それぞれのクリスマス
テクテク…
「やっと冬休みだー!!」
「正孝嬉しそうだね」
終業式が終わって、俺と由香里は一緒に帰ってる途中だった
「そりゃそうだろ。小岩達に会えないけど、学校はないからな!」
「でも冬休みの宿題は忘れちゃダメだよ?」
「う………(汗)」
「去年は小岩君が写したあげたとか聞いたよ」
「……………じゃあ今年は自力で頑張ります」
彼女に言われちゃ仕方ない。頑張るか…
「あ」
「ん?」
ジングルベール♪ジングルベール♪
見ると由香里はクリスマスフェアをやってる店を見ていた
「そういえばもうすぐでクリスマスだな」
「うん…///」
「クリスマスはどこか行きたいところはある?」
「ん…わ、私は…///」
「?」
「ま、正孝と一緒ならどこでもいいの…/////」
「っ……………/////」
由香里…なんて恥ずかしいことを…
「そっそうか…///」
「……………ねぇ、正孝///」
「え?///」
「初めてのクリスマスはいい思い出作ろうね?/////」
「……………」
ギュッ…
「だな」
~~~~~~~~~~~
その頃…
「もうすぐクリスマスだね」
「そうだな…」
終業式が終わって、俺と雪未は部屋のベッドでイチャイチャしていた。
「って、なんで帰っていきなりベッドに入ってるんだ?」
「だって…裕吾と一緒にイチャイチャしたかったんだもん…///」
「だからって制服のままはダメだろ」
「じゃあ裕吾はメイド服でイチャイチャしたかったの?///」
「う…///ま、まぁな///」
「分かった。それじゃあ今すぐ着替えてくるね!!」
「え、今からって…ちょ…おま!!」
バタンッ!
雪未は一目散に部屋を出ていった。
「別にそのままでもいいのに…」
別に汚れても学校はしばらく休みだから平気なのだが
「………それにしてもクリスマスか」
………そういえば俺の家に雪未が来たのは去年の確かこんな冬の日だった気がする。
~~~~~~~~~~~
「は?メイドを雇う?」
ある日、母さんが突然そんなことを言い始めた
「そうよ。お父さんが単身赴任してしまって、その間の身の回りの世話をしてくれる人が欲しくてね」
「そういう業者に頼んだらいいんじゃないか?」
「あれは高いし、いちいち呼ばなくちゃいけないでしょう?だから住み込みで働いた方が楽だと思うの」
「でもさ、誰を雇うの?」
「それなら心配無用よ。もう既に来てるから!!」
「は?」
「さぁ、入ってらっしゃい」
ガラガラ…
「は、初めまして、メイドの城崎雪未です。」
「…………………………」
なぜかメイド服を着た幼なじみの雪未がいた
「何してんの雪未…」
「今日からここで働く雪未ちゃんよ」
「はぁ!?どうして!?」
「私、メイドさんを雇うところ知らなくて誰かに頼もうと思ったのよ」
「でもなんで雪未を雇ったのさ…」
「雪未ちゃんがアルバイトを探してたから、せっかくと思って」
「えぇ…そんな理由で」
だからって幼なじみをメイドにすんのは間違ってるだろ
「それに知らない人を雇うより、知ってる人の方がいいでしょ?」
「……………」
確かにそうだけど…よりによって幼なじみだしなぁ
チラッ
「あぅ…///」
ふと目を合わすと雪未は顔を赤くして目を逸らした
「なぁ、雪未」
「え…なに?///」
「恥ずかしいなら別に受けなくてもいいんだぞ?」
「だ、大丈夫だよ!!せっかく受けたんだから頑張るよ!!」
「頑張るところ違う気がするんだけど」
「とっ、とにかくよろしくお願いしますご主人様!!」
「……………」
~~~~~~~~~~~
ということから俺の妙な生活が始まったわけだ
それから雪未は何を思ったか、メイドはやらしいことをご主人からやらされることと思って、(たぶん尾久か小月が吹き込んだと思う)勝手に変態妄想するようになった。
だがあの時以来、雪未は大人しくなりとても可愛らしい女の子になった。
あれから『幼なじみ』からは見えない雪未の素顔を『彼女』から知ることが出来た。
「だからこんな決断しようと思ったんだよな…」
ガラッ
「これを渡したら、俺は変われるかもしれないからな…」
~~~~~~~~~~~
クリスマス当日
「はぁ…寒いな…」
夕方近く、俺は駅南口で由香里を待っていた。
これから俺達はクリスマスイルミネーションを観に行くのだが…
「はぁ…ヤバい緊張してきた///」
実はこの日、俺と由香里の初デートの日だった
ヤバいな…急に緊張してきたな…
とりあえずデートって最初何をすればいいんだ?
