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二十六話 超常現象

 翌朝、大山が台所に立って鮭を焼いている間、高速道路を2時間半も爆走してきたトラックを労う為幸太は洗車をしてみた。

 奥にはよし乃から勝手にしてよいと言われている軽トラックも駐車しており、調子づいた幸太がそちらも綺麗にして戻ってくると、タイミングよく良い匂いをさせた朝食が出来上がっていた。


 朝食を済ませ午前の散歩を軽くした後大山は幸太を乗せて役場巡りをし、家の前で幸太を落とすと、幸太が数日後に行く普通免許合宿の後にまた遊びに来るぞ。と言い残して実家に帰っていった。


 初めて馴染みのない土地で一人になった幸太であったが、取り敢えずはと昨日の夜から気になって仕方がなかった棺桶を縁側の廊下に置きなおす。

 今思えば、栄太のベッドの下から取り出した時も中身が綺麗すぎて違和感を感じたのを思い出し、蓋を開けながらしばしそれを見つめ続けた。


 30分程も黙って見ていたのだが特に何も起きず、幸太は次の実験を試みた。


 屋敷を一周し、今回は特にいらないもの、さきほどトラックを洗った年季の入ったブラシ、植物性の食器洗い洗剤、引越しで余ったガムテープ、大量のビニール袋、空のペットボトル、大山が朝食時にしまい忘れた練りわさび、畑を散歩していた時に何故か落ちてた忍者が使うマキビシ、かき集めたこれらを棺桶の中に放り込み蓋を閉じた。


 その後自室に戻りゆるゆると引越しダンボールを開封し、午後もちらっと畑と田んぼを散歩して戻ってくると、棺桶の半径3mまで近づいた時点でまた棺桶から違和感を感じ、そっと蓋を開けてみる。


 またしても、棺桶はもぬけの空となっていた。


「やべぇ、これはマジな奴だ」

 

 今回は散歩時に鍵かけを徹底したし、引越しの時と違い他人が触る機会などどこにもない。

 本物の超常現象に対面して驚きを隠せないのだが、初回、引越し時、今回の事を考えるとこの屋敷のせいと考えるのは合理性に欠ける事を思い出し、幸太はとりあえず、恐る恐る棺桶の全身を再度確認し、どこにも仕掛けがない事を確認すると蓋の隙間をテープで塞ぎ、屋外の倉庫に放り込んだ。


 幸太はよし乃か大山が来た時に相談してから処分するのが妥当だと判断し、数日後、棺桶には一切触れずに幸太は普通免許合宿の為屋敷を後にするのであった。

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