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僕と花  作者: 佐倉 夕夏
インパチェス―鮮やかな人
11/14

ニチニチソウ―友情

「葉山君、桜井さんと付き合ってるだろ?」

ある日突然俺は葉山君に聞いた。

あの飲みの後、もうあのふたりは隠している意義はないんじゃないかという結論に至った。

俺は桜井さんに失恋したと麻衣ちゃんに明かしてしまったし

彼女も彼女で葉山君から相談を受けたことを話してしまった。

つまりは俺たち2人は知らず知らずのうちに恋のキューピッドになってしまっていたのだ。

葉山君はびっくりしたのか俺の顔をみて口をぽかんした。

「えっと・・」

「何で隠す必要があるわけ?俺たちに言ってくれて支障ないでしょ?」

葉山君は黙って少し考えた後ゆっくり口を開いた。

「・・・ですよね。そうです。俺と桜井さんは付き合ってます」

その答えを聞いて俺は内心ほっとした。

これで完全に諦められる。

「やっぱりなー。俺見たことあるし。車乗せてたとこも見たことある」

「え、意外とバレてるんですね」

「まぁいいんじゃないかな。俺はバイト内の付き合いはいいと思うし」

「香川君、なんだかいいことありました?」

おれは 別に、と言いながら仕事にとりかかかった。

本当のところを言うと、あの時麻衣ちゃんが俺の前で泣いてくれたことが嬉しくてしょうがなかった。

俺は麻衣ちゃんにとってそういう存在になれたんだな、と自負できたからだ。

「そうでもない。いつもと同じだよ」

そうですかねーと言う葉山君の顔は本当に幸せそうだった。

「葉山君」

「何?」

「次の俺たちの送別会の時、公表しろよな。」

「えっ」

「めでたいことだろ?葉山君と桜井さんは相性いいと思うよ。うまくいくさ」

「ありがとう」

そう言いながら笑った顔はやっぱり爽やかだった。


***

「それでは、4年生の卒業をお祝いしまして、乾杯!!」

そのかけ声をしてくれたのは、葉山君だった。

数々のグラスが組み変わす音が響くと、みんなおいおい話し始めた。

「どうよ、楽しんでる?」

俺は麻衣ちゃんと飲んでいたのだが、そこに葉山君が来た。

遠くの方では桜井さんと斉藤君たちが飲んでいる。

「楽しんでるよーあんたこそ、早く公表してしまえ」

少し酔った麻衣ちゃんは香川君にそう言いながらまたひとつグラスを開けた。

「はいはい」

と言いながら葉山君は動こうとせず飲み続けた。

「ところで、なんで桜井さんが好きなの?」

俺は葉山君に聞いてみた。

以前いい人で終わるといった彼を動かした者は何か。

「何でって理由なんている?」

「テキトーな気持ちで考えてるのかーお前は!!」

麻衣ちゃんが机を叩いて聞いていた。

「違う、違う!どこが好きとか言われても分かんないの!」

「それをテキトーって・・」

「とりあえず、麻衣ちゃん黙って」

俺が止めると麻衣ちゃんはまたお酒を飲みほした。

「安心すんの。一緒にいて。この人とならずっといれるって、めっちゃ思うんだ。その時思ったんだ。今まで恋愛をしてきて俺は彼女の一体どこを見ていたんだろう、って。いまさら気づくなんて、情けないけど」

「安心・・・」

「うん。初めてこの人といて俺は初めて落ち着けた気がするんだ。だから好きなところは空気なの、空気」

彼はそう言いながらちらりと桜井さんを見つめた。

その顔は優しくて、でもどこか男らしくて、俺にはない要素だなと思う。

もうこいつと出会った瞬間から俺は負けていたんだな、とも思う。

「へぇ・・なんかいいなぁ。そうゆうの」

「香川君もいつかそういう想いを感じることがこれからもあるよ」

「そうかなぁ」

「案外、近くにいたりするんじゃないかな。てか。麻衣ちゃん寝てるけど・・」

隣で寝ている麻衣ちゃんを起こそうと肩を揺らした。

俺はその手を止めた。

「麻衣ちゃん、いろいろあったんだよ。飲ませてやって」

葉山君はその言葉を聞くと分かった、とゆするのを止めた。

「寝てない!」

と急に麻衣ちゃんが起きて、俺と葉山君は笑った。

「じゃぁ、その言葉を信じて公表と行きますか」

そういうと葉山君は立ち上がった。

みんなが一斉に葉山君を見た。

「桜井さん、ちょっと」

呼ばれた彼女は少し照れたように立ち上がって彼の隣に立った。

「みなさんに報告が。その・・俺たち付き合ってます」

「え!!!」

斉藤君と川村さんだけが大きな声でそう叫んだ。

俺と麻衣ちゃんはぼ同時に拍手を送った。

これで終わった。

これで、俺の恋も決着がついた。

いつのまにか麻衣ちゃんが隣に来ていた。

照れながらも幸せそうに笑う彼らがいた。

「これで、よかったんだろうね」

麻衣ちゃんがそうつぶやいた。

俺は日本酒をいっきに飲みながら彼らを見つめた。

「うん、これでよかったよ」

そうは言うものの何故か涙がこぼれてきて俺は思わず顔を伏せた。

麻衣ちゃんはその隣で手を握ってくれた。

「今日は、飲もうな」

俺は頷いて、波だを拭いた。

あの時の温もりは友情の範囲内だったのか、俺にはいまだに判断しかねることだ。

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