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俺、ヒーローなんだけど   作者: くま太郎


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32/55

テスト終わりはのんびりと

 コカトリス分かった。俺は恐怖を感じると、本気になるんだって。

 美樹本さんだけじゃなく、美影さんと瀬川さんからも脅……激励ライソが届いたのだ。

とどめとばかりに九稲総司令からも『吾郎。分かっているわよね。赤点が一つでもあったら……』とのライソが来た。……がめっちゃ怖いんですけど!

 正に尻に火が付いた勢いで猛勉強を開始したのだ。

 

「ひと段落したから、夜食でも買いに行くか」

 頑張っていたら、小腹が空いた……一人暮らしてから、独り言が増えた気がする。

 まあ、一人暮らしだから夜でも自由に外出出来るんだけど。

(うどんでも食べに……時間がもったいない。今の時間なら牛丼かコンビニ弁当だな)

 うどん→きつね→九尾の狐→九稲総司令の連想が脳内で開始されて、外食を即却下した。

総司令のナインテール連打はガチでえげつない。四本の尾で四肢を拘束。残りの尾で絶え間ない連打をしてくるのだ。

 しかも、お説教つき……学生の本分は勉強。コカトイエローはしっかり勉学に励むのです。

 結果、牛丼に味噌汁とサラダをつけて健康的な夜食にしました。サラダがあるから特盛でも大丈夫な筈。

 もう一頑張りしようと、自転車に跨った瞬間、肩を叩かれた。


「もう夜だぞ。子供は帰れ。この辺も夜は物騒だ……最近、学生を狙った傷害事件が多発している。もし、絡まれても手を出すな」

 声を掛けてきたのは警察官。そして彼はなぜ俺が未成年と分かったのか。


「空子さん、ご苦労様です。テスト勉強の夜食を買いに来ただけですよ。直ぐに帰りますので……心配しなくても、上手く対応しますって」

 俺は戦いのプロだ。人間、しかも学生しか狙わない奴に負ける訳がない。


「それが心配なんだよ。もし、そいつ等が、お前の牛丼を叩き落としたらどうする?」

 そんなヘマを俺がするとでも?でも、想定は大事だ。

 この牛丼を叩き落とされたら……絶対に許さない。食い物を粗末にする奴には、しっかり反省してもらう。


「地面に落ちた牛丼を綺麗に食わせた後、買って返させます。まあ、暴れたら多少痛い目にあってもらいますが」

 相手は人間だ。ちゃんと手加減するし、変身もしない。ブレスは時と場合によって……カプサイシンブレス辺りはセーフだと思う。


「過剰防衛って言葉を知っているか?俺が心配しているのは、相手の方だぞ。おヒーローら、年中命のやり取りをしているから、多少のレベルがおかしいんだよ。骨を折るのは、多少にならないからな」

 流石に、それ位分かっている。折っても綺麗にくっつく様に上手に折るし。


「やだなー。関節を外すか、腹を殴る位ですよ。ちゃんと急所は外しますし」

 人間はハザーズと違って脆い。上手く手加減しないと、まずい事になる。


「あのな、絡まれたら手を出さないで警察を呼べ。ったく、これ以上面倒事を増やさないでくれよ」

 何か前にも、似た様な事で注意された気が……でも、実際に絡まれたら、そんな余裕はないと思う。関節を極めてから、連絡すれば良いか。


「学生が襲われた位で空子さんがパトロールしているんですか?むしろ、少年課の仕事だと思うんですけど」

 空子さんは機動隊の所属だ。大きい事件や暴動があった時に、動くって聞いたんだけど。


「襲われたのは、城宮の生徒。しかも、政治家や大手企業の社長の子供が襲われているんだよ。年明けに大きな国際会議がある。上は、その前になんとかしたいのさ」

 そんな大事な事、俺に言って良いのか?

(城宮の生徒だけが襲われるか。あっ……)

 城宮と言えばユーズドファイブ。まさかね。


「その顔は心当たりがあるって顔だな?知っている事があるんなら、素直に話せ」

 警察官の勘なのだろうか?それとも単純に俺が顔に出やすいだけとか?


「絶対に関わっているとは断言出来ませんけど……活動範囲が城宮校限定っていうヒーローが目覚めたんですよ。逆に言えば敵対するハザーズが、狙うは城宮の関係者の可能性が高いんです……でも、まだハザーズの動きは報告されていませんし」

 襲われているのはエリートのお坊ちゃま。

そしてユーズドファイブの正式名称青春コンプレックス戦隊ユースファイブ……絶対にただの偶然だ。


「へー、詳しく聞かせてもらえるか?俺達、警察とお前等ヒーローは持ちつ持たれつの関係。嫌とは言わせないぞ」

 空子さんの言う通り、ヒーローと警察は情報・捜査・護衛色々協力しあっている。

 だから、素直に話しました。


「ユーズドファイブの敵対組織は人化の技術を持っているらしいんです。つまり、城宮内に既にハザーズが潜入、もしくは深く関わっている可能性が高い。直接そいつが襲わなくても。力を貸して唆している可能性があるかなって……あっ、僕テスト勉強の途中なんだ。もう行かなきゃ」

 ヒーローとハザーズは対になる関係が多い。ユーズドファイブはコンプレックスを解消、もしくは乗り越える存在なら、ハザーズは付け込んで堕とす奴等って可能性がある訳で。


「勉強なら署でも出来るぞ。それに俺は大卒だ。情報の対価として、みっちり勉強を教えてやる……空子です。例のヤマで、気になる情報を手に入れたので、一度署に戻ります」

 随分と手際が良い。普段は手続きを踏まないと、教えられない様な情報を聞かせてくれたし。

(空子さんはヒーローに知り合いが多い。本当の目的がパトロールじゃなくてヒーローに接触する為だったとしたら)

大事な会議ある時、空子さん達は数か月前からピリピリしている。そんな時に会議に関係している人の子供が襲われた。上は犯人確保の指示を出すだろう。

そして件の犯人に不可思議な点があったとしたら……もしかしなくても、はめられた?


