再会
俺には三人の幼なじみがいる。
ちなみに全員女子だ。
そんな幼なじみと言えば大概は仲がいいものだと思う。
家が近かったり通う学校がずっと同じだったり仲が良くなるのは、自然の成り行きかも知れない。
当然不幸なケースで仲違いになってしまう事もあるけど。
俺は幸いなケースで離れていても関係は良好だと思っている。
その幼なじみの彼女たちは少し変わっていた。
俺の幼なじみは自称大魔法使い、宇宙の次期支配者、超能力者なのだ。
真偽の方はしらないし、真偽がどちらでも友達に変わりないから、指摘はしたことはない。
むしろ幼心にかっこいいと思った気がする。
大魔法使いのまーちゃんは、黒髪のショートヘアの似合う童顔の女の子でいつも手には杖を持ち黒ローブを纏う。
宇宙の次期支配者のレナちゃんは金髪のロングヘアで顔の作りが整っている女の子、服装は演劇なんか何んかにででくる貴族みたいな服を着ていた。
超能力者のこころちゃんはツインテールの白髪で可愛らしい容姿の女の子、服装はいたって普通。
みょうちくりんな自称の真偽は定かではないけど。
俺からすれば嘘でも真実でも結構どうでもいい。
彼女たちが何者でも善良なら別に問題などないしね。
で、その彼女達とは小3の夏休み以来顔を合わせていない。
互いの家庭の事情で俺だけが地元に残り、三人は別々の所に行ってしまった。
どこへ行ったかは知らない。
連絡先は交換したけど。
携帯で、彼女たちの居場所を特定できるものではなかった。
彼女たちも何故か教えてくれなかったし、深く詮索するのは野暮ってもんだ。
でも、変な勘違いをしないでくれよ。
中が悪いってわけじゃない。
メールは三人と毎日のようにするしラインだって同じぐらいする、中はとても良好と思っている。
そんな彼女達と俺は再開する。
俺が通う学校でだ。
そんな彼女たちは、幼かった昔の記憶が確かなら3人とも美少女のカテゴリに入るため。
成長によるプラスアルファが期待できる。
3人が現在の姿を写メで取る事を拒んだため、向うに俺だけが写メを送った。
ある意味サプライズと女心は複雑なんだなと思っておこう。
今までいろいろな人にあっていろいろあったけど。
彼女達と過ごす時間が一番楽しかった。
向うにも都合があるようで、急にうちの学校に転入する話になったらしいけど。
始業式を一緒に出れない事が少し残念。
ラインででも話題に上がったけど、本当に急に決まったらしい。
そんなことを考えていると、学校についた。
『私立鳴上高等学校』
一番の目玉は旨い学食。
それ目当てにこの学校を目指すもの好きも奴もいるらしい。
それ以外の特色はない普通の学校だ。
男女共学で全校生徒は男女合わせて千人ほど。
とくに目立ったトラブルも聞いたことがない。
俺が滑り止めに受けていた高校だが他が全滅して仕方なくここに決めた。
そんな学校な中に入り、青春が視覚化できれば様々な色を浮かべたであろう人々を交わし、我がクラス1ーAへ。
クラスの群れた小鳥のような声を上げる女子の集団を後目に窓側の自分の席に座る。
「神崎聞いたか」
後ろの席の田中だ。
やけに嬉しそうだが思春期の学生の気風ってやつなのだろうか。
「今日うちにクラスに転校生がくるらしいぜ。しかも三人!」
「へーそうかい」
「なんだよ神崎ドライだな。もしかしたら美少女3人かもしれないのに」
「俺は間に合ってるし」
そう答えたが、三人と言われるとどうしても馴染み深い三人を想像してしまう。
流石に三人そろって俺のクラスというのは偶然にしては出来過ぎなのであり得ないよな。
「よく聞け! 神崎! 男のロマンは美……」
「皆席につけ」
ガラガラと立て付けの悪い扉を開く担任教師。
田中は熱く口から吐こうとした熱意を無理やり押しとどめるが、吐き足りない熱意が背中ごしにむんむんと。
対した話ではないのだからもうちょっと抑えてくれよ。
「今日このクラスに転入生が三人加わります」
「先生! それは女子ですか!」
雨季のカエルのように上付いた声で田中が質問する。
さっきからテンションがやけの高いこれが思春期の男の熱てやつか。
「ああ、そうだ」
「美人ですか?」
その女子とう言葉にクラスの空気が一瞬で沸騰寸前のやかんのような状態になる。
当然主に男子――俺を除く。
「それは見た方が早いだろ。三人とも中に入ってきてくれ」
その言葉に三人の人物が教室に入ってくる。
一人は黒髪ショートカットで先が丸い木の杖を持ち制服の上に黒ローブ。
もう一人は金髪ロングヘアで柄の大幅に足されたブラウススカートの改造夏制服。
白い髪をツインテールでまとめた普通の夏服の女の子。
湧き上がる男たちの歓喜の声を後目に、
「まーちゃん、レナちゃん、こころちゃん?」
こうして俺たちは再会した。
成長はしてるげだけど突貫工事感が否めず