表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
厨二少女の異世界道~2丁の相棒でこの世界に風穴を~  作者: 風紀いいん
1章 異世界転移したら超カッコいい銃に出会った
2/5

第2話 黄金天使との戦い。そして――

続きです!

更新します!

 元々が巨大だった金の球体から出現した天使像も、やっぱり大きい。

 私の身長なんて軽々と超えて、高さなんて3mぐらいあるんじゃなかろうか。軽く言って巨人である。見上げるほどの高さがあるのだ。

 両手にはそれぞれ槍と盾らしきものを持っていて、いかにも戦うために出てきましたって風体をしている。まさに戦闘態勢バッチリといった感じ。

 卵から生まれるように黄金の球体から現れた黄金の天使。その目は見えているのか分からないけど真っすぐに私のことを見下ろしながら、ゆっくりと地上に降りてきた。


 その拍子にズシンッという重さを感じさせる音と振動が響いた。


 その光景を見ながら、どうして異変が起こり始めた段階で逃げなかったのかと、今更ながら後悔の波が押し寄せてくる。

 本当なら振りかえってダッシュで逃げ出したい。でも、アイツから目を離すのが怖くてそれも出来ないでいた。一瞬でも視線を逸らしたら、次の瞬間にはあの槍が寸前まで迫っているかもしれないから。そうなったら今度こそ避けられる自信はない。


 も、もしかしたら、さっきのだって私を狙った攻撃じゃないのかもしれない!


 ……でも攻撃の意思があったにせよ無かったにせよ、あんなのが直撃してたらタダじゃ済まなかったのも事実だ。というか……あんなことをされてまで、攻撃の意思が無いなんて楽観的に考えるほど馬鹿じゃないけど。


 つまり私は、理由は不明だけどあの天使像に狙われているということだ。

 何でとか理由は今はどうでもいい。とにかくアイツは私を狙って攻撃をしてくるヤバい奴だということだけ分かっていれば十分。


「……っ」


 じりじりと後ろ足で後退する。決してアイツから目を離さないように。


 しかしーー私が何とかこの場から逃げようとしているのを見破ったのか、天使像が動き出した。


 槍を持つ手を振りかぶり、その腕を引き絞るような動作をした。


 それを見た瞬間、さっきも感じたあの警鐘が再び頭の中で鳴り響く。

 この警鐘が私の命の危機を教えてくれるものだと瞬時に悟り、それに逆らうことなくその場で横っ飛びに地面を転がった。

 その咄嗟の判断は正しかったようで、一拍の間を置いて床を抉る轟音と衝撃が身体に襲いかかった。

 視界の外で何が起こったのか、それを見届けることなくすぐに身体を起こして走り出す。


 せめて攻撃が届かない場所にと、アイツの背後を目指して全速力で走った。


 すると――


「んんっ?!ーーわっっっ!!?」


 自分の想像とはかけ離れた速度で天使像の背後まで移動してしまったのだ。走ったつもりが、まるでジェットエンジンでも積んだかのような感覚の差で頭が一瞬バグったのかと思ったほどだった。

 さらに悪いことに、目測?がズレたことで足を止めるのが間に合わずそのまま壁に突っ込んでしまった。


 すぐ近くの耳元でさっきの天使像の攻撃に負けず劣らずの破砕音が聞こえた。


「いったぁ……!?」


 反射的にそう言ってしまったけど、しかしどれだけ待っても痛みが襲ってくることはなかった。確かにぶつかったという感覚はあったはずなのに、実際には身体のどこも痛くは無い。そんなはずないのに本当に痛く無いのだ! 仮に壁が発泡スチロールだったとしらあり得るかもしれないけど、周りに転がる瓦礫を見ればそうじゃ無いの一目瞭然である。


 間違いなく鼻の骨とか腕とか足を折ってしまうほどのスピードでぶつかったはずなのに、一切の怪我が無い自分の身体に違和感しか感じない……


 けれど、そんな疑問をじっくりと考える時間を与えてくれるほど天使像は甘くなかった。

 私が壁にぶつかったり考え事している間に、その巨体の反転を終えていた天使像の顔が再び私にロックオンされる。


 だから私はもう一度、今度はある程度の加減をしながら走り出した。


 目指すは天使像の後方にある、この部屋の出入り口っ!


