壁一枚
バイブを手に持つ早乙女は今まで見たどんな動画や漫画の女よりもエロかった。
「いいよ」
自分の口から出た言葉が虚に響いた。
俺たちは並んで歩いた。手は繋がない。カップルじゃねぇもん。
俺たちは親のいない家に着いた。ヤらない。カップルじゃねぇもん。
じゃあなんなんだ?この異常な状況は?
ていうか早乙女はどう思ってんだ俺のことを。
今ここで押し倒したら、早乙女はどんな顔するんだ?早乙女はそんなこと全く考えてないのか?
早乙女を無理矢理脱がすところまで想像したら、また股間のあたりが熱くなってしまった。
「ここ誰も使わない部屋だから…その…好きにして」
「ありがと。終わったら喉が乾くから後でお茶もらっていい?」
終わったら喉乾くんだー。
結局俺には勇気はなかったけど、股間の膨らみを隠す機転はあったし、さらっと自室の隣の部屋に誘導するくらいには変態だった。
壁一枚挟んだとこでクラスの女子が1人エッチしている。吸い寄せられるように壁に耳を当てる。
「はぁっ…つっ…はぁあぁっ…」
これが本当に感じてる声か…。
いやダメだろ俺っ!!
いやダメか?早乙女的にはどうなんだ?
もし、早乙女をオカズにしたら…早乙女は怒るのか?
「あぁっ…!!」
壁に耳を当てなくても聞こえる、遠慮のカケラも感じない喘ぎ声。
全てがどうでもいい。俺はズボンのチャックを下ろした。