降臨六発目 斬り損ねた……
世の中(特にWeb小説)の様々な事を斬る邪神ツクヨだ。さて、今回は何を斬るか?。
今日は俺達三人で近くの湖に来た。 ピクニック兼、晩飯のオカズの調達だ。三人揃って釣り竿を持って、魚釣り。気合い入れて釣れよ、お前ら!。釣れなかった奴は晩飯のオカズ無しだ!。
「流石はマスター、見事な外道発言。正に邪神」
「心の声を読むな!」
「あの~、ツクヨさん、俺の魚、分けてあげますから」
「イサム、邪神に情けは無用です」
「イサム、お前、良い奴だな。コウ、お前は鬼だ!」
「私は魔書の化身です」
「うるさい!」
結果、俺はボウズ。イサム大漁。コウそれなり。クッソ~、悔しいな。まぁ、イサムが魚を分けてくれるし、残った分は干物にしよう。
次の日
「「いただきま~す」」
昼飯を食おうとしていたその時。
「偉大なる邪神様、我らの前にお姿をお見せください!」
「「「邪神様!」」」
「「「邪神様!」」」
何かまた、外で騒いでいるバカがいるぞ。しかも今回は、大人数で邪神様、邪神様と連呼している。うるさい!、飯の邪魔すんな!。
「マスター、うるさいので、さっさと外に出て下さい」
「俺が蹴散らしてきましょうか、ツクヨさん」
「別にいい。俺が行く。大体、見当は付いているし」
俺が外に出たら、全身黒ずくめの、あからさまに怪しい奴らがいた。
「おお! 我らの呼び掛けに応じて邪神様がお姿を見せられたぞ!」
リーダーらしい奴がそう言うと、他の奴らも一斉に騒ぐ。
「「「邪神様、万歳!」」」
「「「邪神様、万歳!」」」
邪神、邪神、うるさいわ!、鬱陶しい!。
「お前ら、何だよ?」
見当は付いているが一応、訊いてみる。
「我らは汚れし世界を浄化せんと欲する者、『メツボー教』であります」
うわ~、ベタな名前の団体だな。まぁ、ツッコむまい。
「で、俺に何の用だ?」
「は、邪神様の偉大なるお力で、この汚れ、腐った世界を浄化して頂きたく存じます!」
「要するに、世界を滅ぼせってか」
「分かりやすく言えば、その通りです」
本当に、ありきたりな奴らだなぁ。そろそろツッコむか……。
「なぁ、お前らに訊きたいんだが、世界滅亡後のプランはちゃんと考えているのか?」
「は?」
「は? じゃねーよ! 世界滅亡させるんなら、その後のプランを示せよ! 世界滅亡後は生活インフラとか壊滅だぞ! どうやって暮らすんだよ!?」
「え~と、そこは邪神様の偉大なるお力で何とか……」
「邪神を当てにすんな! お前らバカだろ! 全く、何で悪の組織とかいう奴らは世界征服だ世界滅亡だ言うくせに、その後のプランを出さない! ちゃんと後先を考えて行動しろ!」
「申し訳有りません! 何とぞお許し下さい、邪神様!」
土下座して謝るリーダー。流石に気の毒になってきたし、許してやるか。
「もういい。とりあえず、世界滅亡は無しな」
「なるほど、世界征服をすると仰るのですな! 流石は邪神様!」
「は!?」
「皆の者! よく聞け! 邪神様はこの地を本拠地に世界征服をされるそうだ! 皆、一丸となって邪神様に尽くすのだ!」
「「「邪神様、万歳!」」」
「「「邪神様、万歳!」」」
だーーっ!、コイツら勝手に変な解釈をして盛り上がってやがる!。
「皆の者、邪悪大神殿に礼拝するのだ!」
「「「ありがたや、邪神様!」」」
「「「ありがたや、邪神様!」」」
「ここは俺の家だ! 変な名前付けるな! 拝むな!」
「皆の者! この地を我らの聖地とする! 皆の力を合わせ盛り立てるのだ!」
「「「邪神様、万歳!」」」
「「「邪神様、万歳!」」」
勝手な事すんな! このバカ共!。
だが、もう遅かった。すっかり盛り上がった、邪教集団は凄まじい勢いでこの土地を開拓。立派な街を作ってしまった。色々と優秀な人材が揃っているらしい。明らかに進む道を間違っているよな……。
「良かったですね、マスター。邪神として箔が付きましたよ」
「うるさい!」
「「「邪神ツクヨ様、万歳!」」」
「崇めるな! バカ共がーっ!」
では、次なる降臨を待て。
降臨六発目をお届け。一気に、周りが賑やかになりました。




