掛かる。


 翼達、バーディーアンと中秋小夜は牢屋に閉じ込められていた。檻の向こうには吾郎達の様子を写す巨大なスクリーンが設置されている。


「初めて会うな。バーディーアン。俺の名はハーレムライオン。お前達の大切な男を助けたければ、我がハーレムに加わるのだ。そこにいる女達の様にな」

 声を掛けて来たのはポーチャーのボス、ハーレムライオン。身長3Ⅿの筋肉質。

 金色のたてがみと鋭い牙を持ったライオンのポーチャーである。

 ハーレムライオンの視線の先には、もう一つに檻があり幾人もの女性が囚われていた。

 翼達が、答えに窮していると、中秋小夜が口を開く。


「絶対に無理。みっ君以外の男には興味がないの」

 その返答に翼達が驚く。アイドルの小夜がハーレムライオンに口答えしたのも、原因だが、一番驚いたのはみっ君という名前。該当するのは、月山満しかいない。


「まあ、いい。男共の惨状を見たら、自ら懇願するであろう……マッドフォックス、女の心が折れた教えろ。俺は寝る」

 そう言って私室に戻るハーレムライオン。その背中にはゆるぎない自信があった。


「分かりました……そろそろ一分か。何人怪我している?全員だと思うがな……え?」

 マッドフォックスが信じられない光景に顎が外れんばかりの顔で驚く。ヨワムレゴブリンが全滅していたのだ。


「な、なにがあった。クリアタイム5秒?え、エロ半魚人応答しろ」

 しかし、応答はなし。なにしろエロ半魚人は返事をしたくても出来なかったのだ。


 理不尽、鬼、悪魔、ポーチャー殺し。エロ半魚人は、心の中でありとあらゆる罵詈雑言を叫んでいた。

 何しろ真後ろに彼にとって悪魔以上の化け物(コカトイエロー)がいるのだ。もし、本人に聞かれたら、一瞬で命が終わる。


「早く歩け。時間がもったいないだろ」

 悪魔(コカトイエロー)が、エロ半魚人の背中を蹴ってくる。反撃したいが縄で縛られていて、身動きが出来ない。もし、動けても逆らう気はなかった。僅か三十秒で、エロ半魚人の心は折れたのだ。

 吾郎(コカトイエロー)が、ヨワムレゴブリンを五体を倒すのにかかった時間は約五秒。

 そのままエロ半魚人を殴りつけて、悪魔(コカトイエロー)はこう言ったのだ。

 ダウンのクリーニング代を払えと。財布から金を渡すと、エロ半魚人は縄で縛られて拘束され、人質兼案内人にされたのだった。


「け、蹴らないで下さいよ。ちゃんとクリーニング代払ったじゃないですか」

 前門の虎後門の狼ならぬ前門の獅子(ボス)後門の悪魔(コカトイエロー)。自然とエロ半魚人の歩みが鈍る。


「なあ、満。吾郎がコカトイエローってのは信じる。目の前で変身したしな……どっちが悪者なんだ?」

 健也が疑問を投げかける。友人(ごろう)がコカトイエローである事に驚いた。その圧倒的な強さにも驚いた。そして正義の味方とは思えない言動にも驚いていたのだ。


「口と態度はあれだけど、ヒーローの吾郎は頼りになるぞ。ただ遠慮や配慮が一切ないだけだ。俺からのアドバイスは慣れろだ」

 そして廊下を歩くこと一分。吾郎達は次のドアの前についた。


「この部屋には、五十体のヨワムレゴブリンがいる。いくらお前でも仲間を守りながら、勝つ事は出来まい。そのドアポストから覗いてみろ」

 これで逆転出来る。エロ半魚人はそう思っていた。


「おう、いるいる……石化ブレス……終わりっと」

 エロ半魚人の希望は、一分も持たなかった。コカトイエローが、ドアポケットから石化ブレスを放ち、五十体のヨワムレゴブリンを石化させたのだ。


「な、遠慮がないだろ」

 月山の呟きに健也が全力で頷いた。


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「石の中に居る」 誰だ吾郎を人質にすれば勝てるって言った奴ぅ。
最終話迎えた後も活動してる現役ヒーローをアジトに招き入れるヴィランwwwwwwwww まあ、悪人に対してどこまでやっていいのかっていう話は難しいわなあ。 というのを、ゴーストオブツシマをやってからは…
ああ… ついにポーチャー終了のお知らせが…
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