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酒場の罠

作者: 壊れた靴

「見ない顔だが、アンタ、この酒場に雇われた詩人か何かか?」

「いや、ただの旅人だよ。どうして詩人だなんて思ったんだい?」

「そうかい。いや、こんな寂れた酒場に不釣り合いな雰囲気だったからな」

「そうかな。あなたはこの辺りの人かい?」

「ああ。こんな見るところもないような田舎に、わざわざ何しに来たんだ?」

「この辺りに財宝があると聞いてね。お近づきの印に、これをご馳走しよう。よそのお酒だけど、気に入ってもらえるかな」

「随分と気が利くな。それじゃ、いただくとするか」

「いい飲みっぷりだね」

「やっぱり、ここらの安酒じゃないな」

「それで、何か知っているのかな?」

「確かに財宝の噂はあるな。近くに古い遺跡のような場所があるんだが、その奥に辿り着いた者は誰もいないんだ。何せとんでもない量の罠が仕掛けられているらしくてな」

「そうなんだ。どうもありがとう」

「一杯分の礼だ。もう一杯くれれば、明日にでもそこまで案内してやるよ」

「わざわざありがとう。でも、その必要はないよ」

「どういうことだ?」

「私は危険を冒してまで財宝を手に入れる必要はないと思っているんだ」

「なら、何で財宝があるかなんて聞いたんだ?」

「財宝の噂がある場所を探したという事実が欲しいんだ。私はそれを面白おかしく報告して、何人もの後援者に出資してもらっているというわけなんだよ」

「なるほどねぇ。そうやって、色んな所に行っては財宝を探し回ってるように見せるってわけだ」

「確実に財宝があるのならともかく、あるかも分からないものに命を懸けるなんて、私にはできないよ」

「まぁ、もっともだな」

「もし苦労した上に財宝がなかったとして、それに失望した彼らが出資を打ち切ったりしたら悲惨だろう?」

「そりゃそうだ。最悪の結果だな」

「そういうわけで、私に案内は必要ないんだよ」

「そうかい。納得したよ。だが、人を簡単に信用しちゃいけないな。オレがアンタの話を広めちまったら?」

「いつかは彼らの耳にも入るだろうね。私を脅す気かい?」

「さあね。そうされたくなかったら、酒の一杯や二杯じゃ足りないことくらい、分かってるよな?」

「残念だよ。機転は利くみたいだけど、想像力が足りていないようだね」

「何だと?」

「あんなに詳しく私のしていることまで話すのを不思議に思わなかったのかな?」

「どういう、意味だ?」

「それに、人を簡単に信用しちゃいけないな。あなたの言う通りだろう?」

「おや、もう眠ってしまったのかな? なに、ちょうど現地の案内人でも犠牲になれば説得力が増すかなと考えていたんだ。よいところに声をかけてくれたよ」

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