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異世界ファンド 作者:陽向 舞桜

第一章 始動

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第一節 判決

「……有罪」


 裁判所に響き渡る判決。そこには呆然と立ち尽くす少年がいた。


――終わった……何もか……も。


 歴史上、類を見ない異例の裁判が執り行われていた。


 ◇◆


 被告人の名は睦月タケル。

 天才トレーダーとして名高い彼は、幼い頃に両親を交通事故で失い、養護施設に預けられた。

 そこで類稀(たぐいまれ)なる才能を開花させ、天才を養成する機関に迎えられると、いきなり歴代トップのIQを叩き出す。

 その後、国内最難関の大学に満点で合格。

 大学在学中に為替トレードの面白さに魅せられ、開始わずか一年でミリオネアとなった。


 そんな彼を報道機関が放って置くはずもなく、取材陣が彼の元へと殺到した。

 高身長、容姿端麗でもあった彼は、一躍時の人となったが、贅沢や色恋沙汰には全く興味を持たず、ただひたすらにゲームとしての為替トレードを楽しむ日々を過ごしていた。

 彼は取材の中で、このように答えている。


「お金には興味ありません。あくまでゲームスコアを競う感覚で、為替トレードを楽しんでいます」


 ◇◆


 この日、彼は偽計取引の罪で起訴されていた。


「僕はやってない! 冤罪だ!」


 彼は終始無罪を主張し続けたが、事態が好転する気配は全くなかった。重苦しい雰囲気の中、裁判長が判決文を読み上げる。


「睦月タケルを偽計取引の罪で……異世界へ島流しの刑に処する」


「異世界へ島流し……なんだよそれ……」


 判決が下ると、奥の重たい扉が開いた。中からガタイのいい男が二人出てくる。カタッカタッと迫り来る足音。その足音に比例して加速する鼓動。

 判決を受け、傍聴席からは次々と怒号が飛び交っていた。


「やめてくれ! 僕は無罪だ!」


 彼の訴えは虚しく木霊していた。絶望という恐怖が一気に襲いかかる。

 近づいてきた男達は、彼が暴れないよう両手に手錠をかけた。そしてその口に水を含ませ、薬品のような小粒の物体を飲み込ませる。

 失いゆく意識の中、彼はなおも無実を訴え続けた。

 緊張が薄れ、徐々にぐったりとなる身体。目の前に映っていたはずの男達が遠くなる。怒号も彼の中で少しずつ消えていく。

 全身の五感が周りの様相を捉えられなくなっていた。


――誰か……助け……て……。
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