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翼とバーディアンの気持ち

ヒーローにとって身バレは厳禁。だから援護に向かう前に変身しておく。

先ず意識を右手に集中。しばらくすると、右手の甲に黄色い珠が現れる。

それを左手で覆い、念を籠めていく。


「幻着…さてと、行きますか」

俺のバトルスーツは正確に言うと幻衣と言う。だから幻着が変身ワードなのだ。

昔はきちんと変身ワードをとなえていたけど、最近は時間がない事が多いので省略している。


「転移準備出来たぞ。場所は東京都E区○街。援護要請を出してきたのは丙級のバーディアン。敵対している組織ポーチャー所属のハザーズが複数体出現したそうだ」

既知の職員さんの説明を聞きながら、転移装置に入る。

ちなみに、そこ思いっきり地元です……いくら幻衣バトルスーツを着ているとはいえ、知り合いに見られたら地味に恥ずかしい。

 職員さんの話を聞きながら、コカトイエローと書かれた棚を確認……そして気まずい空気が流れた。


「うわっ、エネルギーボトルの残りやばいな。帰って来たら補充しなきゃ……昨日も援護だったもんな」

 職員さんに聞こえる様にアピール。このボトルは転移に必須。だから、きちんと残量をチェックしないと駄目なんだけど。

昨日も援護だったし、今日はパワーナックルさんの穴埋め出勤なんですよ……と心の中で言い訳しておく。


「今度から気をつけろよ……転移装置に入れ」

職員さんの呆れ声を聞きながら透明な筒に入る。

(エネルギー不足だと転移出来ないもんな、以後気をつけます)

転移装置の扉を閉めると、足元に魔法陣が浮かび上がる。

異世界の知識、 魔法、日本の科学を合わせて作られたのが、この転移装置。任意の場所に一瞬で移動出来る便利装置だけど、使用するには条件がいくつかある。

座標設定は職員の人がやってくれるけど、転移に使うパワーは自分持ち。だから乙級以上の各々ボトルにパワーを溜めてているのだ。

そして使えるのは援護要請があった時のみ。警護系や宣伝活動の時は公共交通機関を使っています。

 ちなみに本部に呪いや毒を持ち込まない為、帰りの転移時は浄化が行われる。浄化がなかったら、返り血を浴びたまま戻る事になるのだ。


「転移許可が降りたぞ……吾郎、無理するなよ」

 職員さんが温かい目で見送ってくれた。この職員さんは俺がヒーローになった時から見守ってくれている。

 俺が頑張れるのは、こうして支えてくれる人がいてくれるからだと思う。


 転移を終えると、そこは生活圏内にある交番でした。しかも月山がバイトしているコンビニの目の前。

 転移装置で辿り着くのは現場近くの交番や役所等の公共機関。直接現場に転移すると、パニックを引き起こす危険性がある為らしい。


「凄い……本物のコカトイエローだ。現場まで送りますね」

 警察官が俺を見て驚いてるけど、多分中身も見た事ありますよ。向かいのコンビニに良く行くし。


「お願いします。現場はどこですか?……うそん」

 交番を出てパトカーにのろうとした瞬間、店にいる月山と目があったのだ。

 友達にヒーロー姿を見られるのが、こんなに恥ずかしいとは。

(おい、月山。写メを撮るな。この間、カラオケで一緒に撮っただろ!)

 お前のフォルダに、男二人で肩を組んだ写真が残っていると思うぞ。


「はい、ハザーズが現れたのは白鷺学院です。あそこには才能のある生徒さんが沢山いますので、それを狙っていると思われます」

 ……まさか、こんな形で白鷺に行くなんて。合コンに誘われた時は、学園祭デートまでで妄想していたんだぞ。

 サイレンを鳴らしたパトカーが白鷺へと向かう。

交番ここからなら、五分もあれば着くか)

