降臨五発目 「デスゲームネタ」を斬る!
「お~い、イサム~、昼飯にするぞ~」
「は~い、今行きま~す!」
いや~、よく働くガキだな。良い拾い物をしたぞ。
読者の皆さん、こんにちは、邪神ツクヨだ。え、メタ発言するな?。いやメタ発言も何も、創造主ムメイの奴が俺をネタにWeb小説を書いているんだし。だからこれも有りだろう。
先日、俺は自称、勇者のガキ、イサムの襲撃を受けるも、無傷で勝利。そして、イサムに勇者の真実(利用されるだけの捨て駒)を教えてやった。結果、イサムはウチの居候になった。
実は異世界からの召喚は割りと容易いが、元の世界に送喚するのは事実上、不可能。何故なら、世界は無数に存在し、その中から元いた世界を見つけ出すなど、まず無理だ。イサムにその事を話した時もショックを受けていたな。バカな奴だ、まんまと聖王国の連中に騙されていたわけだ。
現在、昼飯の真っ最中。ちなみにこの土地、食材は豊富なんだよな。森で獣や果物が手に入るし、近くに湖が有るから魚も取れる。更に、自宅の裏手に畑を作って作物を育てているぞ。
「どうだ? 旨いか?」
俺はイサムに感想を訊く。
「旨いです! おかわり!」
もりもり食べて、元気良く茶碗を差し出してくるイサム。育ち盛りだな。
「居候のくせに遠慮を知らない人ですね。大体、貴方、勇者でしょう? よく敵たる邪神の家に住めますね」
毒を吐く、魔書の化身、コウ。今日も毒舌、絶好調!。
「仕方ないじゃないか、聖王国には帰れないし、ツクヨさんもいて良いと言ってくれたし」
「マスターも甘いですよ!」
「別に良いだろ、どうせこいつじゃ俺は殺せない」
俺はむやみやたらと殺す気は無い。
「さて、昼飯も食ったし、また何か斬るか!」
「今回は何を斬るんですか?」
訊ねるイサム。
「今回は、Web小説の定番ネタの一つ、VRMMOのデスゲームを斬る!」
「VRMMOのデスゲームって意識だけ、ゲームの世界に閉じ込められて、ゲームの世界で死んだら本当に死ぬってやつですよね」
「そうだイサム。だが、あれ、よく考えてみると結構不自然だぞ。不自然な点を考えて上げてみろ。何作か読むと分かる」
「はい、マスター」
「よし、コウ、言ってみろ!」
「作中の主人公達は、ゲーム内に意識が閉じ込められており、現実世界では昏睡状態な訳ですが、この場合、食事や排泄はどうなるのでしょう?。長引いた場合、大変な事になりますね。家族等が世話をするにしても多大な負担が掛かるでしょう。ましてや一人暮らしなら、糞尿まみれの上に餓死も有り得ますね」
「流石はコウ、のっけからキツい事を言うな」
「はい、ツクヨさん!」
「よし、イサム!」
「え~っと、ゲーム中はずっとVRマシンは動いている訳ですよね。それって凄く電気代掛かるんじゃないですか?。後、停電したらどうなるのかな?」
「はい、マスター」
「今度は何だ、コウ」
「ゲーム中は現実世界では昏睡状態ですから、地震、台風といった災害からも逃げられませんね。火事等も」
「ゲームの運営会社も叩かれると思います」
これはイサムの意見。
さて、俺の意見を出すかな。
「これは俺の意見だが、こういうデスゲーム物はゲームをクリアすれば現実世界に戻れると主催者側から言われるのが定番だが、それが本当だという保証は無いよな」
「流石はマスター、主人公達の希望を見事に粉砕する発言ですね。正に邪神!」
「ほっとけ!」
では、次なる降臨を待て。
降臨五発目をお届け。VRMMOのデスゲームネタはツッコミ所が多いと思います。現実世界の身体に不測の事態が起きたらどうするんだよ。食事や排泄は?。家族の負担は?。そんな訳も有り、VRMMOデスゲームネタはやらないのです。