 あの槍による攻撃が簡単には振るえないよう、危険だけど天使像の足の間を抜けるように走る。

 幸いなことに走っている最中に例の警鐘が頭に響くことはなく、踏み潰そうと動き出した足を避けながらなんとか出入り口まで辿り着いた。何故か速く走れるようになったけど、この場においては有り難みしか感じない。

 

 これで、扉の大きさ的にあの天使像が出てくることは不可能なはずだ……


「これなら追ってこれないはず――」


 ーー言ってから思った。今の発言は、フラグなんじゃないか?と。


 こういった危機的状態でのフラグは回収されやすいという法則よろしく、天使像は予想外の動きをして見せた。


 今の状態じゃ扉を通れないと思った天使像は、最初に変化した時と同じように自身の身体を液体状に戻して扉を通ろうとし始めたのだ。


 確かに、確かにそれなら通れるだろうけどーー


「そんなのありっ!?」


 こっちにやって来ようとする天使像、いや黄金のどろどろを見て一目散に逃げ出した。


 そうして最初に私が倒れていた小部屋に戻ってくる。


 私に残されたのは、3つの通路のどれを使って逃げるかという選択肢のみ。


「どこに逃げる……? 左は行き止まりだから、正面か右の通路のどっちか。あのどろどろの状態なら攻撃出来ないのかな……? だったら右に行った方がいいかもしれない。でももし、その先が行き止まりだったら完全に詰む。かといって、正面に行っても結局は通路が続いているか分からないし――」


 最初に他の通路を確かめていなかったことがここにきて悔やまれる。

 でも今更そんなことを言っても仕方が無かった。


 背後では黄金のどろどろが徐々にでも確実に迫ってきている。


「どうする。どうする、どうするっ…………!」


 正直、正面の通路も右の通路どっちを選んでも同じだ。その先に出口があるのか無いのか、確率的には半々でしか無い。

 でも唯一考慮する要素があるとすれば、右の通路にはその先がT字路に分かれているということだ。

 運が良ければ黄金のどろどろは私が進んだのとは反対方向に進んで、上手く撒くことが出来るかもしれない。


 その奇跡かもしれない可能性にでも、今は縋りたい……!


 考えた末に、私は右の通路に進もうとして――――けれど一歩踏み出そうとした足が止まる。


 あの部屋から逃げるときにそのまま持ち出してきた二丁の銃……ふいにそれらが一拍脈打ったような振動が伝わってきた。

 最初に持ったときに感じたものが今度はより強く、そしてはっきりと感じ取ることが出来た。あの時は気のせいかと思ったけど今度こそ間違いないと言える。


 掌を通してそれぞれの銃が持っている熱が伝わって来る。

 私にはそれがまるで、逃げるな、戦え、自分を使えと言っているように思えた。


 私は進もうとしていた足を回れ右して、自分がついさっき逃げてきた通路の方を振り返る。


 視線の先では黄金のどろどろが通路の少し先、私から数mのところまで迫っていた。


「ふー…………」


 私は右手に持った漆黒の銃をそれに向けた。

 静かに呼吸を整えて、早鐘のように高鳴っていた心臓の鼓動を落ち着ける。


 そして――


「いけっ!!!」


 引き金を、引いた。


 衝撃は無かった。銃は実際に使うと反動が凄いとか聞いたこともあったけど、一切の反動が感じられなかった。


 しかし、弾丸は確実に放たれていた。


 どろどろの中心に、銃口のサイズから予想されるよりも遥かに大きな風穴が空いていたのだ。

 それはアイツに確かなダメージを与えたらしく、苦しむように波打ったり形が変化したりするのが分かる。


 通じる……!!


 この銃による攻撃はアイツに通じるんだ……!!


「だったら――!」


 私は右の通路に行こうとしていたのを急遽変更し正面の、広間に繋がる通路に向かって走り出した。

 ちらりと背後を振り返れば、今の一撃で怒ったのか更に勢いを増したどろどろが私を追いかけてくるのが目に入った。


 それでいい。そのまま私を追ってこい……!


