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休憩室のものがたり

作者: 谷まどか

外は大雪。今年いちばんの寒波が来るとアナウンサーがテレビの中で話していた。

「急激な気温の変化にご注意ください、それでは良い週末を。」

私は小さな信用金庫の職員で、いまはお昼休みだ。休憩室で凍えてはいないけど、午後に営業に行く取引先に新しい商品を売るためにどんな説明をしようか考え、そして両替はたしか10万円分の硬貨を頑丈な鞄に入れて届かないと行けないから(気を失うほど重い)私の気分もちょっと重かった(駄洒落のつもりはない)。あー、ここで、YouTubeの番組なら「わら」とか「くさ」とかテロップ入るのかなあなんてくだらないことを考え「あつあつ!あったかいお茶でひと息」と女の人が手に「はあ」っと温かい息をかけている写真と文字が並んでいる自動販売機に向かう。真冬の仕様らしく、冷たい飲み物のラインナップは少ない。ほかほかの湯気に思いを馳せながらボタンを押す。と、出てきたのは...!

ギンギンに冷えている「つめたいお茶やないかい!」心の中で突っ込みたくなった。少し腹が立ったが、ギンギンに冷えたペットボトルのお茶を手で持ちながらもう一度「あつあつ!あったかいお茶でひと息」と女の人が手に「はあ」っと温かい息をかけている写真を眺めてみた。なんだか今度はバカバカしくなって「くすっ」と笑った。そして気が重い午後の、鬱蒼とした気分が晴れた。ここは小さな信用金庫の休憩室。なんだかなにもない休憩室の、たった1人の休憩時間だったはずが少し賑やかでほっとする時間になった。


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