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静香が刀を少し抜き、かちゃんと鍔を鳴らした。
「その、しわ首を身体から斬り離してやろう」
「それで良い、良い」
奇妙斎は頷いた。
眼を細めて、桜の胸をじーっと見つめる。
「眼福、眼福」
「きゃっ!!」
桜が慌てて、自分の胸を両腕で隠した。
蜜柑と春馬は必死に走っていた。
後を追ってくる、全身を包帯でぐるぐる巻きにした侍から逃げるためである。
そう、その侍とは静香によって首をはねられ、忽然と死体が消えた白帯であった。
竜丸救出へと進む蜜柑、隼人、春馬の前に再び敵が立ち塞がったのは夕刻。
薄闇の中に現れた敵とは?
白帯と鳳衆の下忍が六人。
そして。
「お前は!?」
隼人が驚いた。
隼人に斬られ、蛇皮のみを残して死体が消えた蛇美羅が、にやにやと笑って立っていたからだ。
「逢いたかったよ、刀小僧」
蛇美羅が言った。
「今度は負けないよ」
舌をちろちろと覗かせる。
「白帯」
隣に声をかけた。
「あたしは刀小僧とやる。残りは任せたよ」