まずは手を繋いで、腕を組んで……………う…由香里の柔らかい手を思い出してしまった/////
た、確か俺がやったエロゲだと…デートでは女の子をエスコートをすればいいんだよな…
俺にそんな器用なこと出来るのか…?
ヤバいそんな事考えてたら、余計緊張してきた(汗)
「ま、正孝///」
「うおっ!?由香r…」
…………………………
…………………………
振り向くと目の前にはとても可愛らしい由香里の姿があった
「ご、ごめんね。準備に手間取っちゃって…」
「……………」
「正孝?」
「……………」
「えと…もしかして怒ってる?」
「………っは!?い、いや怒ってはないぞ(汗)」
「そっか、良かった…」
うっかり見入ってしまったが、この私服可愛すぎるだろ…/////
我彼女ながら完璧すぎる…
「どうしたの?」
「え、いや…由香里の私服可愛いなって」
「え///」
「あ///」
俺は何言ってるんだあああぁぁぁぁぁ!!
「あぅ…不意打ちすぎるよ正孝…/////」
「えと…」
「……………///」
ギュッ…
「え/////」
「えへへ…嬉しいよ。私服褒められて///」
「ま、まぁ彼女を褒めるのも彼氏の役目だし…」
「そうだね♪それじゃあ行こ?」
「あぁ…///」
~~~~~~~~~~~
クリスマス当日
「寒いな…」
夕方、暗くなってきた駅北口で雪未を待っていた
「雪未は先に行っててとか言ってたけど…」
同じ家に住んでいるはずなのに雪未は先に行ってるように言われた
もしかしてクリスマスだから、とっておきの服装で行くとかか?
でもまさか…メイド服で来るんじゃないだろうな…
「裕吾~お待たせ~」
「って、メイド服かよ!!」
案の定、雪未はメイド服で本当に来た
先に行かせたのはなんだったんだよ(汗)
「ふぇ?私はいつでもメイド服だよ?」
「でもクリスマスだし、私服でも…」
「裕吾はメイド服嫌い?」
「っ……………///」
あーもう!!可愛いなちくしょう、上目遣いは反則だろ!!
「ま、まぁいいや。とりあえず行くか」
「うん♪今日はいい思い出作れるといいね」
「そうだな………」
グッ………
~~~~~~~~~~~
「うわぁ…スゴくキレイ…」
俺と由香里はイルミネーションを観ていた
芝桜に敷き詰められた光の列がとてもキレイに見える
「こんなところがあったんだね」
「前にインターネットで見つけてな。由香里なら喜んでくれるかなと思ったんだよ」
「うん…これは嬉しいよ。ふわぁ…」
とても嬉しそうに観てくれていた。
よかった…喜んでくれて
「……………なぁ、由香里。後ろ向いてくれないか」
「え?どうして?」
「いいから向いて」
由香里が後ろを向くと俺は前から
スッ…
「あ…」
「これ…クリスマスプレゼントな///」
「これは、ネックレス?」
後ろから首に掛けてあげた
「俺の少ないお金だとこんな安いのしか買えないけど…」
「うぅん。嬉しい…ありがとう」
「あぁ…どういたしまして///」
こんなに喜んでくれるなんてちょっと気恥ずかしいな
「あのね…私からもクリスマスプレゼントあげるよ///」
スッ…
「あ、ありがとう…開けてもいいか?」
「う、うん///」
ガサゴソ
「これは…手袋?」
「裁縫とか得意じゃないから、市販品だけど…」
「いや、これは嬉しいよ。ありがとう」
「どういたしまして…///」
「ねぇ、正孝」
「ん?」
「私ね。正孝とクリスマス過ごせて本当に幸せだと思う…」
「俺も幸せだよ。こんな可愛い彼女と過ごせて」
「うぅ…ズルいよ正孝///」
「………好きだよ。由香里」
「………私も好きだよ。正孝」
なんて俺は幸せなんだろう。
俺は昔からエロゲにハマって、三次元の女の子と付き合うなんか無縁だと思った。
でも、今は可愛い彼女がいる
これが俺の思い描いたハッピーエンドなんだろう
「くしゅん!」
「冷えてきたな、そろそろ帰ろうか」
「うん」
「由香里、はい。」
「えっ?」
俺は由香里に片っぽの手袋を渡す
「一緒につけて帰ろうか」
「え…でもそれだと片方の手が冷えちゃうよ(汗)」
「だったらこうすればいいんだ」
ギュッ…
「はぅ…/////」
「これだと両方の手が暖かいだろ?」
「……………そうだね/////」
「じゃあ帰ろうか」
「うん♪」
~~~~~~~~~~~
観覧車の中
「どうだった?今日は楽しかった?」
「うん。とても楽しかった!!」
「よかった…遊園地はどうかなと思ったんだけど」
「うぅん。夜の遊園地とかすごくキレイだったよ」
雪未は喜んでくれていたようだけど…
今日は雪未がメイド服を着ていたせいでとても気恥ずかしかった
遊園地にメイドがいるというのはかなりカオスだったな…(汗)
