幸せな家族 ①
どーもこぐまです!!
約一年ぶりの投稿でしょうか???
また始めるのでお願いします!!
「皆さんこんにちわ!!小西クリーンサービスです!依頼料はたったの千円!!僕たちがなんでも掃除をします!たとえどんなにゴミ屋敷だろうと、ゴキブリだらけだろうと綺麗に片付きます!。それでもたったの千円!お安いでしょう?電話番号は090-901-901。キレイキレイで覚えてね!」
プラカードを持ち、この真夏の炎天下の中で、首に白いタオルを巻き、青い清掃姿で必死に宣伝しているちょっと小太りなおじさんは、小西クリーンサービスの代表、小西 英明社長です。
そして、横で恥ずかしそうに「安い!!早い!!」のプラカードを持っている私は、身長160センチくらいで少し茶髪のセミロング、深川 澪と言います。
小西社長を見ていると、本当に恥ずかしくて今にも逃げだしたくはなりますが、そこはぐっと抑えています。周りの人たちも「何してるんだこいつら、、、、」と見ている人たちばかりです。
挙句の果てには子供が泣き出す始末で、、、
「お母ちゃん!!このおじさん怖いよ!!」
なんてことも言われ、小西社長と私は必死に謝りました。
しかし、この努力があってか、本当にたまにではありますが、通りがかりの人から声を掛けられます。
「ちょい、そこのあんた、、、何でも掃除してくれるのか??しかもたった千円で!!」
「そうです!私たちはたった千円で!!なんでも掃除しますよ!たとえ、ゴミ屋敷だろうと、ゴキブリだらけであろうとも、、、」
「それはよかった、、、さっそく来てくれ!!」
服装はというと、なんというか汚れているというか、腐敗臭の漂う歯の欠けているおじさんが話しかけてきてくれた。千円もお金があるのかなと思ったが、気にしていては仕事にならない。
入社して初めての仕事だ頑張らないと、、、
私は、バッグからお茶を取り出し、少し飲んで気合を入れなおした。
「よし!!準備だ!!深川君、車の準備を!!」
「はい!!わかりました!!」
私は勢いよく、車のカギを取り出し、小西社長と依頼者を車の止めてある場所まで誘導しました。小西社長も久しぶりの仕事だったらしく、気合が入っているようでした。
そして、駐車場につき、三人とも車に乗り込むと依頼者が後部座席から話始めます。
「いや~、本当に助かったよ。俺が掃除するのが苦手でよ~ところがどっこい!そこであんたのおでましってわけだ!!」
「助かってなによりです!」
二人とも笑い散らかしている中で、私は黙々と車を走り続けていた。
しかしどう見てもお金を持っているようには見えない、、、
私は一応、小西社長に小声で質問をしてみた。
「あのう~、失礼だとは思うんですけど、依頼者の方お金持っているように見えないんですけど、一応確認取ってみた方がいいと思うんですけど、、、」
「確かにそうだね。僕も忘れてた一応確認を取ってみるよ。ありがとう深川君。」
小西社長は、暑苦しいがとてもいい人で、とても面倒見がいい人だ。私の想像では、社長というものは威張り散らかしていそうな人だという認識だったが、小西社長はすごく下からというか、優しい言葉でいつも接してくれる心優しき社長なのです。
「すいません、ご老人合言葉は?」
「あ~、忘れてたわい!!なんでも清掃屋さん!!これであってるか?」
「はい!ありがとうございます!あってますよ!」
お金の確認は?合言葉って?と思っていたのですが、当時の私はそれよりも仕事ができることで頭が一杯でした。
ここから私の人生が狂い始めるのです。
依頼者に案内された場所は、古い築30年くらいの二階建てのボロアパートでした。感想としては、見た目にあった場所に住んでるなくらいとしか思ってなかったです。
そうして、私たちは二階に続く階段をのぼっていると、臭いがだんだんときつくなってきました。
「ご老人、相当ゴミを溜めていらっしゃいますね。臭いでなんとなくわかります。」
「そうなんじゃ、近隣の住民もうるさくてのう。だから、業者に頼んだんじゃわい。」
「一人では中々に厳しいと思いますよ。ゴミの量はそうですね、、、ゴミ袋三つ分くらいでしょうか?」
「そうじゃな、、、、それくらいじゃ。」
(ゴミ袋三つ分?、、、、少ない気が、、、)
二階に到着した時、臭いがどんどんきつくなる。生臭いというか血なま臭いというかそんな感じだ。私は、ゴミ屋敷というものを味わったことがなかったので、当時はそういうものなのかくらいしか思わなかった。
しかし、きついものだ、、、
すると、私の異変に気付いたのか、小西社長は話しかけてくれた。
「深川君、体調が悪いのかい?どうしてもだめなら車で待機していても構わないが。」
「いえ!大丈夫です!これくらいのことで根を上げていては、この仕事やってはいけませんから!それに、私は初仕事でわくわくしてるんです!なんともありませんよ!」
「それは良かった、、、もし何かあったら言ってくれ!」
優しい顔をしながら、こちらを機にかけてくれた。そのまま依頼者の住む角部屋に向かう。依頼者は、ポケットの中に手を突っ込み、キーケースを取り出し、たくさんある鍵の中から家の鍵を探し出す。
「ん~、どれだったかのう、、これか!いや違う、、、」
「どうか焦らずに、私たちは帰りませんので、、」
そのまま、鍵を探すこと三分、ようやく鍵の開ける音が聞こえた。
「お!!開いた!これだったのか、、」
「では、さっそくお邪魔します!!」
扉を開けると、臭いがますますきつくなる。しかし、ゴミ屋敷だと思ってた私の想像の部屋はそこにはなかった。玄関は靴が整理されて綺麗だし、キッチンも至って普通だ。
「問題はこの先の部屋ですか?」
「あ~そうじゃ、すぐ片づけてほしい。」
依頼者が寝室の扉の部屋を開ける瞬間、私はその場で吐き散らかした。臭いもそうだが、それが理由ではない、虫だらけというわけでもない。私はとても後悔した。初仕事ということでとても気合を入れていたのだが、そんなことは見た瞬間、一気に消し飛んだ。
理由はそう部屋の真ん中に置いてある、、、ゴミとは違うもの。
「これを片づけてほしいのじゃ。ほれこれは菓子折りじゃ。」
そう、真ん中にあったのは、血で真っ赤に染まった死体だった。