折角普通の生活に慣れたのに…
ハテ?(-ω- ?)
「…は?」
若者の目の前に立つコスプレしたでっぷりと肥え太った50~60代のおっさん達と目が合う
若者がコンビニを出ると大人数で前を塞いでいる
避けないおっさん達
非常識極まりない
帰宅中に寄ったコンビニで買い温めて貰った弁当を早く食べたかった若者
ショウガ焼き弁当の良い匂いが左手に下げて持っている袋から漂う
空腹で更にイラついてきた
「アンタ…邪魔なんだけど?」
若者は動かない目の前のおっさんに腹が立つ
「私を誰だと思っている!私は「知らねぇよ、どけ」…」
思い出したくない記憶が戻り始める
更に腹が立つ
頭が痛い
記憶が徐々に鮮明な画像としてフラッシュバックし始める
身体に急速に浸透してくる懐かしい感覚を感じ更に怒りが募る
(クソ!魔素だと?ふざけんじゃねぇぞ!)
ビルゲム・ルー・アブブターダ伯爵は若者から出会い頭に邪魔扱いされたことに猛烈に怒りが吹き出る
「貴様ー!私は!「だから知らねぇよ!どけ!!」」
怒気と共に若者から強烈な〘威圧〙の魔法が放たれる
若者の目の前にいたアブブタターダ伯爵と貴族達がペタリと尻餅を付きの股の間を濡らし生まれたての家畜の様に震えている
「集団でコスプレしてるからっていい気になるなよ、おっさん。」
前にいた者達の後ろは駐車場ではなく壁があった
その場の雰囲気と足元の模様見て若者は察した
「で?誰が召喚した?勿論のこと誰を喚んだのか理解シテイルンダロ?群レヌトナニモデキナイ脆弱ナ殺戮者ノヒト族共!!」
若者から凄まじい殺気と魔力が溢れ出す
その場のにいた者達が全員尻餅を付き座り震えている
玉座に座る者も玉座から滑り落ち床にへたりこみ俯き震えている
若者麻咲周皇の眼に怒りが滲み出る
次々にフラッシュバックしてくる記憶
元の身体に染み込んでいたスキルや覚えた魔法
頭から吹き出しそうで頭痛が激しくなり右手でこめかみを揉みほぐす
無言無詠唱で〘治癒魔法小〙を幾度も唱えるが頭痛は治まらない
更に戻る記憶
愛しい我が子達や妃達や信頼していた家臣達や勇敢な兵士達の無惨な躯
破壊され荒らされた居城
苦々しい敗北の屈辱
記憶の全てが戻り涙が周皇の頬を伝い落ちる
この場のヒト族を皆殺しにしても足りない
殺したところで死んでしまった者達は生き返らない
(いっそこの王都ごと吹き飛ばし焼き払うか…いや、それは駄目だ。奴らと同じになる。俺の誇りが廃れる)
無駄な殺戮
自身が一番嫌悪していたモノ
無意味に侵略して来たヒト族
無意味に殺戮して来たヒト族
逃げ惑う者達にもただ平穏に暮らしていた魔人族の街に容赦なく戦略魔法で焼き払うヒト族
見た目が違うだけで〘魔物〙と一括りに呼称し殺戮し魔人族や獣人族の武器や防具を略奪して持ち去るヒト族
更に山や大地や湖や海の守護獣達や守護竜達の死体を加工し武器や防具に換え身に纏い襲い来る常軌を逸したヒト族
魔人族領土の山を無断で採掘し強奪していったヒト族
先に戦を仕掛けてきた事を正当化し異世界から強者を喚び戦火を拡大して行ったヒト族
決して許されない行為を犯し続けたヒト族
思い出したくない記憶が溢れた
「ハァ、貴様達を殺したところで過去の皆は戻らない。玉座に座るお前、何の為に俺を喚んだのか説明しろ聞いてやる申セ…いや、場所を変えて話せ」
口調が記憶の頃に戻りそうになり言葉と共に自然と唱えそうな〘自白魔法〙を抑え言葉を紡ぎ出す
出口と思われる玉座の左壁面の扉に向かい歩き出す
本音は弁当に糞尿の臭いが移りそうな広間から早く立ち去りたかったから。
(゜ω゜!)即理解