キスってどんな味?
9月も終わりに近付く頃
『それじゃあ、明日までに文化祭でなにやるか決めといてな』
担当の大宮はそう言って、教室から出ていった
ざわざわ…
「そろそろ文化祭かぁ…」
「そうだな。高校の文化祭ってどんなんだろうな」
そう、来月から文化祭が始まるのだ
「でも、うちのクラスは何すんだろうな」
「私は、喫茶店とかやってみたいな」
そう言ったのは、黒磯だった
「やっぱそれが定番か」
「じゃあ俺は、メイド喫茶だな!!」
「なんで…?」
「やっぱさ、女の子にはメイド服が似合うと俺は思うんだ!なぜなら…(以下略)」
小月はメイドについて力説し始めたが、俺は無視した。
「高井戸さんのクラスはやること決まったの?」
俺は休み時間に遊びに来ていた高井戸さんに聞いた
「わ、私のクラスはあの…決まりましたけど」
「早いね。何すんの?」
「あ…えっと…その///」
「?」
なんだ?言いにくい企画なのか?
「あの………だ…///」
「だ?」
「だ、男装女装喫茶なんです!!///」
え?男装女装喫茶?
すると高井戸さんは尾久に抱きついた
「私、男装なんて嫌だよぉ(泣)」
いきなり泣きじゃくりはじめた。
「ていうか、男装女装喫茶て…」
「小岩は知らないの?女子が男装、男子が女装で接客する喫茶店の事よ」
「へぇ…そんなものが…」
なんとなく高井戸さんが嫌な理由が分かる。
というか…男子が女装って…
吐き気がしてきた。
「…というわけで、メイド喫茶にしようじゃないか!!」
無視してる間に小月のメイド力説が終わった
「どうだ!これでメイド喫茶の魅力が分かったか小岩よ」
「はいはい、ワロスワロスww」
「分かってくれたか…さすが小岩だ」
コイツがバカで良かった…
「でもさ、よく考えたら小岩ってメイドの雪未ちゃんと一緒にいるから魅力くらい分かるんじゃない?」
「なるほど。確かにそうだなww」
「魅力って言われてもな…」
俺は雪未を見た
ま、俺が好きなせいもあるけど、雪未は笑顔も動きも何もかもが魅力的に…
って!?俺ってかなり毒されてる!?
「どうした?城崎っちゃんの何もかもが魅力に感じるのか?ww」
「って、心を読むな!!」
「ふぇ!?裕吾、私にそんなことを…///」
やべぇ!!聞かれてた
「あ…いや、そんなこと考えて…///」
「わ、私には魅力がないの…」
「い、いやっ!!そんなことない!!雪未が魅力的で大好きだ!!」
あ…や、やってしまったぁぁぁぁぁ!!!!!
なんで俺は皆の前で告白してるんだぁぁぁ!!!
「あ…あぅ…///」
「い、いや…俺…///」
俺も雪未も顔を赤くしていた。
「お前ら、元気だなぁ…ww」
「もう…ごちそうさまよ…」
「はわわ…小岩さん大胆/////」
「ち、違うっ!!今のはえと…///」
「皆まで言うな、お前らがラブラブなのは知ってるんだからなww」
「だからぁ!!///」
~~~~~~~~~~~
キーンコーンカーンコーン
「よし。昼だ、購買行こうぜ裕吾」
「お、おぉ…」
「てか、まだ恥ずかしいのかよw」
「お前のせいだろうが…」
「悪い悪い、でもふたりともぎこちなくなったよな」
確かにあの時以来、俺も雪未も普段通りに戻った。
「……………」
「どうした?小月」
「あのさ…小岩って城崎っちゃんとキスしたことある?」
「はぁ!!!??」
俺は廊下で叫んでしまった
「その反応ということはないんだな」
「つうか、いきなり何聞いてんだよ!?///」
「もう付き合い始めて1ヶ月経とうとしてるのにそういうのないかなと」
「ね、ねぇよ(汗)」
「お前らウブだもんなww」
「うるせぇ///そういうお前はあんのかよ」
「エロゲの娘となら情熱ディープキスならあるけどね」
「あ…そ…」
でもキスか………
~~~~~~~~~~~
「裕吾、遅いなぁ…」
昼休みに裕吾は小月君と一緒に購買に行ったけど、まだ帰ってこない
「小岩さん心配なの?」
「う、うん///」
「青春よね~wwこんなにごちそうさまを味わえるなんて…」
「ちょっと…からかわないでよ沙紀ちゃん」
「だって~仲良すぎるんだもん。これは芸能人の熱愛を越える程すごいよ」
「ね、熱愛って…ゆ、裕吾と…///」
「……………」
「?どうしたの?」
「ねぇ…小岩のキスってどんな味するの?」
「ふぇ!!!??」
私は教室で叫んでしまった
「その様子だとキスしてないのね」
「な、なんでそんなこと…///」
「もう付き合い始めて1ヶ月経とうとしてるのにそういうのはまだかなぁって」
「ま、まだ…///」
「それはまずいんじゃない?」
「え?」
そう言ったのは亜紀ちゃんだった
「知ってる?恋人って、付き合って1ヶ月以内にキスしないと別れる可能性が高いらしいよww」
「そ、そうなの!?」
「うん。だから早くキスしないとダメだよww」
キスか………
~~~~~~~~~~~
放課後
テクテク…
「……………」
「……………」
あれ?なんでだろう?なんで雪未と話せないんだ?
