表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

床屋さんのヘビメタ

作者: ヘラ

髪が伸びた。癖っ毛なのでうざったい。


デザイン専門学校に行ってるのだが、学校って週5でしょ?そうなると、遊ぶのが土曜でバイトが日曜。床屋なんて行く暇がない。一度ニートやると、そういう考えになる。


でも、今日は遊ぶ友達がいないので、暇だ。床屋に行こう。


今日の床屋さんは、妙にテンションが高かった。なぜだかはわからないが、僕が音楽を始めたので、ヘビメタの話が出来るのが嬉しいらしい。

僕はテクノ、床屋さんはヘビメタが好きだ。

ブラックメタルと言うジャンルが好きらしい。好きなアーティストは……横文字で長かったので忘れた。ここで稼いだお金はcdやレコードに使うらしい。


僕がテクノが好きと言ったら、何が好きなの?と聞かれ、エイフェックスツインとかスクエアプッシャーが好きですね。と言ったら、知らないと言われた。


そんな話をした。


髪を切り終わり、眼鏡を掛ける。


「こんな感じなんだよ。」


店の扉を開けたところに、床屋さんが寝食をしている部屋があり、それを見せてくれた。

cdやレコードを部屋に集めてると言ってたので、その流れで見せてくれたのだ。





その部屋には、音楽の魔物がいる。


魔物は、姿形を纏ってない。固体でも、液体でも、気体でもない。魂やら、魑魅魍魎の類でもないらしい。


魔物は、床屋さんの脳を、ヘビメタに染める。ツーバスをドコドコと言わせる。

開店前の下準備まで。

閉店後、就寝前まで。

テレビをみたり、トイレに行くとき以外。


ヘビメタを聴きたいと思った時、取り憑かれる。


アマゾンで、cdを買わせる。金がなくなる。


床屋さんは言った。「こんなお金の使い方をする大人にならないでね。」僕は答えに困ったが、いやいやとか言って適当にあしらった。僕は受け答えが下手だ。


地獄に行った人の中には、音楽が流れているらしい。ロボットに電線を通すように、音楽が流れている。身体の中に魂以外で物質でないものがあるなんて、気持ち悪そうだ。


音楽は耳から入る。骨を伝い、脳に信号を与える。これを骨伝導と言う。音楽には、サイケデリックと言うジャンルがある。薬物を摂取した時の感覚を表現する。サイケデリックとはなんだと聞かれたら、だいたいそんな説明を出来る。


時に、音楽には人を覚醒させる力がある。


地獄にいる人は、音楽を聴かされ、もがき苦しむと言う。嫌悪感に苛まれたりして、気が狂う。頭の中にはいつも、それがいる。炎にも焼かれ、針に刺される。


罪人は言った。「やめてくれ、許してくれ。火で炙るな、針で刺すな、頭の中に得体の知れぬものを入れるのはやめてくれ。あゝ、幻覚が見える。見えてはいけないものが見えるんだ。ここはこの世から逸脱している。」


あの山を登るんだ、神を敬え。火の海を泳ぎ、いつくもの困難を乗り越えるんだ。それは精神修行にもなる。


その罪人は、火の海を泳いだ。熱かった。肉体は焦げた。

次に、針の道を歩いた。身体には1000個の穴が空いた。


紆余曲折を経た。山頂に着いた。


が、そういうことは、罪を負う前にすることだった。


「またヘビメタが聴きたい。」その罪人は後に、床屋さんの部屋にいる音楽の魔物になった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