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お題シリーズ

物語の始まり お金につられた偽聖女

作者: 透坂雨音



「聖女様だー! 聖女様がやってきたぞー! これでこの村は助かるんだ!!」


 護衛をぞろぞろ引き連れて、王都から三日。

 馬車で小さな村に訪れた。

 そこで聖女である私は、人々に治療を施すことになった。

 しかし、私は本物の聖女ではない。偽物だった。

 聖なる力を持ってはいないのだ。

 だから治療は、聖女が力をこめてくれたアイテムを使って、行うことになる。


 なぜ聖女でもない私が、聖女の仕事を行っているのか。それは約一か月前にさかのぼる。

 

 パレス(聖女が住んでいる場所)を脱走する聖女様と偶然出会ってしまった私は、意外にやんちゃ……ではなく口が悪い……ではなくちょっと普通の少女っぽい聖女様におどされて、身代わりを引き受けることになってしまったのだ。


 私は当然、すぐにばれるぞどうしようと焦ったのだが、元から顔が似ていることもあって、一日入れ替わっても気づかれる事がなかった。

 そのため、それ以降もちょくちょく聖女様といれかわる事になったのだ。


 といっても、こちらにもリスクがあるので、ただで引き受けているのではない。

 身代わりは一日一万ジュエルのお仕事だ。


 私の暮らしは、一般的な生活よりも下。

 だから、お金のたくわえがが心もとないため、貯金が欲しかったのだ。

 一日一万ジュエル稼げるのはかなり良い仕事。コツコツためていけば、夢だったあんな事やこんなこともできるだろう。


 というわけで、お金につられてしまった私は、一か月の間にもうかれこれ五回も入れかわってしまった。 

 

 いつか絶対ばれるよな、と思っているのだが、護衛の人たちは目が節穴なのか、つい「どっこいしょ」とか言ってしまっても、つい「あつ、お金発見!」とか言って落ちていた一ジュエルを拾ってしまっても、正体に気が付かないでいる。


 このまま彼らが気が付かないでいてくれれば、きっと百万ジュエルをためる事も夢じゃないだろう。


 明るい未来に私はほおを緩ませていた。


 しかし、そんな将来に喜ぶ私の横では、とある作戦が進められていた。


「聖女様の誘拐だなんて本当にやるのか? だってあれ見るからに偽物だろ」

「いや、偽物でもいいんだよ。国の威信を傷つける事さえできれば」

「作戦決行は明日だ。くれぐれも気づかれるなよ」



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