表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕と花  作者: 佐倉 夕夏
インパチェス―鮮やかな人
4/14

スペアミント―温厚

気づくとみんな進級していた。

俺と中村さんと斉藤君は3年になり、葉山君は2年生になった。

そして春が訪れたと同時に俺を焦らせる情報が入った。

まず、斉藤君がいつのまにか彼女ができていた。

「そっか、もう春だね」

と応えたら、中村さんは爆笑(何故)、葉山君は苦笑い(何故)そして斉藤君には肩を叩かれた。

俺はよく分からないが惨めになった。

そして追い打ちをかけるように葉山君が好きになった例の女性と晴れて恋人になっていた。

「お・・置いてかれる・・」

と言うと再び中村さんは爆笑、斉藤君も失笑、そして葉山君には憐憫を頂いた。

もう俺はどうにでもなれと思った。

ちなみに俺はバイではなく、普通に女性が好きだ。

でも何故か機会がないのだ。

そう言い聞かせている。

そんな中、もうひとつ春が来た。

新人の女の子が入った。

まだ1年生になったばかりの女の子。

入るなりすべての人にこういった。

「初めまして。今日からお世話になります桜井明日香です。よろしくお願いします」

髪の毛は黒髪セミロング、特別美人というわけではないが、とにかく愛嬌のある人だった。

「本当あのこ礼儀正しいよな」

「何か一緒に働くの楽しそう」

「あたし、話しかけてくる!」

と俺たちも口々に評価していたほどだった。

実際彼女は本当によくメモも取るし、教えてもらったことは必死に頭をたたきこんでいたという感じだった。



***

夏も近づき、桜井さんが入って時間が経とうとしていた。

「香川さんって、学部どこなんですか?」

ある日彼女は俺にそう聞いてきた。

2人でたまたま仕事をしていたときだ。

「えっ」

「学部、どこなんですか?」

彼女と俺の身長は残念ながらあんまり変わらなかった。

同じ目線でじっと見られてしまいおれは目を反らしてしまう。

本当俺の女慣れしてないこのチキンさを恨む。

「しゃ・・社会学部です」

「あぁ!あたしの友人も入ってますよ。あの学部楽しそうですよねー」

なんか後輩に気を使われてるのも居心地悪いので俺も同じ質問をしてみた。

「桜井さんは?」

「あ、やっと話してくれましたねー」

「えっ」

「全然香川さん話してくれないから、嫌われてるのかと」

「いやいやいやいや・・・!!!そんなことは決して!!」

と必死に弁明すると彼女は思い切り笑った。

人を明るくするような快活な笑い声が響いた。

「必死ですね!あたしは国際関係学部、国際コミュニケーションですよ」

「あぁ・・あのなんか難しそうな・・」

「そんなこともないですよ?要は異文化理解です」

「異文化理解」

「そう、異文化はあ理解です」

彼女とまともに話したのはこれが実は初めてだった。

こんな地味な俺にも積極的に話しかかてくれた彼女は本当に天使のようだった。

随分と男性なれしてるんだな、と思ったくらいだ。



***

そのうち彼女がバイトのムードメーカー的な存在になりつつあると思った。

あの気難しそうなイメージを植え付ける斉藤君にまで話しかけ

しかも楽しそうに話している姿をみて、桜井さんは只者じゃないなと踏んだ。

というか俺と斉藤君が仕事を教えていたから、話す機会も増えたのだろう。

もちろん中村さんとも気があったのか楽しそうに話していた。

ただ、以外にも葉山君は全然彼女と話していなかった。

ムードメーカー的な存在を取られるのが嫌だったのかなと呑気に考える俺の頭の中は春が去り切れてない。

「何で、葉山君、桜井さんと話さないの」

疑問に思った俺はそう彼に聞いたことがあった。

その時も困ったような、はにかんだような笑顔を見せた。

「俺、人見知りなので。ある程度時間を置かないと話せないんです」

「桜井さんは明るいし、すごく話しやすいよ。こんな俺にも話してくれるし」

「分かってますよ。今度話したいなとは思ってるんですけど、機会が。それに彼女俺のこと見ないんで」

「それは気のせいでござる」

「何でござる笑 とりあえず機会を見てです」

葉山君はそれからも挨拶程度しかしなかった。

俺は桜井さんに彼の印象を聞いてみたことがあった。

「葉山さん?あぁ、なんか法学部っぽい顔してる人ですよね?別に苦手じゃないですよ。でも話しかけづらいんですもん」

とドライに言われたときは俺は苦笑した。

「俺も最初そうだった」

「ですよねー!!ていうか、あの人学部どこですか?」

「法学」

「うっそ、あたしの予想大当たりじゃないですかー!!」

「そう、そうなの。本当に話したことないの?」

「ないですよ。というか印象もよく覚えてません」

「結構言うよね、桜井さん」

「あたしドライなんで」

ニコッとされて俺はこの人も敵に回したくないと切実に思った。

「ははは・・でもたまには話しかけてあげてよ。あいつ、面白いから」

「まぁ機会があれば。香川さん見たく話しかけやすかったらいいんですがね」

俺は心の中でガッツポーズした。

あの爽やか葉山君に勝った気がした。

・・・というのは間違いで。

俺はその表面的な部分しか見ていなかったわけだが

葉山君は仲良くなるまでは時間をかけるタイプだったが

話し始めると、人を引き付ける効果があるのをすっかり忘れていた。

俺は勝ったと思っていたけどイケメンにはそれだけ有利な点がある。

葉山君と桜井さんが仲良くなるのにそう時間がかからなかった。

とうか、気づいたら2人はそれなりに楽しそうだったという展開である。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