いつもの帰り道、いつもなら手を繋いで話しているのに今日は話しかけにくい
なんだろう、小月がキスの話をしたからなのか意識していた。
俺達は黙々と歩いていると、通学路にある小さな公園を横切る
すると
くいっ
「え?」
見ると雪未が服の袖を掴んできた
「あ、あの…ね。こ、公園で休みたい///」
「お、おぉ…分かった」
俺と雪未は2人掛けのベンチに腰掛けた
公園は遊具はないベンチだけ、周りは大きな木で覆われてる小さな公園
俺は雪未と寄り添いながら、座っていた
てか、雪未は何を…
「ゆ、裕吾ぉ…///」
「え?ちょ………!?」
いきなり雪未が俺に近付いて唇を近付けてきた
え…急にキスか!?まさかそんな…
待て待て心の準備が…
「あぅ…/////」
「え?」
「やっぱりダメ!!///」
ドンッ!!
「ぐぇっ!?」
いきなり俺を突き飛ばした
「っ……………/////」
「え…?ゆ、雪未?」
「ご、ごめんね…私のこと嫌いになった?」
「いやそんなことは…でも、なんで急に?」
「実はね、亜紀ちゃんが恋人は1ヶ月以内にキスしないと別れちゃうって…」
「は?なんだそれ?」
黒磯のヤツなんてこと吹き込んでんだ…
「なんだ…それを気にしてたのか」
「だって…」
「いいんだよ。俺達は俺達のペースでいこうよ」
「………うん!!」
安心した………まさか雪未があんな積極的になるとは思わなかったけど…
でも…キスか…
「雪未」
「うん?」
「あのさ…キス…しようか///」
「ふぇ!?///」
俺は無意識で言っていた。
雪未にキスしたい、雪未をもっと感じたい
それが俺の願望だった
「急に言って悪い。でも気になってるんだ」
「あぅ…///ゆ、裕吾も?」
「え?」
「私ね、ずっと気になっているんだ。キスが…」
あぁ、だから雪未ずっと黙ってたのか
「ずっとキスの味が気になるの…///」
「俺もだ…」
いつの間にか2人とも身体をくっつけあっていた
今すぐにでもキスが出来る距離だった
「雪未…いくぞ」
「う、うん…///」
ちゅっ…
「ん…ぅん…ん………」
俺達は唇を必死にくっつけていた
初めてのキス
「はぁ……ん、裕吾ぉ………」
まるでひとつになったような気分だった
「ぅん……ん…ぷはぁ」
「雪未…キスはどんな味した?」
「甘い…///甘い味がした///」
「そうか…」
そう言うと、俺はまた唇を押しつける
「う………ぅん…裕吾ぉ…好きぃ………」
「俺も………好きだ…」
「あぅ……………ん…ん…」
そのまま俺と雪未は時間を忘れて夢中でキスをし続けた
~~~~~~~~~~~
「裕吾…キスって気持ちいいね///」
キスをした後、雪未は俺に寄り添って座っていた
「満足した?」
「うん…裕吾、好きだよ。」
「俺もだよ…」
俺は雪未をもっと感じたくなった
そう想ったのだ