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「それはいろいろと…」
さすがにこれには、桜も口をつくんだ。
「そうか」
奇妙斎が、ぱんっと両手を打った。
「ここから鬼道城までの道のりは険しい。わしなら、楽な行きかたを教えてやれるぞ。どうじゃ、わしを連れて行かんか?」
「え!? お爺さんをですか?」
桜が驚く。
「そ…そんな…私たちはその…実は狙われてまして…」
「大丈夫、わしは自分の身ぐらいは守れる。なあ、この通り頼む」
奇妙斎が桜に両手を合わせる。
「かわいい娘さんと綺麗な娘さんといっしょに、旅をさせてくれ。今生の思い出作りにな、なあ」
困り果てる桜を見て、静香が笑いだす。
「ははは、殺されるかもしれぬというのに色気が勝つとは、やはり男とは汚らわしいものよ!」
「ずいぶんな言われようじゃな」
奇妙斎が顔をしかめる。
「かまわぬ、好きにさせてやれ。こちらは道中が楽なら、それで良い。ただし、私たちにおかしなまねをしようものなら」