「あ…見て裕吾。外スゴくキレイ…」
「おぉ………絶景だな」
観覧車からは遊園地のアトラクションの光と街の夜景が合わさって、とても幻想的な光景が広がっていた。
「今日はありがとう、裕吾。楽しかったよ」
「……………」
グッ…
「なぁ、由香里。話があるんだ」
「どうしたの?改まって…」
「去年の今頃に雪未は俺の家にメイドとして来てくれたよな?」
「うん…」
「正直、俺は雪未をメイドとして受け入れるはどうかと思ったんだ。だって年頃のしかも幼なじみと一緒に住むというのはとても気恥ずかしかった。」
「でも…俺は雪未と一緒に過ごしてきて、俺は『素』の雪未を見ることが出来たんだ」
「素の…私?」
「幼なじみだけじゃ分からない、一緒に過ごしてきたからこその『素』に俺は惹かれた。そして…」
「そして俺は雪未を好きになった。」
「でも…俺は思ったんだ。ここまで好きあっていて、主人とメイドの関係のままでいいのかと…」
「だから俺は雪未をメイドとして雇って置けなくなった…」
「!!それって…」
「直接言うとクビだ」
「……………」
雪未はショックを受けたようにうなだれる
「雪未、なんで泣くんだ?」
「ぐすっ……………だって裕吾と…もう………うぅ…」
「待てって、まだ話は終わってない」
「…………………………え?」
「確かに雪未はクビにした。でも俺は違う形でまた雪未を受け入れようと思うんだ」
「………?」
「これを見てくれ」
スッ…
パカッ
「!!それは……………」
俺が見せたのは小さな箱の中に入った指輪
「あぁ…雪未、俺と結婚してください。」
「っ……………裕吾……………!!!!!」
「まだ高校生だから、何年も先の話になるけど…早くその返事を聞きたくてさ」
「……………ゆ、裕吾と結婚出来るなんて…夢みたい…」
「夢じゃないよ」
「ありがとう…嬉しい…」
ギュッ…
「雪未…これからもよろしくな?」
「はい………よろしくお願いします」
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4年後
「はぁ…」
俺は冷えた廊下である人を待ちわびていた。
外は雪が降っており、すでに冬を迎えていた
今日は俺と雪未の結婚式だった。
「小岩さん、準備出来ましたよ」
「はっ、はい…」
俺は雪未のいる部屋を開けると…
「………裕吾!!」
「………………………………………」
俺は驚愕した。
目の前にいたのは昔から仲のよかった幼なじみでも、俺と一緒に住んでいたメイドでもない
とても綺麗な純白のドレスを着た雪未の姿があった。
「………綺麗だな」
「本当に?ありがとう…///」
「本当に………綺麗になったな雪未…」
「うん………綺麗になったよ」
本当に俺みたいな男が結婚してもいいのかと思うほど、美人になった雪未を見ていると
「おう、似合ってるじゃんかお二人さん」
「わぁ…すごいキレイだね。」
「これは写真撮らなければもったいないね!!」
「って、お前ら!!いつの間に!?」
後ろを見ると小月達が立っていた
「いやー…でもお前達、本当に結婚するなんてな」
「そういう小月達だって、来年には結婚だろうが」
「まぁな。でも、本当におめでとう」
「小岩君、雪未ちゃん。結婚おめでとう!!」
「あぁ…ありがとう」
「ねぇ、小岩」
「尾久」
「結婚おめでとうね。幸せになってね」
「あぁ、ありが…」
「でも結婚したら、小岩にスキャンダルが出来なくなるのが残念なんだよね~ww」
「おい、こら」
尾久は相変わらずだった
「まぁ、結婚してもネタは掴んでみせるけどねww」
「まったくお前は…お祝いの言葉はないのか?」
「う~ん、まぁこれだけは言っておきたいかな」
「雪未の事…幸せにしてあげてね」
「……………あぁ、分かっているさ」
~~~~~~~~~~~
「はぁ…緊張するな」
入場前、俺は軽く息をつく
「緊張してるの?裕吾」
「雪未はしてないのか?」
「してるよ。でもやっと裕吾と結婚出来るって思ったら、嬉しさが先にこみ上げてくるの」
「雪未………」
「私、メイドクビになってよかったと思うの」
「え?」
「だってあの時、裕吾がそう言ってくれなければ、私達はこうしていられなかったかもしれないから」
「そうだな…」
「あの日、こんな私を受け入れてくれて…ありがとう」
『それでは!!新郎新婦の入場です』
「さぁ、行こうか。」
「はい!!」
終わった!!!!!\(^^)/
皆さんここまで見て下さりありがとうございました。
配信が遅かったり、早かったり、迷惑をかけまくったりしましたが、おかげで終わることが出来ました。
本当にありがとうございました!!