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前回とは、まるで違う膂力。
体勢を崩した隼人を蛇美羅が狙う。
斬りつけてきた刀を隼人は身体をひねり、地に転がって、かろうじてかわした。
双剣を鞘に納める。
二人は再び相対した。
「くくくっ」
蛇美羅が笑う。
「殺してやるよ」と蛇美羅。
隼人の顔を見る。
当然、こちらの強さに隼人が青ざめていると思った。
が。
隼人は笑っている。
楽しくて堪らないという風に笑っている。
唇をぺろりと舐めた。
まったく臆することなく、隼人、前に出る。
「俺流、バツ斬り!!」
再びの両居合い。
「効かないよ!!」
蛇美羅の刀が交差する二刀を受け止めた。
しかし。
先ほどと違い、隼人は体勢を崩さない。
この流れは予測していた。
蛇美羅の刀で弾かれた二刀が、その力を利用し、後方へと翻る。
隼人の手首が返って、二刀が外側に一周する。
蛇美羅の前で両手を振り上げた隼人の、その型は。
以前に腕丸を倒したときのものであった。