**第四章: 初めての秘密**
それ以来、透は少しずつ明日香と話す機会が増えていった。彼女は思ったよりも気さくで、透が意図的に距離を取ろうとするのを感じ取ったのか、あまり深入りせずに穏やかなやり取りを重ねてくれた。彼女のそんな配慮に、透はますます彼女に惹かれていくのを感じたが、心のどこかでその感情を抑えようと必死だった。彼女の寿命があまりにも短い――それが頭の片隅で絶えず鳴り響いていた。
ある日、放課後の静かな教室で、明日香は突然、透に向かって不意打ちのような質問を投げかけた。
「桐島くん、何か秘密を持ってるんじゃない?」
透は驚いて、しばらく言葉が出なかった。彼女の表情は真剣で、まるで透の心の奥深くを見透かしているかのようだった。何を知っているのかと、透は内心で不安に駆られたが、平静を装って言葉を探した。
「えっ…どうしてそんなことを?」
「なんとなく。いつもどこか距離を感じるんだよね。私に何か隠してるのかなって。」
明日香の瞳は透をまっすぐ見つめていた。透は何とか言い訳をしようとしたが、その目の力強さに押されて言葉を飲み込んでしまった。彼女にはもう隠し通せないのではないか、そんな不安が押し寄せてきた。だが、彼の能力――寿命が見えるという秘密を話すわけにはいかない。
「いや、隠してるわけじゃないよ。ただ、あまり深く考えないタイプなんだ。」
透は笑ってごまかそうとしたが、明日香はそのまま黙って彼を見つめ続けた。その沈黙が、次第に二人の間に何かしらの絆を生み出していくような感覚が透にはあった。それが心地良い反面、透はますます彼女との距離が近づくのを恐れていた。




