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プロローグ
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「れでぃ〜すあんどじぇんとるめ〜ん。
ようこそ今ツアーにお越しくださいました、正面に見えますのが、我が主がおわします暗黒魔王城で〜〜ございます!」
音割れする程の声量で車内アナウンスが響く。
ピョコピョコと先端がスペード形の尻尾を揺らしながら、まだ見た目は人間で言うところの中学生くらいのバスガイドがにこやかに車内を見回す。
「さぁさぁさぁ!どーぞどーぞ降りて、まじまじと!これでもか!と言うくらい見ていって下さいね〜!」
紫色の瘴気漂う暗闇の大地にそびえ立つ、荘厳たる魔王城。乗客はぞろぞろと魔界バスから降り、ある者は物珍しそうに魔王城を眺め、またある者は記念撮影をしている。
今日までに魔王城がこの様な扱いをされることがあっただろうか。物々しい魔王城の前には笑顔の人々が集まっている。
客の手元からハラリとパンフレットが落ちる。
☆おいでませ!深淵魔界バスツアー!!☆