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これで無事に追放イベントもこなせそうだね

 自慢なんだけど、今まで「はいじゃあ2人組作って」と言われて困った事が無い。というのも今までクラスに1人は凄い仲良い奴がいてそいつと何時も組んでたから。


 3人組でも多分困った事無いそこそこ仲良い奴を1人捕まえて残り1枠を埋めれば良かった。


 だけど4人以上となると話は変わってくる。途端に組むのに困るようになるんだ。何でかはわかんないけど。


 それはこっちに来ても変わらなくて、今とても困ってる。


「1週間後にダンジョンに行くのでパーティを組んでもらいます。4〜6人のグループを作ってください」


 と言われたからだ。


 取り敢えず敬一と集まったものの、残りをどうしよう。


(どうするよ敬一?)

(高崎だけは避ける方向で)

(勿論だよ)


 ダメだ。アイコンタクトで意思疎通はできるけど敬一にもアテがない。誰と組むかでなくて誰と組むのを避けるかを伝えてきた時点でもうお察しです。


 ええいクソ! もうどうにでもなれ! 俺達の運命やいかに!



 〜〜数分後〜〜



 さあ! 俺のパーティのクレイジーな面子を紹介するぜ!


 先ずはパーティの頼れる前衛! 木村敬一! 耐久と膂力に秀でるオーソドックスなストロングスタイルの騎士だ! 大盾にショートソードを装備した姿はお台場に展示された事もある某人型機動兵器を彷彿とさせるぞ! ゲーム的に言えば火力のだせるタンクなんだが若干脳筋のケの有る敬一がその役割で大丈夫か!?


 お次はパーティの生命線! 日野(ひの)小春(こはる)! 魔力と膂力(なんで?)に秀でる海外スタイルの僧侶だ! 学校では授業中以外に起きて活動している姿を見た事が無い! ついでに目が半分以上開いているのも見た事が無い! 常に気怠げでゴーマイウェイ! 回復支援役って忙しいけど本当に僧侶としてやっていけるのか!? あと多分俺らと組むことになったの右手のその物騒な鈍器(モーニングスター)の所為やぞ!


 3人目はパーティの火力の要! 中津(なかつ)紗夜(さや)! 魔力と器用に秀でる正統派の魔法使いだ! 魔道書を使うのは初心者と三流だけという風潮の中で杖と共に魔道書を併用し、国から魔道書を使うのはお願いだから止めてくれと言われても鼻で笑って無視する実利主義者だ! さっぱりした性格で細かい事は気にしない! 細かい事を気にしないって魔法使いとしてはどうなんだ!?


 そして最後にこの俺、旅人の上川遊歩を加えた以上4名だ!


 表面上は騎士、僧侶、魔法使い、旅人となんかバランス良く組んだ感じに見えなくもないが、実際には友達が少ない奴らが余ってたので組んだら偶然バランス良くなっただけである。


 因みに4人とも国から目を付けられてる。取り込みがうまくいってないのが一番の理由だね。


 どうなることかと思ったけど余り物達で組んだにしては良いパーティになったんじゃないかな。高崎君とも違うパーティになれたしね。高崎君は頭と素行と柄の悪い連中のパーティに入れられたよ、荷物持ち兼パシリ兼オモチャとしてね。これで無事に追放イベントもこなせそうだね。武運を祈るよ。


「よし、これから長い付き合いになるんだし4月にもやったけど改めて自己紹介といかないか? パーティとして動く以上言っておきたい事も有るだろ?」

「おっ、名案だね。流石敬一」「いいんじゃない?」「いいよ」


 全員が賛成したところで敬一はひとつ頷くと先頭を切った。


「じゃあまずオレから。木村敬一、“職業”は騎士だ。一言で言うと殴れる壁だ。これからよろしくな」


 ふむ、ここは俺が続くべきかね。


「上川遊歩、“職業”は旅人。とにかく便利な“職業”だけど戦闘以外での仕事がメインかな。移動の時は特に頼りにしてほしいね。これからよろしく」


 こんなところかな。この3週間旅人という“職業”を触ってみた感想の全てを込めたぞ!


「中津紗夜、魔法使いだよ。得意な属性は火と土で苦手なのは水と風。チマチマした魔法は苦手だけど威力と連射速度と安定性には自信があるよ。よろしくね」


 砲台としての性能を重視したスタイルだね。遠距離からドカドカ魔法を打ち込めば大抵の前衛系の“職業”は為す術もなく沈むものだから強いよね〜。


「日野小春、僧侶。得意なのは回復と撲殺。よろしく」


((………撲…殺))


 今、多分敬一と俺は心が1つになったと思う。きっと中津さんとは1つになってない。気にも留めてなさそうだもん。顔見れば分かる。


 いやね、右手に握られた物騒な鈍器(モーニングスター)見れば納得よ? もう全力で「私、撲殺します!」って主張してるもの。でもさ小柄な日野さんに、それも僧侶と言った直後に得意な事として回復と一緒に並べられるとねぇ……。海外のゲームだとそんな感じとは聞いた事があるけどもさ。


 まあいいか! 同じパーティなんだし頼もしいと思っておこう。うん、それがいい。あんま考えんどこ。


「……うん。改めてみんなよろしくな。オレたちは余り物同士でどっかしら似た者同士の集まりだ。変に気ぃ使ったり遠慮したりせずに上手いことやってこうぜ」

「おう」「そうだね」「ん」


 少々不安なところは有るけど一応バランスは良いしなんとなく気も合いそうだし何とかなるでしょ。多分。


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