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語り
人の記憶とは実に朧げです。今日起こった出来事でさえも、印象深くなければ直ぐに忘れてしまう。
しかし、人間というのは実に不思議な生き物です。忘れてしまったはずの記憶でも、脳の中にはキチンと保存されている。小さい時の記憶をふとしたときに思い出したことがある人も多いことでしょう。
そんな人の記憶でできた人間がもし、この人間社会に混じっていたとしたら...
普通の人間と遜色ない姿、形で存在したら...
もし本人ですら気付いていなかったとしたら...
人の記憶とは怖いものですねぇ。
ところでこの話を読んでいる貴方も唯の人間なのでしょうか?
まぁ、それは置いておいて、この物語は一人の少年の数奇な運命を描いたものです。人の記憶とは何か、記憶に何が隠されているのか、少年はそんな物語をどう描いていくのでしょうか。
長くなりましたが、物語に移りましょうか。
これより記憶の人々開演です。
ところで私は一体だれなんでしょうねぇ?