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武龍伝  作者: もんじろう
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 細い首には横一線の傷が走っている。


 驚きのあまり、金縛りの如く固まる者たちを意にも介さぬように、女はゆっくりと腰の長刀を抜く。


 そして、ぽーんと真上へと跳び上がった。


 軽々と樹上の赤蜘蛛の位置までたどり着き、刀をさっと振った。


 逆さまの体勢の赤蜘蛛の頭が、脳天から顎まで縦に真っ二つに割れた。


 声もなく死んだ赤蜘蛛の身体から、力が抜ける。


 桜が徐々に下がり、地面に着いた。


 跳び上がった女剣士は、すでに地上に立ち、再び刀を鞘に納めている。


 仲間の死に一瞬、凍りついた五人の忍びと包帯侍が、ようやく正気に戻った。


 忍びたちが、さっと後方へ跳び、女剣士と距離をとる。


 赤蜘蛛は、けして弱くはなかった。


 しかも狂虎から人ならざる力を授かり、蜘蛛糸を自在に操れたのだ。


 その赤蜘蛛をただ一刀のみで(ほふ)った、この女の強さこそが異常であった。


 五人の忍びは女の身体から発散される尋常ではない剣気に押され、下手をすれば今にも逃げ出さんばかりの恐怖を感じた。


 包帯侍はというと、それとはいささか反応が違った。


 自らの長刀を抜き、両手で八相に構える。


 女剣士の前へと立った。


蟲流(こりゅう)白帯(しらおび)


 包帯侍が流派と名を名乗った。


 女剣士は少し考えた後に、それに応じた。


「我流、静香」

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