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武龍伝  作者: もんじろう
74/204

74

 火を吹くような夜叉姫の剣幕に、竜丸は気押された。


 渋々、座っている夜叉姫の前に立つ。


 見上げる夜叉姫と見下ろす竜丸、両者の眼が合った。


 竜丸は夜叉姫の美しさに、はっとなった。


 思わず眼を()らす。


「わらわが父上にお願いして、竜丸を牢から出してもらったのじゃ」


 夜叉姫が言った。


「何故じゃと思う?」


「え…」


 またしても意表を突かれた竜丸は、答えに(きゅう)した。


「あの女たちに竜丸を盗られるからじゃ!!」


 夜叉姫が怒鳴った。


 地下牢の牡丹と桔梗のことを言っているようだ。


「盗られる?」


「そうじゃ」


 夜叉姫が頷く。


「夫となる竜丸は、わらわだけの物。他の女どもには指一本、触れさせぬ!!」


 夜叉姫の眼が、ぎらりと輝いた。


「ほ…本当に」


 竜丸が訊いた。


「私と夫婦になるおつもりなのですか?」


「うむ。最初は父上の天下獲りのため、どんな嫌な相手であろうとも(ちぎ)る覚悟であったが、竜丸をひと眼見て安心した」


 そう言うと夜叉姫は、にこりと笑った。


(なんと…)


 竜丸は再び、はっとした。


 激昂(げきこう)するときの夜叉姫は恐ろしくも美しいが、こうやって微笑んでいると、何やらかわいらしい。


 竜丸の胸の鼓動が早まった。


「竜丸、着物を脱げ!!」


 夜叉姫が突然、命じた。


「え…」


 竜丸が混乱した。


「ええ!?」

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