 たかが五分、されど五分。今の内に情報を聞いておこう。


「学校……生徒の退避は済んでいますか?」

 人が多いと石化ブレス使えないんだよな。大勢の女子に見られると緊張するし。


「はい、全員安全な場所までは、避難したそうです」

 ……なんか、微妙に気になる言い方なんですが。


 同じ頃、白鷺学院の校庭では、バーディアンの面々は数体のハザーズと向かい合っていた。

 そんなバーディアンの三人を白鷺学院の生徒が、遠巻きになり戦いを見守っている。

 ハザーズが現れたのは放課後のグラウンド。生徒達。そこはバーディアンとポーチャーの姿を見えるが適度な距離がある。

その為か、怖い物見たさで多くの生徒が残っていたのだ。

 中にはスマホで撮影している生徒までいる。


「まさか、ポーチャーの幹部まで来るとはね」

 鷹空翼ことホークソルジャーがポーチャー達を睨みつける。

 白鷺学院を襲ったポーチャーは全部で三体。トリモチスライム・トラップスパイダー、そして幹部のホストインキュバス。

 トリモチスライムはスライム状の身体をしたスライム。その見た目は、脂ぎった中年男性。危険度はE-。

トラップスパイダーは、手に罠を持った蜘。その顔はヒョロガリで陰気な青年。危険度はE。

二体とも女性が嫌悪する見た目であった。何故ならポーチャーは、忌避感から生まれたハザーズなのである。

そんな中ホストインキュバスだけが、優れた容姿をしているた。

肩まで伸びた髪は輝く様な金色で、モデル顔負けの整った顔。

着ている服は一流ブランドのスーツ。はだけたシャツからは細マッチョの胸板がチラ見え。

ただ、その頭からは山羊の様な角が生えていた。明らかに人外の者だと分かる筈なのだが、一部の女子は彼にくぎ付けになっている。

幹部だけに、その危険度はD。翼達バーディアンが、戦ってきたハザーズより格上である。


「あのハザーズ、超イケメンじゃん」

「私、襲われても良いかも……」

 数人の女子が、ホストインキュバスに好意を抱き始めていた。


「ハザーズって不気味な奴しかいないと思っていたけど、違うんだね」

「ホストインキュバス様が特別なんだって。残り二匹は完全に化け物だもん」

 その分、他の二体には嫌悪感が向けられている。

 これは連敗続きのポーチャーの考えた策であった。

ホストインキュバスは、女性限定であるがチャームを使える。そして、女性に好意を向けられるとパワーアップする特性を持っていた。

 逆に残り二体は忌避感から生まれただけあり、嫌悪の視線はコンプレックスを刺激して、これまたパワーアップするのだ。

 バーディアンは今まで三体一でしか戦った事がない。不慣れな対一戦に加え、いつもよりパワーアップしているポーチャー。

 その為、バーディアンの三人は劣勢を強いられていた。


「そんな怖い顔をしていたら、折角の可愛い顔が台無しだよ」

 ホストインキュバスと相対しているのは、三人の中で一番近接戦が得意なホークソルジャー

 濃紺のバイクスーツに、背中に鷹の翼が描かれた革ジャン。武器は束に鷹の翼があしらわれたレイピア。

 武器だけは魔法少女らしさがあったが、それ以外は魔法少女要素がゼロである。

 これにはある理由があった。魔法少女からウィッチに変更された際、フリフリドレスの強制も止めて欲しいと魔法少女達から訴えがありバトルスーツに選択制が取り入れてられたのだ。

 じりじりと追い詰められていくホークソルジャー。

 実力はホストインキュバスの方が上であるが、この組み合わせは、ある意味最良の物であった。

 何故なら……。


「キモっ。背中に寒気が走るっての。僕は一途な女なんだから。何より、あんたみたいチャラ男は大嫌いなの」

 翼の好みもあるが、彼女の力の要因もありホストインキュバスのチャームが効かないのだ。

(吾郎、僕に力を貸して)

 心の中で、想いごろうに語り掛け、ホストインキュバスを睨みつける翼。


「杖で叩いても、跳ね返されますの。それに魔法も効かないなんて……誰か助けてもらえませんか?」

 白鳥麗美スワンメイジが戦っているのは、トリモチスライム。軟体なので杖による打撃は吸収されてしまう。

 得意の氷雪系魔法も粘液に阻まれて効果が薄い。

 彼女のバトルスーツも、魔法少女とは程遠い物であった。

 白のデニムにボーダーのカットソー。胸ポケットには白鳥のマーク。

 翼のバトルスーツもそうだが、麗美の服も市販品である。正確に言うとスポンサーから提供された服を魔法でバトルスーツ化しているのだ。


「二人共、もう少し頑張って。もう少しで援護が来るから」

 副浪智美クレリッククロウが二人を励ます。彼女もまた苦戦していた。

 彼女の武器は錫杖。普段は、その長さを活かして戦っているのだが、トラップスパイダーのリーチの方が長いのだ。

 智美はベージュのジャケットと同色のパンツを着ていた。胸ポケットにはフクロウを模したロゴがあしらわれている。その姿はさながらキャリアウーマン。

 バーディアンだけでなく、ウィッチ系のヒーローは普段使い出来るバトルスーツを着用している者が多い。ヒーローへの注目度もあり、ウィッチヒーローには服飾系企業のスポンサーが多くついているのだ。


「そ、そんなのが来る前に僕の罠で捕まえちゃうんだな」

 トラップスパイダーが不快な笑みを浮かべる。

 しかし、バーディアン達は反論出来ずにいた。何故なら、ポーチャー達に圧倒されていたからだ。


「ここいる女の子全員から、心の力を奪って俺の物にするんだ」

 トリモチスライムは、鼻の下を伸ばしながらにやついている。彼は自分達の勝利を確信していた。その頭の中はピンクに染まっている。


「今の私達は貴女達で言うC級。乙五以上のヒーローでも来ない限り無理ですよ。まあ、そんな上級ヒーローが来るなんて奇跡は起きないと思いますか?」

 ホストインキュバスが勝ち誇った様に告げる。

その言葉を聞いた翼達の顔には諦めの色が浮かんでいた。


「乙五以上のヒーローは全部で二十人。そんなヒーローが都合よく援護に来てくれる訳ないよね」

 智美が力なく呟く。

しかし、そんな都合の良い存在ごろうが、直ぐ近くまで来ているのだ。


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