腕組み
「そういやさ。お前らどこの住んでるんだ?」
下駄箱に上履きを入れながら訪ねる。
今度遊びにいくからさと付け加えようとすると。
「どこって」
「のう」
「……」
「「「スグルの家」」」
「はっ?」
何言ってんだ?
「だから言っておるじゃろう。お主の家じゃ」
「肯定」
「そいう事になるわね」
俺の家に三人が、いやいやあり得ないだろう。
家を出るとき母さんは何も言わなかったし、父さんは出張中、父さんは関係ないか。
大体部屋の数が合わない空き部屋は一つだけだし、物置を開放すれば何とかなるのか。
「心配するな。親御さんには了承を貰っとる。部屋もワシらの力で空間を拡張済みじゃ。で、その祝いの席なんじゃが。ワシが自慢の手料理をご馳走してやろう」
「私の参加する魔術の粋を集めた料理を振舞う」
「あっ! ずるいわよ。私も参加する二人だけ点数稼ぎなんてさせないんだから」
どんどん話が勝手に進んでいく。
幼少のころからこの流れは変わらないな。
空間を拡張なんでもありすぎる。
チートもいい所だ。
そしてそんな面々の料理、うーん。想像がつかん。
「じゃあ、材料の買い物がてら久しぶりのこの町を案内してよ」
俺と腕を絡ませる心。
心の柔らい二の腕と指先が心地よい感触を伝えてくる。
「あっ! ずるいぞ。心」
反対側の腕をつかむレナ。
レナの腕は肉付きこそ薄いが張りがあってこれまた心地よい。
まさに両手に花というべきか。
そして感じるどことないむず痒さ、幼少のころはこんなの日常茶飯事だったけど。
幼少時代のLIKEからloveに意思表示が変わったせいかなんだか不思議な感覚だ。
そのむず痒さが落ち着くといいか、ほっとするといか(同じような意味だけど)
それを見て真名は無機質な感情が読み取りにくい顔で口を開く。
「レナ、心、ずるい時間交代制を申請する」
「分かっとる分かっとる15分交代でどうじゃ?」
「承諾する」
「じゃ行きましょうか」