表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
武龍伝  作者: もんじろう
80/204

80

 静香が左隣に座る。


 老人は気前よく、桜に食べ物を分け与えた。


 空腹が満たされ、身体が温まり、桜は人心地ついた。


「ごちそうさまでした」


 桜が老人に頭を下げる。


「良い良い」


 老人が笑う。


「わしは若い娘が大好きでな。眼福(がんぷく)、眼福」


 そう言った老人の眼が細まる。


 その視線が自分の胸をじっと見ていると、桜は気づいた。


「いやーーーっ!!」


 桜のびんたが老人をぶっ飛ばした。


 しばらく後。


「三途の川を途中まで渡ったわい」


 左頬を真っ赤に腫らした老人が言った。


「すみません」


 桜が顔を赤くして謝る。


「良い良い。わしは実は、こういうのも好きなんでな」


「は…はい?」


 桜が戸惑った。


「わしは奇妙斎(きみょうさい)


 老人が名乗った。


 桜と静香も名乗る。


「娘さんたちは、どこへ行くのかのう?」


「鬼道城へ参ります」


 あっさりと素直に答える桜に「ふふふ」と静香が笑った。


(何と人を疑わぬこと。巫女とは、これほど純朴なのか。これではすぐに面倒事に巻き込まれよう)


 静香の瞳が、きらりと輝く。


(しかし、血生臭い戦いを求め、二度目の生へと漕ぎだした身の私とすれば、そのほうが好都合か)


 己の刀を見つめる。


(満たされぬ刃で、斬って斬って斬りまくるのみ)


「鬼道城とな?」


 奇妙斎が首を傾げる。


「あんな廃城に何の用がある?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