「もう、こんな時間ですよ。未成年が警察署に行くのはまずいと思うんです。それに勉強道具は家にありますし」

 泊まり仕事をしている人間が、そんな事を言っても通じる訳がなく、しっかり勉強が出来ました。

(……守さんにライソしておかなきゃ)

 話を聞いてみたら、限りなくグレーな感じだったのだ。ハザーズが絡んでいるって証拠はないけど、かなり怪しい感じ。

 ユーズドファイブの担当は守さんなので、お任せしよう。


 終わった。ようやくテストが終わった。今日は休みなので、ゆっくり羽根を伸ばそう。


「何とか終わったな。これで、やっとバスケが出来る」

 健也が身体を伸ばしながら、嬉しそうに話す。本当にバスケットが好きなんだと思う。

(夢中になれる物があって羨ましいな)

 俺がやっとハザーズと戦えるって言ったら、ただの危ない奴だ。


「二人共、お疲れさん。手ごたえはどうだった?」

逆に月山おまえに聞きたい。なんで、そんなに余裕があるんだ?


「俺は赤点が回避出来て、バスケが出来ればそれで良しさ。それじゃ、部活に行って来るぜ」

 そう言って颯爽と去って行く健也。そしてそれをウットリした目で見るクラスの女子。

 多分、彼女達の目には俺と月山は映っていない。


「俺もなんとか赤点は回避出来たぞ。悪い。ちょっとスマホを確認して良いか?……うん、何も、なしっと」

 スマホの電源を入れて、即切る。何も見ていない。今日、俺は休み。何も見ていないぞ。本部なんて表示見ていない。


「おい、着信履歴が凄い事になっていたぞ。きちんと確認した方が良いんじゃないか?」

 だって、俺今日オフだもん。テスト終わり位ゆっくりしたいじゃん。


「と、とりあえずメッセージだけでも見ておく……悪い、俺も帰るわ」

 どうやら強いブリーディングウィードが目撃されたらしい。対応はバグズファイブがするけど、何かあったらアシストをして欲しいとの事。

 獺川さんがレポートをまとめている筈だから見に行こう。戦うにしろ、アシストをするにしろ、情報が必要なのです。


 俺の予定ではレポートを読んで、さっと帰る予定だった。

(ま、守さんがこっちを見ている)

 とりあえず獺川さん書いたレポートを読み込む……さらっと読んだ感想、書いている内容が難しいです。

 なんとか要約した内容

ブリーディングウィードは植物型のハザーズ。元になっているのは、世間的に雑草と呼ばれている植物。

草人形に異世界の精霊の魂が宿る事で動き出す。魔力で動いており、二足歩行で行動可能。

 主な棲息地は山や森。森林公園や植物園を襲撃する事が多い。また綺麗な水や栄養のある土壌を好む。

(水が血液代わりなのか)

 吸い込んだ水に魔力を付与して、エネルギー源にしているらしい。

 当然、元になった植物によって特徴が変わる。

 うん、参考になった。後は家で対策を建てよう。


「吾郎、そんなに早く帰ってなにするんだ?少しゆっくりしていけよ」

 優しい声で話し掛けてくる守さん。その手は既に椅子を引いている。


「今日、俺休みなんですよ。でもブリーディングウィードで気になる事があって」

 ハザーズの詳しい情報は本部に来れないと見れない。でも、これで最低限の対策は建てれる。


「だったら俺にも協力してくれないか?お前ライソで教えてくれた傷害事件の詳細を聞かせてくれ……なんでハザーズ絡みだと思ったんだ?」

 うん、秒で諦めた。だって、守さんの目がマジなんだもん。


「被害は確実に出ている。でも、犯人は防犯カメラで確認出来ていないらしいんですよ。犯人は仮面らしき物を被っているけども、付近でその様な人物は目撃されていない」

 パーカーのフードを被っており、面もかなり独特のデザインらしい。

 仮面の出所を探ってみたけど、どこでも似た物は売っていなかったそうだ。


「目撃者なしか……被害者の証言はどうなんだ?誰にも見られないで被害者だけを襲う。都内じゃ無理だろ」

 確かに都内で誰にも見つからず被害者を襲うのは困難だ。何より犯人は特定の人物を狙っている。


「襲われた場所は人気の少ない裏路地や公園。ビルの隙間とかの暗闇から突然襲われたみたいですね。ついでに被害者の共通点なんですけど、全員親の力で好き勝手していた奴等ばっかりです」

 つまり城宮の中で被害者を恨んでいる奴は大勢いる。犯人はハザーズじゃないと思う。

 第三者ハザーズに唆された可能性が高い。

読者様の中に埼玉の人はいますか?ラーメンとかの麺類で有名なソウルフードとかありますか?

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― 新着の感想 ―
更新ありがとうございます 冒頭のコカトリスわかった、でニヤニヤしちゃいました テストやヒーロー、警察に翻弄されるごろくんがかわいい&癒されるお話でした 牛丼は奪われるようなヘマはしないと自信があり…
誤報 最後。犯人はハザーズじゃないとオッもう。
誤報 だったら俺にも協力してくれないか?お前 イソで教えてくれたのところ。後半。
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