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武龍伝  作者: もんじろう
54/204

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 春馬は瞳を輝かせ、蜜柑と虎然を交互に観察している。


「ありがとう、法師どの。助かりました」


 蜜柑の言葉に虎然は頷いた。


「かかかっ! わしも良い刀供養が出来た」


「それでは」


「おう、さらばじゃ」


 こうして虎然の魂は解放された。


 その後、蜜柑が感じる竜丸の気配を目指して、三人で山道を進んで来たのだ。


「蜜柑さんに、このシェルの威力をいつか見せてあげるね」


 春馬が、にこりとして言った。


 楽しそうだ。


「春馬」


 隼人の顔が引きしまり、突然、立ち上がった。


「どうやら、すぐに披露できそうだぜ」


「ええ!?」


 春馬が驚く。


 周りの木々の間から、音もなく忍び装束の男たちが現れた。


 全部で十人。


 小諸城で蜜柑たちを襲った忍びたちと同じ格好である。


 その男たちの中央、丁度、隼人の正面から、真っ赤な着流しの女が進み出た。


 すらりとして首が長い。


 否、長すぎる。


 本来なら頭があるべき位置よりも、もう一個分は上に、つり上がった瞳が光る細面の顔が乗っている。


 両眼の下方で開かれた口は、大きく耳の辺りまで裂けていた。


 黒髪を団子にまとめ、玉かんざしを三本挿している。


 着物の外に露出している肌は全て、爬虫類の如きウロコで覆われていた。


 女の大口から、鋭い二本の牙と真っ赤な口中が覗く。

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