○エンディングフェイズ~PC1~
GM:規定はパラディンのお見舞いですが、他に何かやりたいことはあるでしょうかー?
勇己:いえ、大丈夫ですっ!
――R対策室の運営するヒーロー専門の病院。その個室に、パラディンが入院している。
勇己:「……っ」お見舞いの品のどら焼きを持ちながら、ちょっぴり緊張したような不安なような面持ちで面会を待っています。
GM:どらやきかわいい。
勇己:フルーツとか贈るにはちょっと若いかなぁと思って。
GM:面会はナースステーションで名前を書いて、直接病室に行けばOKですよ。
勇己:では早速病室へ……
GM:病室のドアを開けますと、ベッドから起き上がり、キミに顔を向けます。
パラディン(GM):「わざわざ見舞いに来てくれたのか、すまないな」
勇己:「パラディン! 大丈夫ですか……?」視線を合わせながら、容態を確認するように見つめて。
パラディン:「傷の具合は大丈夫だ、喰らったのは特製の弾丸だったが、こちらは伊達にナンバーワンヒーローじゃない。頑丈さには自信がある」
勇己:「そ、そんなっ。気にしないでくださいっ……そうですか。それを聞いてちょっと安心しました」不安が解けて笑みを浮かべ、
「今日はお見舞いと……無事にヴィラン達を止めたことの報告に来ました。Mr.コバルトには逃げられちゃいましたけど」ちょっと誇らしそうに報告。あの時パラディンから任されたからね。
パラディン:「報告か、わざわざありがとう。ニュースにもなっていたぞ?素晴らしい活躍だった。君なら出来ると、私は思っていた」
勇己:「あっ、そういえば取材も受けたんだった! 自分がニュースになるの、まだ慣れてなくって」たはは。「あなたに期待してもらった分の仕事ができたなら、光栄ですっ」
パラディン:「それは場数を踏んで慣れていくしかあるまい。メディアにアピールするのもヒーローの仕事だ」
勇己:「そうですね。俺、今まではとにかく目の前の人を助けたい! って感じでヒーローやってましたけど……今回の事件で、大勢の人を護って安心させる、っていう役割もあるって学んだと思います」
パラディン:「ああ、目の前の人を助けるだけでなく、多くの人の心を安心させるのもまた。ヒーローの仕事でもある。……私は、こういった入院は初めてではない。もっと重傷で、完治に何週間も掛かった事もあった。
まあ、報道はされなかったがな。No.1ヒーローは、傷ついたところを見せないものだ」
勇己:「!……重いですね、No1って」勿論いさみんも初耳なのでちょっと驚いて。
パラディン:「”パラディン”というのは……いわばメディアが作った虚構の英雄だ。キミはどう思う?」
勇己:「!?」常に自信と威厳を漂わせていたパラディンからの質問に、言葉を失いながら考えて。
「何があっても傷ひとつ負わない完璧なヒーロー、っていうのは……本当は存在しない、のでしょうけど、その傷を見せずに、力強く立ち上がって……その姿が市民や他のヒーローの勇気になる。新しい力になる。
それをここまで貫いてきたあなたは、紛れもなく本物のNo1ヒーロー、”パラディン”です。俺も、そんな風に勇気付けられた一人ですから、ね!」笑みを浮かべ。
パラディン:「……そうか。ありがとう。……こんな言い方は不遜かもしれないが、ワンスモア、キミには私の後継者になって欲しいと……思っている」
勇己:「なるほど、後継者ですか!……こっ、こっ!????」びっくりしすぎて驚くのが遅れる。
パラディン:「……ああ。今すぐ、というわけではないが――」
パラディンの声のトーンが落ち、独り言のようになる。パラディンは窓の方を向く。
「いや、それほど時間は無いかもしれないな」
「……限界が、近づいてきている……んですね」
彼の言葉に謙遜だとか、色々言いたいことがありすぎて言葉に詰まりながらも、勇己の口から最初に出たのはその言葉だった。
それにパラディンは答えない。
だが、彼の耳に付いているヒーローズクロスは、赤みがかったオレンジを示している――。
少しばかりの静寂の後、迷いがある中勇己はまた口を開く。
「後継者、なれるかわかりませんけど……今よりも一層、良いヒーローになるための努力をします。
もしその時が来ても、市民を護れる、背中の広いヒーローに俺がなるための……」
目の前の日々を、より懸命に生きること。
――それが、今この青年が返すことのできる返事だった。




