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「早う、脱げ!! そして生まれたままの姿になれ!!」
「そ、そんな!!」
部屋の襖が突如、開く。
部屋付きの侍女が二人の大声を聞き、中へと入ってきた。
「姫様、それはなりませぬ!」
「この女!!」
夜叉姫が立ち上がった。
竜丸の顔のすぐ側に、夜叉姫の顔が来る。
夜叉姫は入ってきた侍女に突進した。
突き飛ばし、侍女の上に馬乗りになる。
「ここはわらわと竜丸の部屋ぞ! 許しも得ずに入ってくるとは、何たる無礼!」
大声で罵りながら、夜叉姫は手のひらで侍女の顔を打った。
「これでもか! これでもか!」
夜叉姫の振り上げた右手が突然、背後から出てきた手に掴まれた。
夜叉姫が振り返る。
その手の主はもちろん、竜丸であった。
「何じゃ、竜丸!!」
夜叉姫が今度は竜丸へと迫る。
解放された侍女に、早く部屋から出るように竜丸が眼で促す。
侍女は頭を下げ、部屋から転がり出た。
「何故、あの女を庇う!?」