 私の中にあったのは、先程までの何としてもアイツから逃げたいという気持ちではなかった。それよりも遥かに強いのは、私を殺そうとしてきたあの訳の分からないナニカに一泡吹かせてやりたいという反逆心――


 恐怖はどこかへ行ってしまい、ただ高揚する感情に突き動かされるように私の身体は動いていた。


 だからこそ、行き先を広間のある正面の通路に変えた。

 

 アイツと戦うのなら、どろどろの状態よりも天使像に戻してからの方が幾分か戦いやすい。あの広間ほどの広さがあれば、おそらく元の形に戻るはずだろうと思った。


 広間に辿り着いた私は入って来た通路の、反対側にある先へ続く通路に背を向けてアイツがやって来るのを待った。

 それほど時間を置かずにどろどろは広間に侵入してきた。そして思った通り、十分な広さがあると判断したのか、その状態で私に襲い掛かって来ることはなく、足元から再びあの天使像の形を作り始めた。


 数分後、私の目の前には再び黄金の天使像が立ちはだかっていた。


「「……」」


 先に動いたのは――私だ。


「この銃が通用することは確認済みっ。ここでお前を倒すっっ!!!」


 両手の銃を構えて、天使像の頭を狙いひたすら打ちまくる。


 天使像は槍と反対側の手に持つ盾で弾丸を防ごうとする。

 しかし盾を形作る黄金は弾丸が一発当たるごとにみるみるうちに削られて、あっという間にガラクタに成り下がった。


「ふっ」


 私はその光景を見て口元に笑みを浮かべる。その態度を不快にでも思ったのか、天使像は使い物にならなくなった盾を投げ捨てると槍を振り上げて襲い掛かって来た。


 盾という重量が減ったからなのか気持ちさっきまでよりも動きが早くなったような気がする。

 だけど、それでもまだまだ遅い。最初は避けることなんて不可能だと思っていた槍の一撃も、よく観察すればその動作を見て避けることができた。

 もっとも、普段の私だったら動きを見ることは出来ても避けることは出来なかっただろう。でも今の私の身体能力はどういう訳かぐんっと上昇している。ここに逃げてくるまでの間に掴んだ感覚で使ってやれば、まるでバトル漫画の登場人物かのように動くことができるのだ。


「このまま押し切るっっ!!!!!」


 槍の攻撃を避けながらも、天使像の身体に何発もの弾丸を打ち込んでいく。

 的が大きいうえに発砲による反動も無いから、てきとうに打ったところで当てることは難しくない。

 脚を、腕を、胴体を、頭を――引き金を引くたびにどんどん削られていく天使像の黄金の身体。そしてとうとう、片脚の膝からしたが完全に砕け散って、バランスを保つことが出来なくなった天使像はそのまま地面を転がった。


 どうにか立ち上がろうとするも、片脚となってしまった状態ではどうにもならないらしい。


 そしてそんな隙を逃す訳にはいかない。


 ドシンッドシンッと身体をばたつかせる天使像の、低くなった頭を狙って両手の銃を連射した。


 少しの後、天使像の頭は完全に砕け散り、暴れていた身体も動かなくなった。


「ふぅ~……これで終わり? 今の私には、ちょっと歯応えが無い相手だったな」


 指でくるくる回した銃をありもしないホルスターに仕舞うような動作をして、残骸となった天使像を見ながら調子にのったことを言った。

 後で考えれば、強敵だと思っていた相手をあまりにもあっさりと一方的に倒せてしまったから、アドレナリン的なものがドバドバ放出されて頭が完全にハイになっていたんだと思う。加えて日本では使いたいと思っても絶対に使うことが許されない銃を撃ちまくったから、いわゆるトリガーハッピーのような状態になっていたのかも……


 そうして、強敵を下した主人公のように倒した相手に背を向けて、その場を立ち去ろうとしたとき。


 私の後ろで、何かが動く気配がした。


「まさか――」


 はっとして振り返れば、砕け散って物言わぬ残骸と化したはずの黄金塊がひとりでに動き始めていた。


 広間のあちこちに飛び散ったそれらは、中央に集まって再び一つになろうとしている。

 それを阻止するために破片や中央の集合体に弾丸を打ち込む。けれどそれらを砕くことは出来ても動きを止めることは出来なかった。

 そして再び一つの塊になったそれは、しかしさっきまでとは様子が違っていた。

 あれだけ沢山の黄金が集まったはずなのに、体積が私よりも少し大きいぐいらまでぎゅっと凝縮している。そしてまた天使像の形になるかと思っていたけど、少しだけ形が変わっていた。


 二枚だった羽は四枚に。

 装備していた槍と盾は、盾が無くなって両手で持つほど大きな大剣一本に。

 そして大きかった身体は、私より少し大きいぐらいに。


「第2ラウンドって? 今度こそスクラップにしてやるよ」


 私の宣言を皮切りにして、第2ラウンドが開始された。

読んでくださりありがとうございます!

もし、面白い、続きが読みたいと思ってくださったなら、高評価とブックマーク登録よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